Solaris 10 インストールガイド (ネットワークインストール)

x86: CD メディアによる x86 インストールサーバーの作成

インストールサーバーには、ネットワーク上でシステムをインストールするために必要なインストールイメージが含まれます。Solaris ソフトウェアをネットワークからインストールするためには、インストールサーバーを作成する必要があります。必ずしも個別のブートサーバーを設定する必要はありません。

Procedurex86: x86 CD メディアを使用して x86 インストールサーバーを作成する方法

ここでは、x86 CD メディアを使用して x86 インストールサーバーを作成する方法を説明します。

SPARC システム上に x86 ネットワークインストールイメージを作成する場合は、次のトピックを参照してください。


注 –

この手順では、システムでボリュームマネージャーを実行していると仮定しています。ボリュームマネージャーを使用せずにリムーバブルメディアを管理する方法については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』を参照してください。


始める前に

非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードする場合は、CD ベースのネットワークインストールイメージを使用してシステムをアップグレードすることはできません。Solaris 10 DVD からネットワークインストールイメージを作成する必要があります。DVD からネットワークインストールイメージを作成する方法については、第 8 章「DVD メディアを使用したネットワークインストールの準備 (作業)」を参照してください。

手順
  1. インストールサーバーとして使用するシステムでスーパーユーザーになります。

    このシステムには CD-ROM ドライブが必要です。さらに、システムは、このサイトのネットワークに接続されネームサービスに登録されている必要があります。ネームサービスを使用する場合は、システムがすでに NIS、NIS+、DNS、LDAP のいずれかのネームサービスに登録されていなければなりません。ネームサービスを使用しない場合は、サイトのポリシーに従ってシステムの情報を供給する必要があります。

  2. Solaris 10 SOFTWARE - 1 CD をシステムのドライブに挿入します。

  3. CD イメージ用のディレクトリを作成します。


    # mkdir -p install_dir_path
    
    install_dir_path

    CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。

  4. マウントされたディスクの Tools ディレクトリに移動します。

    • Solaris 10 3/05 リリースの場合は、次のコマンドを入力します。


      # cd /cdrom/cdrom0/s2/Solaris_10/Tools
      
    • Solaris 10 1/06 以降のリリースの場合は、次のコマンドを入力します。


      # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Tools
      

    前の例では、cdrom0 は Solaris OS の CD メディアが入っているドライブへのパスです。

  5. ドライブ内のイメージをインストールサーバーのハードディスクにコピーします。


    # ./setup_install_server install_dir_path
    
    install_dir_path

    CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。


    注 –

    setup_install_server コマンドは、Solaris 10 SOFTWARE のディスクイメージをコピーする十分なディスク容量があるかどうかを調べます。利用できるディスク容量を調べるには、df -kl コマンドを使用します。


  6. ほかのシステムがインストールサーバーをマウントできるように設定する必要があるかどうかを判断します。

    • インストールサーバーとクライアント (インストールしているシステム) が同じサブネット上にある場合、あるいは、DHCP を使用している場合、ブートサーバーを作成する必要はありません。手順 7 に進みます。

