Solaris 10 の概要

第 2 章 Solaris 10 5/08 リリースの新機能

この章では、Solaris 10 5/08 リリースで導入されたすべての新機能の概要を示します。

システム管理の機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のシステム管理機能および拡張機能が追加されました。

Solaris Trusted Extensions 管理の手順

このリリース以降、Solaris OS のインストール時に SolarisTM Trusted Extensions パッケージがインストールされます。ExtraValue ディレクトリはなくなりました。以前はこのディレクトリに Solaris Trusted Extensions パッケージが含まれていました。Solaris Trusted Extensions の機能は、サービス管理機能 (SMF) によって svc:/system/labeld:default サービスとして管理されます。このサービスは有効にする必要があります。サービスがオンライン状態になったら、システムをリブートして Solaris Trusted Extensions を有効にしてください。リブート後に追加の設定を行う必要があります。詳細は、『Solaris Trusted Extensions 構成ガイド』を参照してください。

Solaris 10 5/08 リリースには次の機能も含まれています。

Solaris Trusted Extensions の詳細は、『Solaris Trusted Extensions 管理の手順』を参照してください。

フラッシュ更新ツール

fwflash(1M) は、PCI-X および PCI-Express の HBA および HCA カードを操作するための、新しい Solaris コマンドです。このコマンドでは現在、InfiniBand HCA カードのファームウェアの表示、読み取り、および書き込みを行えます。

このコマンドの詳細については、fwflash(1M) のマニュアルページを参照してください。

PPD ファイル管理ユーティリティー

PostScriptTM Printer Description (PPD) ファイル管理ユーティリティー /usr/sbin/ppdmgr は、Solaris 印刷サブシステムで使用される PPD ファイルを管理します。

ppdmgr ユーティリティーを使用して実行できる作業は、次のとおりです。

新しい PPD ファイルを追加するには、ppdmgr ユーティリティーを使用するか、lpadmin -n コマンドを使用します。新しい PPD ファイルを追加すると、printmgr GUI がサポートされているプリンタの情報を表示する際に使用する PPD ファイル情報のキャッシュが、自動的に更新されます。


注 –

Solaris OS における PPD ファイルの配信場所が変更されました。ソフトウェアのアップグレード中に、以前の PPD ファイル配信場所の PPD ファイルを使って定義された印刷待ち行列を持つプリンタサーバーのすべてが自動更新され、新しい PPD ファイル配信場所が有効になります。


さらに、新しい SMF サービス print/ppd-cache-update が導入されました。print/ppd-cache-update サービスはデフォルトで有効になっています。このサービスはシステムリブート時に 1 回実行され、その結果、システム上のすべての PPD ファイルリポジトリの変更内容に基づいてプリンタのキャッシュ情報が更新されます。ソフトウェアのインストール後またはアップグレード後は、システムリブート時にこのサービスがオンライン状態に遷移するまでの時間が、通常よりも長くなる可能性があります。また、PPD キャッシュの最終更新後に PPD ファイルリポジトリに変更が加えられた場合も、システムリブート時にこのサービスのオンラインになるまでの時間が、通常よりも長くなる可能性があります。システム上の PPD ファイルリポジトリに対する変更内容が Solaris 印刷マネージャーによって使用される PPD キャッシュに反映されるのは、print/ppd-cache-update サービスがオンラインになったあとです。

詳細については、次を参照してください。

Internet Printing Protocol のクライアント側サポート

Internet Printing Protocol (IPP) のクライアント側サポートによって、Solaris クライアントシステムは、Linux および Mac OS X オペレーティングシステムやその他のプラットフォーム上の印刷サービスなど、IPP ベースの印刷サービスとの通信が行えます。

IPP 待機サービスのサーバー側サポートも若干改善されています。これらの改善により相互運用性が向上しています。たとえば、いくつかのマイナー変更により、プリンタやジョブの属性データの表現がより標準化されています。

Solaris OS の IPP サーバーおよびクライアント実装は、現在開発中のいくつかの OpenSolarisTM 印刷プロジェクトのうちの 1 つです。OpenSolaris 印刷によって提供されるソフトウェアの一連の仕様や実装によって、Solaris および Linux ソフトウェア向けに、あるいは一連の POSIX インタフェースを含む任意のオペレーティングシステム向けに、標準化され、かつスケーラブルな印刷コンポーネントを作成できます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (印刷)』を参照してください。

