Sun GlassFish Enterprise Server v3 管理ガイド

JNDI について

アプリケーションは JNDI API を呼び出すことにより、リソースとほかのプログラムオブジェクトを検出します。「リソース」は、データベースサーバーやメッセージングシステムなどのシステムへの接続を提供するプログラムオブジェクトです。JDBC リソースはデータソースと呼ばれる場合もあります。それぞれのリソースオブジェクトは人間が理解しやすい 「JNDI 名」という一意の名前で識別されます。リソースオブジェクトと JNDI 名は、Enterprise Server に含まれているネーミングおよびディレクトリサービスによって相互にバインドされています。

新しい名前とオブジェクトのバインドが JNDI に入力されると、新しいリソースが作成されます。

ここでは、次のテーマを取り上げます。

Java EE ネーミング環境

JNDI 名は、Java EE サーバーが提供するネームサービスとディレクトリサービスによってオブジェクトにバインドされます。Java EE コンポーネントは JNDI API を介してこのサービスにアクセスするので、通常オブジェクトはその JNDI 名を使用します。たとえば、PointBase データベースの JNDI 名は jdbc/Pointbase となります。Enterprise Server は、起動時に構成ファイルから情報を読み取り、自動的に JNDI データベース名を名前空間に追加します。そのうちの 1 つが jdbc/Pointbase です。

Java EE アプリケーションクライアント、Enterprise JavaBeans、および Web コンポーネントは、JNDI ネーミング環境にアクセスする必要があります。

アプリケーションコンポーネントのネーミング環境は、配備またはアセンブリの際に、アプリケーションコンポーネントのビジネスロジックのカスタマイズを可能にするメカニズムです。この環境では、コンポーネントからソースコードにアクセスしたりソースコードを変更することなく、アプリケーションコンポーネントをカスタマイズすることができます。Java EE コンテナは、環境を「JNDI ネーミングコンテキスト」として実装し、アプリケーションコンポーネントのインスタンスに提供します。

ネーミング環境とコンテナの動作

アプリケーションコンポーネントの環境は次のとおり使用されます。

各アプリケーションコンポーネントは、自身の一連の環境エントリを定義します。同じコンテナ内のすべてのアプリケーションコンポーネントのインスタンスは、同じ環境エントリを共有します。アプリケーションコンポーネントのインスタンスは、実行時に環境を変更することはできません。

ネーミング参照とバインディング情報

「リソース参照」は、リソース用にコード化されたコンポーネントの名前を識別する配備記述子の要素です。たとえば、jdbc/SavingsAccountDB です。具体的には、コード化された名前はリソースの接続ファクトリを参照します。

リソースの JNDI 名とリソース参照名は同じではありません。このネーミングへのアプローチでは、配備前に 2 つの名前をマップする必要がありますが、同時にコンポーネントをリソースから分離します。この分離により、あとでコンポーネントが別のリソースにアクセスする必要があっても、名前を変更する必要がなくなります。この柔軟性により、既存のコンポーネントから Java EE アプリケーションを簡単にアセンブルすることが可能になります。

次の表に、Enterprise Server で使用される J2EE リソースの JNDI 検索と関連するリソース参照 を示します。

表 20–1 JNDI 検索名と関連する参照

JNDI ルックアップ名 

関連するリソース参照 

java:comp/env

アプリケーション環境エントリ 

java:comp/env/jdbc

JDBC データソースリソースマネージャー接続ファクトリ 

java:comp/env/ejb

EJB 参照 

java:comp/UserTransaction

UserTransaction 参照 

java:comp/env/mail

JavaMail セッション接続ファクトリ 

java:comp/env/url

URL 接続ファクトリ 

java:comp/env/jms

JMS 接続ファクトリと送信先 

java:comp/ORB

アプリケーションコンポーネント間で共有された ORB インスタンス