Solaris 共通デスクトップ環境 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド

登録パッケージの作成例

次の手順では、既存のデスクトップ化されていない BestTextEditor というアプリケーションに登録パッケージを作成します。

BestTextEditor について知っておくべき情報

この例では、BestTextEditor アプリケーションについて、次のことを想定しています。

次に、ファイル …/BTEHelp.sdl を生成します。

BestTextEditor を登録するための手順

次の手順で BestTextEditor を登録します。

  1. フォント・リソースとカラー・リソースを修正します。

    BestTextEditor の app-defaults ファイルでは、以下を設定するリソースを削除します。

    • テキストのフォント

    • フォアグラウンドおよびバックグラウンドのカラー

  2. アプリケーションの root を作成します。

    次のディレクトリを作成します。

       /desktop_approots/BTE

    既存のアプリケーションを統合する場合、アプリケーションのインストール位置以外に、アプリケーションの root ディレクトリを作成してください。そうしないと、アプリケーションを更新したときに、作成した構成ファイルが削除されることがあります。

  3. 登録パッケージ・ディレクトリを作成します。

    次のディレクトリを作成します。

       /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/types/C
       /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/help/C
       /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/icons/C
       /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/appmanager/C/BestTextEditor

  4. アプリケーションのアクションとデータ型を作成します。

    1. アクションおよびデータ型定義の構成ファイルを作成します。

         /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/types/C/BTE.dt
    2. BestTextEditor を実行するためのアクション定義を作成します。

            ACTION BTEditor
              {
                WINDOW_TYPE				NO_STDIO
                ICON						BTERun
                DESCRIPTION				Double-click this icon or drop \
                       a BTE data file on it to run \
                       BestTextEditor.
                EXEC_STRING				/usr/BTE/BTEd %Arg_1%
              }
    3. *.bte ファイルのデータ型を作成します。

            DATA_ATTRIBUTES BTEDataFile
              {
                DESCRIPTION				BestTextEditor data file.
                ICON						BTEData
                ACTIONS					Open,Print
              }
      
            DATA_CRITERIA BTEDataFileCriteria1
              {
                DATA_ATTRIBUTES_NAME			BTEDataFile
                NAME_PATTERN						*.bte
                MODE									f
              }
    4. *.tpl ファイルのデータ型を作成します。

            DATA_ATTRIBUTES BTETemplateFile
              {
                DESCRIPTION			BestTextEditor template file.
                ICON					BTETempl
                ACTIONS				Open
              }
      
            DATA_CRITERIAL BTETemplateFileCriteria1
              {
                DATA_ATTRIBUTES_NAME			BTETemplateFile
                NAME_PATTERN						*.tpl
                MODE									f
              }
    5. *.bte ファイルの [開く] アクションを作成します。

            ACTION Open
              {
                ARG_TYPE			BTEDataFile
                TYPE				MAP
                MAP_ACTION		BTEditor
              }
    6. *.bte ファイルの [印刷] アクションを作成します。

      次の例は、データ・ファイルを印刷する簡単な [印刷] アクションです。これらのアクションには、LPDEST 環境変数が必要で、-s 印刷オプションを無視します (LPDEST を設定しない場合、アクションは異常終了する可能性があります)。

            ACTION Print
              {
                ARG_TYPE				BTEDataFile
                TYPE					MAP
                MAP_ACTION			BTEPrintData
              }
            ACTION BTEPrintData
              {
                WINDOW_TYPE				NO_STDIO
                EXEC_STRING				BTEPrint -d $LPDEST %Arg_1%
              }

      次は、BTEPrintData アクションと付随するスクリプトの別のバージョンを示します。アクションとスクリプトは、LPDEST が設定されていないか、サイレント印刷が要求されている状況を処理します。

            ACTION BTEPrintData
              {
                WINDOW_TYPE				NO_STDIO
                EXEC_STRING				/usr/BTE/bin/BTEenvprint \
                							%(File)Arg_1%
              }

      /usr/BTE/bin/BTEenvprint スクリプトは次のとおりです。

            # BTEenvprint
            #!/bin/sh
            DEST=””
            SILENT=””
            if [ $LPDEST ] ; then
            DEST=”-d $LPDEST”
            fi
            BTEPrint $DEST SILENT $1

    7. *.tpl ファイルの [開く] アクションを作成します。

            ACTION Open
              {
                ARG_TYPE			BTETemplateFile
                TYPE				MAP
                MAP_ACTION		BTEditor
              }