OpenSolaris の印刷機能については、http://jp.opensolaris.org/os/community/printing/ を参照してください。

Solaris プリンタサーバーデータベースのホスト名として localhost の選択が可能

この印刷機能によって、Solaris 印刷システムは印刷システムデータベース内で localhost をローカルホストとして認識および使用できます。以前のリリースでは、印刷ホスト名の生成時には常に /bin/hostname が使用されていました。印刷システムは、この名前が一定に保たれることを前提にしていました。localhost を現在のシステムの名前として使用できることにより、プリンタサーバーはシステムのホスト名にかかわらず同じ印刷ホスト名を維持できます。


注 –

この変更はローカル印刷待ち行列の設定にのみ適用されます。


この機能をサポートするため、lpadmin コマンドおよび Solaris 印刷マネージャーのグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) が次のように変更されています。

詳細については、次を参照してください。

T5140/T5240 プラットフォーム用の障害管理

Sun SPARC Enterprise T5140 および T5240 プラットフォームでは、Solaris の予測的自己修復テクノロジを使用できます。予測的自己修復機能には次のものが含まれます。

詳細については、http://www.sun.com/software/solaris/ds/self_healing.jsp および http://opensolaris.org/os/community/fm を参照してください。

SunVTS 7.0

SunVTSTM は、Sun のハードウェアプラットフォームとその周辺機器をサポートするために設計された、包括的なシステム検証およびテストスイートです。SunVTS 7.0 は、SunVTS 6.0 とその互換バージョンの次世代版です。

SunVTS 7.0 に含まれる機能は次のとおりです。

SunVTS 7.0 は従来の 3 層アーキテクチャーモデルに従っています。このモデルは、ブラウザベースのユーザーインタフェース、Java ベースの中間サーバー、および診断エージェントから構成されます。

システム資源の機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のシステム資源機能と拡張機能が追加されました。

Solaris ゾーンとブランドゾーン

ゾーンを新しいマシンに移動する前にそのゾーン移行の評価実行を行うには、「実行なし」オプション -n を使用します。

-n オプションを指定して zoneadm detach サブコマンドを使用すると、実際にゾーンを切り離さずに実行中のゾーンでマニフェストを生成できます。移行元のシステムのゾーンの状態は変わりません。-n オプションを指定して zoneadm attach サブコマンドを使用すると、このマニフェストを読み取り、実際に接続を行わずに、移行先のマシンがゾーンのホストとして機能するための適正な構成を保持しているかどうかを確認できます。

詳細については、次を参照してください。

CPU キャップ

CPU キャップは、あるプロジェクトまたはゾーンで消費可能な CPU 資源の量に関する絶対的な細粒度の上限を提供します。CPU キャップは、zonecfg 資源として、およびプロジェクト全体やゾーン全体の資源制御として提供されます。

詳細については、次を参照してください。

projmod(1M) のオプション

プロジェクトデータベース内に定義された資源制御値をアクティブなプロジェクトに適用するには、projmod コマンドで -A オプションを指定します。prctl(1) で手動設定された値など、プロジェクトファイルに定義された値に一致しない既存の値は削除されます。

デバイス管理の機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のデバイス管理機能と拡張機能が追加されました。

テープ自己識別

テープ自己識別機能は、テープドライブから提供されるパラメータに基づいてテープを自動設定します。テープドライブの設定データはこれまで、ユーザーが編集可能な設定ファイル、組み込み設定テーブル、またはデフォルト値によって静的に提供されていました。テープ自己識別機能はいくつかの SCSI コマンドを使って、必要なパラメータのクエリーをテープドライブに対して直接行います。st ドライバがパラメータを取得すると、テープドライブはそれらのパラメータを Solaris OS 上で使用します。

従来のファイルベースの設定に対するテープ自己識別の利点は、次のとおりです。

x86: Enhanced Speedstep CPU 電力管理

このリリース以降、Intel の Enhanced SpeedstepTM テクノロジが Solaris OS 上でサポートされます。Enhanced Speedstep サポートによって、Solaris プラットフォームユーザーはプロセッサのアイドル時の周波数を下げることで Intel プロセッサの電力消費を管理できます。

