Solaris X Window System 開発ガイド

X コンソーシアム拡張機能

Solaris X サーバーでは、X コンソーシアムによって定義された X 拡張機能がサポートされます。これらの拡張機能については、次の各節で簡単に説明します。各節には、拡張機能ごとの仕様名の他に、(ftp.x.org マシン上の) 関連ファイル名を括弧で囲んで掲載してあります。標準 X 拡張機能のメカニズムについての詳細は、『The X Window System Server』と『Xlib Programming Manual』を参照してください。

以降の各節で説明する X コンソーシアムの X11 規格は、World Wide Web 上のシステムで簡単に参照できます。URL は http://www.rdg.opengroup.org です。X11 マニュアルは、ftp.x.org マシン上の /pub/R6untarred/mit/doc/extensions ディレクトリに入っています。ファイル転送プロトコル (ftp) を使用して、このシステムからファイルをダウンロードしてください。ftp の使用方法に関するヘルプが必要な場合は、ftp(1) のマニュアルページを参照してください。自分のシステムがインターネットに接続されているかどうかは、システム管理者に問い合わせてください。

XInput 拡張機能

XInput 拡張機能は、MIT の X コンソーシアム標準「X11 入力拡張機能プロトコル仕様」(/pub/X11/R6.1/xc/doc/specs/Xi/protocol.ms) を Sun が実現したものです。この拡張機能によって、代替入力デバイス (キーボードおよび ポインタ以外のデバイス) に対するアクセスを制御することが可能になり、クライアントプログラムは相互に独立して、またコアデバイスに依存することなく、各デバイスからの入力を選択することができます。

ダブルバッファ拡張機能

ダブルバッファ拡張機能 (DBE) は、X コンソーシアムの規格を Sun が実現したものです。ダブルバッファリングは、アプリケーションが完全にレンダリングされたフレームだけを表示できるようにすることで、ちらつきがないアニメーション機能を提供します。フレームは非表示バッファにレンダリングされた後、表示バッファに移動されます。

SHAPE 拡張機能

SHAPE 拡張機能は、X コンソーシアム標準「X11 非矩形ウィンドウ形状拡張機能」(shape.ms) を Sun が完全に実現したものです。この拡張機能により、X プロトコルの範囲内で任意のウィンドウおよび境界線の形状を作成することができます。

共有メモリ拡張機能

MIT-SHM (共有メモリ) 拡張機能は、X コンソーシアムの実験的な「MIT 共有メモリ拡張機能」(mit-shm.ms) を Sun が完全に実現したものです。この拡張機能により、クライアントは、実際の画像データを共有メモリに格納するという方法でメモリの XImages およびピックスマップを共有できます。メモリの共有によって Xlib プロセス間通信チャネルを介したデータ転送が不要になるため、大きな画像の場合はシステムパフォーマンスが向上します。ただし、この拡張機能が有用とされるのは、クライアントアプリケーションがサーバーと同じマシン上で実行される場合だけです。

XTEST 拡張機能

XTEST 拡張機能は、MIT の X コンソーシアムの標準案「X11 入力統合拡張機能案」(xtest1.mm) を Sun が完全に実現したものです。この拡張機能により、ユーザーがいなくても、クライアントでユーザー入力を生成したり、ユーザー入力動作を制御したりできます。この拡張機能を使用するには、サーバーの DDX 層を変更する必要があります。

その他の拡張

MIT-SUNDRY-NONSTANDARD 拡張機能は MIT で開発されたため、ftp.x.org のマシン上での標準ではありません。この拡張機能は、X11R3 以前のクライアントが出すさまざまな間違ったプロトコル要求を処理します。特定の誤った要求が処理されるようにバグ互換モードを有効にするか、誤った要求についてはエラーを返すようにバグ互換モードを無効にする要求を出します。また、この拡張機能は、現在のモードの状態を取得する要求も出します。

この拡張機能は、xset で動的に有効、無効を切り替えることも、openwin でサーバー起動時に指定することもできます。詳細は、xset(1) と openwin(1) のマニュアルページ (特に -bc オプション) を参照してください。

XC-MISC

この X コンソーシアムの標準拡張機能により、アプリケーションは XID を再利用できます。アプリケーションによっては、XID の作成と破棄がただちに行われるため、決められた XID の範囲を超える場合があります。ほとんどのアプリケーションではこの拡張機能は必要ありません。この仕様は、/pub/X11/xc/doc/specs/Xect/xc-misc.ms にあります。

X イメージング拡張機能

X イメージング拡張機能 (X Imaging Extension、XIE) は、X コンソーシアム標準を Sun が実装したものです。