    8. *.tpl ファイルの [印刷] アクションを作成します。

            ACTION Print
              {
                ARG_TYPES		BTETemplateFile
                TYPE				MAP
                MAP_ACTION		NoPrint
              }

      NoPrint は、ファイルが印刷できないことをユーザに通知するダイアログ・ボックスを表示する組み込みアクションです。

  5. ヘルプ・ファイルを登録パッケージに組み込みます。

    1. 次の位置に置きます。

            /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/help/C/BTEHelp.sdl
            /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/help/C/graphics/BTE1.xwd
            /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/help/C/graphics/BTE2.xwd
    2. 次のファイルを作成します。

            /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/types/C/BTEhelp.dt 

      次のアクション定義をファイルに入れます。

            ACTION BTEHelp
              {
                WINDOW_TYPE      NO_STDIO
                EXEC_STRING      /usr/dt/bin/dthelpview -helpVolume \
                                 BTEHelp.sdl
                DESCRIPTION      Opens the BestTextEditor help volume.
              }
  6. アプリケーションのアイコンを作成します。

    [アイコン・エディタ] を使用して、アイコンを作成します。表 5–3 に示すサイズのガイドラインを使用します。

    表 5–3 アイコン・サイズのガイドライン

    名前 

    サイズ 

    basename.t.pm

    16x16 

    basename.m.pm

    32x32 

    basename.l.pm

    64x64 

    以下のアイコン・ファイルを次のディレクトリに作成します。

       /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/icons/C
    • アプリケーションを実行するアクションを示すアイコン: BTERun.t.pmBTERun.m.pmBTERun.l.pm

    • *.bte ファイルを示すアイコン: BTEData.t.pmBTEData.m.pm

    • *.tpl ファイルを示すアイコン: BTETempl.t.pmBTETempl.m.pm

    • アプリケーション・グループ (手順 7 で使用) を示すアイコン: BTEApp.t.pmBTEApp.m.pm

  7. アプリケーション・グループを作成します。

    1. まだ作成していない場合は、ディレクトリを作成します。

            /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/appmanager/C/BestTextEditor

    2. (省略可能) アプリケーション・グループのデータ型と関連するアクションを作成して、アプリケーション・グループ・アイコンに一意のアイコンを作成します。この手順を省略すると、アプリケーション・グループはデフォルト・アイコンを使用します。

      次のデータ型とアクション定義をファイル /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/types/C/BTE.dt に追加します。データ型は、アイコンを BestTextEditor アプリケーション・グループが使用するように指定します。アクションは、組み込みアプリケーション・グループと同様の、[開く] と [印刷] の動作を提供します。

            DATA_ATTRIBUTES BestTextEditorAppGroup
              {
                ACTIONS		OpenInPlace,OpenNewView
                ICON			BTEApp
              {
            DATA_CRITERIA BestTextEditorAppGroupCriterial
              {
                DATA_ATTRIBUTES_NAME	BestTextEditorAppGroup
                MODE							d
                PATH_PATTERN				*/appmanager/*/BestTextEditor
              }
            ACTION Open
              {
                ARG_TYPE				BestTextEditorAppGroup
                TYPE					MAP
                MAP_ACTION			OpenAppGroup
              }
            ACTION Print
              {
                ARG_TYPE				BestTextEditorAppGroup
                TYPE					MAP
                MAP_ACTION			PrintAppGroup
              }
    3. アプリケーションを起動するアプリケーション・グループにアイコンを作成します。これを行うには、次のファイルを作成し、ファイルを実行可能にします。

            /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/appmanager/C/BestTextEditor/BTEditor
    4. ヘルプ・ボリュームを開くアプリケーション・グループにアクション・ファイルを作成します。これを行うには、次のファイルを作成し、ファイルを実行可能にします。

            /desktop_approots/BTE/dt/appconfig/appmanager/C/BestTextEditor/BTEHelp
    5. アプリケーション・グループに、README ファイル、サンプル・データ、テンプレート・ファイルなどの他のファイルを置きます。

  8. アプリケーションを登録します。

    端末エミュレータ・ウィンドウで次の操作を実行します。

    1. root でログインします。

    2. 次のコマンドを実行します。

         /usr/dt/bin/dtappintegrate -s /desktop_approots/BTE

    3. [デスクトップツール] アプリケーション・グループを開き、[アプリケーションの再読込み] をダブルクリックします。