Solaris の CPU 電力管理を有効にする方法の詳細については、power.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

x86: PowerNow! CPU パフォーマンス管理

このリリース以降、AMD の PowerNow! テクノロジが Solaris OS 上でサポートされます。PowerNow! サポートにより、Solaris プラットフォームのユーザーは実行する作業に応じてプロセッサの動作周波数や電圧を調整して Opteron 10h ファミリプロセッサの電力消費を管理できるようになります。

Solaris の CPU 電力管理を有効にする方法の詳細については、power.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

Solaris iSCSI ターゲットにおける iSNS のサポート

この Solaris リリースは、Solaris iSCSI ターゲットソフトウェアにおける Internet Storage Name Service (iSNS) プロトコルのサポートを提供します。iSNS プロトコルによって、TCP/IP ネットワーク上での iSCSI デバイスの発見、管理、および設定を自動化できます。

Solaris の iSCSI ターゲットソフトウェアには、ネイティブの iSNS サーバーサポートが含まれていません。ただし、この Solaris 10 リリースでは、既存の iSNS サーバーにアクセスしてネットワーク内の iSCSI デバイスを自動的に発見する機能を追加できます。

iSNS サーバーを発見するように Solaris iSCSI ターゲットを設定したり、iSNS 発見機能を有効化または無効化したりするには、iscsitadm コマンドを使用します。ホスト名か IP アドレスを使用して iSNS サーバーを指定します。

詳細は、iscsitadm(1M) のマニュアルページおよび『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 14 章「Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータの構成 (手順)」を参照してください。

セキュリティーの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のセキュリティー機能と拡張機能が追加されました。

Solaris Trusted Extensions が NFSv3 プロトコルによるラベル付きファイルシステムのマウントをサポート

このリリース以降、Solaris Trusted Extensions ソフトウェアで、NFS Version 4 (NFSv4) だけでなく NFS Version 3 (NFSv3) を使ってラベル付きファイルシステムをマウントできます。Solaris Trusted Extensions では、NFS の基盤トランスポートプロトコルとして TCP を使用することに関する制限は一切ありません。ただし、NFSv3 の読み取り NFS アクセスの基盤プロトコルとしてユーザーデータグラムプロトコル (UDP) を選択することはできません。初期マウント操作での UDP の使用はサポートされますが、後続のマルチレベル NFSv3 操作では UDP はサポートされません。

SPARC: ハードウェア高速化による楕円曲線暗号方式 (ECC) のサポート

UltraSPARC T2 (Niagara 2) ベースのプラットフォームは、楕円曲線暗号方式 (ECC) アルゴリズムのハードウェア高速化をサポートします。Solaris OS はこれらのプラットフォーム上で、高パフォーマンスの ECDSA および ECDH をサポートするようになりました。これらの新しい ECC アルゴリズムは、Java テクノロジおよび OpenSSL のユーザーを含む、Solaris 暗号化フレームワークのすべてのユーザーからアクセス可能です。

ネットワークの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のネットワーク機能と拡張機能が追加されました。

ソケット直接プロトコル

ソケット直接プロトコル (SDP) は、InfiniBand トランスポートフレームワーク (IBTF) の上位層にあたるトランスポートプロトコルです。SDP は、Infiniband Architecture Specification Vol1 の Annex 4 に基づく標準実装です。 SDP は信頼性の高いバイトストリームのフロー制御された双方向データ伝送機能を提供し、TCP に非常によく似ています。

詳細は、sdp(7D) のマニュアルページを参照してください。

inetd バックログキューサイズ

このリリース以降、inetd によって管理されるサービスのバックログキューサイズを設定するためのチューニング可能プロパティーが導入されています。この機能によって、キューサイズの変更を可能にする connection_backlog という名前の SMF プロパティーが inetd に追加されます。connection_backlog キューサイズのデフォルト値は 10 です。connection_backlog プロパティーは inetadm コマンドを使用して変更できます。次に例を示します。

詳細は、inetadm(1m) のマニュアルページを参照してください。

X11 ウィンドウ表示の機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次の X11 ウィンドウ機能と拡張機能が追加されました。