    • インストールサーバーがインストールするシステムと同じサブネット上に存在せず、DHCP を使用していない場合は、次の手順を実行してください。

      1. インストールサーバーのイメージへのパスが適切に共有されていることを確認します。


        # share | grep install_dir_path
        
        install_dir_path

        CD イメージがコピーされているインストールイメージへのパスを指定します。

        • インストールサーバーのディレクトリへのパスが表示されて、anon=0 がオプションに表示される場合、手順 7 に進みます。

        • インストールサーバーのディレクトリのパスが表示されないか、オプション内に anon=0 と示されない場合は、次の作業へ進みます。

      2. 次のエントリを /etc/dfs/dfstab ファイルに追加し、インストールサーバーが利用できるように設定します。


        share -F nfs -o ro,anon=0 -d "install server directory" install_dir_path
        
      3. nfsd デーモンが動作していることを確認します。

        • インストールサーバーで Solaris 10 OS またはその互換バージョンが実行されている場合は、次のコマンドを入力します。


          # svcs -l svc:/network/nfs/server:default
          

          nfsd デーモンが稼働している場合は、手順 d に進みます。nfsd デーモンが稼働していない場合は、このデーモンを起動します。


          # svcadm enable svc:/network/nfs/server
          
        • インストールサーバーで Solaris 9 OS またはその互換バージョンが実行されている場合は、次のコマンドを入力します。


          # ps -ef | grep nfsd
          

          nfsd デーモンが稼働している場合は、手順 d に進みます。nfsd デーモンが稼働していない場合は、このデーモンを起動します。


          # /etc/init.d/nfs.server start
          
      4. インストールサーバーを共有します。


        # shareall
        
  7. ルート (/) ディレクトリへ移動します。


    # cd /
    
  8. Solaris 10 SOFTWARE - 1 CD を取り出します。

  9. Solaris 10 SOFTWARE - 2 CD をシステムの CD-ROM ドライブに挿入します。

  10. マウントされた CD の Tools ディレクトリに移動します。


    # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Tools
    
  11. CD-ROM ドライブ内の CD をインストールサーバーのハードディスクにコピーします。


    # ./add_to_install_server install_dir_path
    
    install_dir_path

    CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。

  12. ルート (/) ディレクトリへ移動します。


    # cd /
    
  13. Solaris 10 SOFTWARE - 2 CD を取り出します。

  14. インストールする Solaris 10 SOFTWARE CD ごとに、手順 9 から手順 13 を繰り返します。

  15. Solaris 10 LANGUAGES CD をシステムの CD-ROM ドライブに挿入します。

  16. マウントされた CD の Tools ディレクトリに移動します。


    # cd /cdrom/cdrom0/Tools
    
  17. CD-ROM ドライブ内の CD をインストールサーバーのハードディスクにコピーします。


    # ./add_to_install_server install_dir_path
    
    install_dir_path

    CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。

  18. ルート (/) ディレクトリへ移動します。


    # cd /
    
  19. setup_install_server によって作成されたネットインストールイメージ上のミニルート内のファイルにパッチを適用します。ブートイメージに問題がある場合は、ファイルにパッチを適用する必要があります。

    • x86 版 Solaris 10 3/05 リリースでは、patchadd -C コマンドを使用してミニルート内のファイルにパッチを適用します。


      # patchadd -C install_dir_path path-to-patch/patch-id
      
      install_dir_path

      ネットワークインストールのミニルートのパスを指定します。

      path-to-patch

      たとえば /var/sadm/spool のように、追加するパッチのパスを指定します。

      patch-id

      適用するパッチ ID を指定します。


      注意 – 注意 –

      patchadd -C を使用する前には必ず、パッチの README を読むか、ご購入先におたずねください。


    • x86 版 Solaris 10 1/06 以降のリリースでは、次の手順に従って x86 ネットワークインストールのミニルートにパッチを適用します。

      1. インストールサーバーで x86 版 Solaris 10 1/06 リリースが実行されていない場合は、 x86 版 Solaris 10 1/06 リリースが実行されているネットワーク上の別のシステムに、スーパーユーザーとしてログインします。

        x86 版 Solaris 10 1/06 のミニルートにパッチを適用するには、使用しているシステムで x86 版 Solaris 10 1/06 リリースが実行されている必要があります。