Xvnc サーバーと Vncviewer クライアント

VNC は、遠隔フレームバッファー (RFB) プロトコル上でリモートデスクトップセッションを提供します。VNC ビューアとしてより広く知られている RFB クライアントは、オープンソースと商用リリースの両方において、ほとんどのプラットフォームで利用可能になっています。

Solaris 10 5/08 リリースには Xvnc が含まれています。Xvnc は、RealVNC プロジェクトと X.Org Foundation のオープンソースリリースに基づく X サーバーです。Xvnc はネットワーク経由で RFB プロトコルのクライアントに表示されますが、その際、ローカルのビデオハードウェア上での既存の X サーバーセッション表示は必要ありません。また、このリリースには、リモートの VNC サーバーに接続するための RealVNC の vncviewer RFB クライアントと、それらのサーバーを管理するためのいくつかの関連プログラムも含まれています。

詳細は、『System Administration Guide: Virtualization Using the Solaris Operating System』を参照してください。Xvnc(1) および vncviewer(1) のマニュアルページも参照してください。

デスクトップツールの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のデスクトップツール機能と拡張機能が追加されました。

StarSuite 8

このリリース以降、StarSuite が最新版の StarSuite 8 に機能強化されています。

StarSuite の詳細は、http://jp.sun.com/products/software/starsuite/ を参照してください。

Flash Player 9

このリリース以降、Solaris OS には Adobe Flash Player 9 が含まれています。この Flash Player の詳細については、http://www.adobe.com/products/flashplayer/productinfo/features/ を参照してください。

Pidgin 2.0

Pidgin は有名なオープンソースのインスタントメッセージングクライアントです。Pidgin 2.0 に含まれる機能は次のとおりです。

PAPI 印刷コマンド

Free Standards Group (FSG) Open Printing API (PAPI) コマンドによって、よく使用される印刷コマンドがいくつか置き換えられています。それらには次のものが含まれます。

Open Printing API コマンドの実装は、Solaris OS の Free Standards Group Open Printing API の上に配置されています。この実装によって、複数のプロトコルまたはサービスの上でコマンドを実行できます。

次に、新しい印刷コマンド実装の利点をいくつか示します。

PAPI 印刷コマンドの詳細は、次の情報を参照してください。

システムパフォーマンスの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のシステムパフォーマンス機能と拡張機能が追加されました。

64 ビット SPARC: sun4v プラットフォーム向けのメモリー配置最適化サポート

メモリー配置最適化 (MPO) により、オペレーティングシステムは、スレッドまたはプロセッサが実行されているコアに対してローカルなメモリーを割り当てることができます。sun4v アーキテクチャーは仮想化されたハードウェア環境で実行されます。sun4v プラットフォーム向けの MPO 機能は、汎用 MPO フレームワークの局所性情報を提供できるように、sun4v 層で必要となる標準アクセサを提供します。この機能は、メモリーアクセス待ち時間が異なる複数のソケットを含むプラットフォームで効果的です。MPO 機能は、OS がノードに対してローカルなメモリーを割り当てられるようにすることで、各種アプリケーションのパフォーマンスを向上させます。

SPARC: 共有コンテキストのサポート

メモリー管理ユニット (MMU) ハードウェアは、異なるプロセスアドレス空間にある同じ仮想アドレスの使用を区別するためにコンテキストメカニズムを使用しますが、共有メモリー使用時にはこれによってある程度の非効率性が発生します。この共有メモリーの非効率性は、特定の共有メモリー位置にあるデータと異なるプロセス内のアドレスが実際には同一である可能性があるにもかかわらず、それぞれのプロセスに関連付けられたコンテキスト番号が異なることによるものです。このため、MMU ハードウェアは一致を認識できません。このように一致を認識できないことから、MMU 変換キャッシュと変換索引バッファー (TLB) からマッピングが不必要に削除されることになり、結局それが別のコンテキスト番号を持つ同一のマッピングで置き換えられます。