        インストールサーバーで x86 版 Solaris 10 1/06 リリースが実行されている場合は、手順 d に進んでください。

      2. 手順 5 で作成したインストールイメージの Tools ディレクトリに移動します。


        # cd install-server-path/install-dir-path/Solaris_10/Tools
        
        install-server-path

        たとえば /net/installserver-1 のように、ネットワーク上のインストールサーバーシステムへのパスを指定します。

      3. 新しいインストールイメージを作成し、そのイメージを x86 版 Solaris 10 1/06 リリースが実行されているシステムに置きます。


        # ./setup_install_server remote_install_dir_path
        
        remote_install_dir_path

        新しいインストールイメージを作成する、x86 版 Solaris 10 1/06 システム上のパスを指定します。

        このコマンドにより、 x86 版 Solaris 10 1/06 システム上に新しいインストールイメージが作成されます。このイメージにパッチを適用するには、x86 版 Solaris 10 1/06 リリースが実行されているシステム上に、このイメージを 一時的に置く必要があります。

      4. ネットワークインストールのブートアーカイブを展開します。


        # /boot/solaris/bin/root_archive unpackmedia install_dir_path \
          destination_dir
        
        install_dir_path

        x86 ネットワークインストールイメージへのパスを指定します。手順 c で新しいインストールイメージを作成している場合は、x86 版 Solaris 10 1/06 システム上のその新しいイメージへのパスを指定します。

        destination_dir

        展開されたブートアーカイブを含むためのディレクトリへのパスを指定します。

      5. 展開されたブートアーカイブにパッチを適用します。


        # patchadd -C destination_dir path-to-patch/patch-id
        
        path-to-patch

        たとえば /var/sadm/spool のように、追加するパッチのパスを指定します。

        patch-id

        適用するパッチ ID を指定します。

        patchadd -M コマンドを使用すると、複数のパッチを指定できます。詳細は、patchadd(1M) を参照してください。


        注意 – 注意 –

        patchadd -C コマンドを使用する前には必ず、パッチの README を読むか、ご購入先におたずねください。


      6. x86 ブートアーカイブを圧縮します。


        # /boot/solaris/bin/root_archive packmedia destination_dir \
          install_dir_path
        
      7. 必要に応じて、パッチを適用したミニルートを、インストールサーバー上のインストールイメージにコピーします。

        リモートの x86 版 Solaris 10 1/06 システム上のミニルートにパッチを適用した場合は、パッチを適用したそのミニルートをインストールサーバーにコピーする必要があります。


        # cp remote_install_dir_path/boot/x86.miniroot \
          install-server-path/install_dir_path/boot/x86.miniroot
        
  20. ブートサーバーを作成する必要があるかどうかを判断します。


例 9–3 x86: x86 CD メディアによる x86 インストールサーバーの作成

次の例は、インストールサーバーの /export/home/cdx86 ディレクトリに次の CD をコピーしてインストールサーバーを作成する方法を示しています。この例では、インストールサーバーで Solaris 10 OS が実行されていると仮定します。

Solaris 10 SOFTWARE - 1 CD (x86 版) をシステムの CD-ROM ドライブに挿入します。

次のコマンドセットのうちのいずれかを選択してインストールサーバーを設定します。


# cd /

Solaris 10 SOFTWARE - 1 CD (x86 版) を取り出します。CD-ROM ドライブに Solaris 10 SOFTWARE - 2 CD (x86 版) を挿入します。


# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Tools
# ./add_to_install_server /export/home/cdx86
# cd /

インストールする Solaris 10 SOFTWARE CD ごとに、上記のコマンドを繰り返します。

CD-ROM ドライブに Solaris 10 LANGUAGES CD (x86 版) を挿入します。


# cd /cdrom/cdrom0/Tools
# ./add_to_install_server /export/home/cdx86

インストールの続行

インストールサーバーを設定したあと、クライアントをインストールクライアントとして追加する必要があります。ネットワーク経由でインストールするクライアントシステムの追加方法については、「CD イメージを使用してネットワークからインストールするシステムの追加」を参照してください。

DHCP を使用しておらず、クライアントシステムがインストールサーバーとは異なるサブネット上にある場合は、ブートサーバーを作成する必要があります。詳細は、「CD イメージを使用したサブネット上でのブートサーバーの作成」を参照してください。

参照

setup_install_server コマンドおよび add_to_install_server コマンドの詳細については、install_scripts(1M) を参照してください。