Niagara 2 システムに含まれる追加の共有コンテキストは、共有メモリー処理の非効率性の発生を防ぐために使用可能なハードウェア機能です。TLB を検索し、非公開コンテキスト上または共有コンテキスト上のいずれかで一致をマッピングすると、TLB がヒットします。共有コンテキストに対する現在のソフトウェアサポートは、Dynamic Intimate Shared Memory (DISM) を使用するプロセスでこの機能をアクティブにします。この場合、プロセステキストセグメントと、各プロセスで同じアクセス権で同じ仮想アドレスにマップされた DISM セグメントが、共有コンテキストを使用します。

x86: CPUID ベースのキャッシュ階層認識

最近の Intel プロセッサには、プロセッサのキャッシュ階層に関する情報を CPUID 命令経由で発見するためのインタフェースが用意されています。

言語サポートの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次の言語サポート機能と拡張機能が追加されました。

ロケールクリエータ

ロケールクリエータは、ユーザーが Solaris ロケールを作成およびインストールできるようにするための、コマンド行およびグラフィカルユーザーインタフェースツールです。ユーザーはロケールクリエータを使用することで、特定のロケールのカスタマイズ済みロケールデータを含むインストール可能な Solaris パッケージを作成できます。作成されたパッケージのインストールが完了すると、十分に実用的なロケールをシステムで使用できるようになります。

詳細については、次を参照してください。

libchewing 0.3.0

chewing 入力方式 (IM) は、繁体字中国語を入力するためのオープンソースライブラリ libchewing に基づいています。libchewing は libchewing 0.3.0 バージョンにアップグレードされました。新バージョンの機能の一部を次に示します。

詳細は、『国際化対応言語環境の利用ガイド』を参照してください。

ファイルエンコーディング検査機能

ファイルエンコーディング検査機能 (fsexam) を使用すると、ファイルの名前やプレーンテキストファイルの内容を、従来の文字エンコーディングから UTF-8 エンコーディングに変換できます。fsexam ユーティリティーの新機能は次のとおりです。

詳細は、fsexam(1) および fsexam(4) のマニュアルページを参照してください。

カーネルの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のカーネル機能と拡張機能が追加されました。

x86: MONITOR および MWAIT CPU アイドルループ

Solaris OS は、x86 プロセッサのアイドルループ内で SSE3 の MONITOR 命令と MWAIT 命令を使用します。プロセッサアイドルループ内でこれらの SSE3 命令を使用すると、割り込みを送受信して停止中のプロセッサを起動するオーバーヘッドが取り除かれます。MONITOR は、アイドルループ監視用のメモリー範囲を指定するために使用されます。MWAIT は、MONITOR で事前に指定されたアドレスへのアクセスが発生するまで、プロセッサを停止します。新しいアイドルループの場合、プロセッサがメモリーへの書き込みを行う必要があるのは、停止中のプロセッサを起動する時だけです。

ドライバの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のドライバ機能と拡張機能が追加されました。

x86: Sun Fire X4540 ディスクステータスインジケータのサポート

このリリース以降、Sun Fire X4540 のディスクステータスインジケータがサポートされます。黄色の Fault ステータス LED と青色の Ready to Remove ステータス LED が、この機能によって有効になります。

詳細は、『Sun Fire X4540 Server Diagnostics Guide』を参照してください。

mpt(7D) での Serial Attached SCSI デバイスの MPxIO 拡張

mpt ドライバは、サポートされたストレージデバイスを搭載した MPxIO に対応するように機能が向上しました。Serial Attached SCSI (SAS) および SATA デバイスで MpxIO が有効化になっていると、fp(7D) の下のファイバチャネルデバイスと同様に、それらのデバイスが scsi_vhci(7D) の下に列挙されます。

このリリース以降、stmsboot(1M) も機能拡張され、マルチパス対応 SAS デバイスをサポートするようになりました。stmsboot(1D) はデフォルトで、接続されているすべてのマルチパス対応コントローラ上で動作します。

fp または mpt コントローラ上でのみマルチパスを有効にするには、処理を制限するために追加された新しいフラグを使用します。コマンド /usr/sbin/stmsboot -D mpt -e は、接続されている mpt コントローラ上でのみ MPxIO を有効にします。このコマンドの mptfp に置き換えると、stmsboot により、接続されている fp コントローラ上の MPxIO だけが有効になります。

x86: AHCI ドライバの SATA ATAPI サポート

AHCI ドライバは、SATA ATAPI CD または DVD デバイスをサポートします。ユーザーは互換モードの代わりに AHCI モードで、SATA CD または DVD を使用できます。AHCI モードは、より優れたエラー処理とホットプラグ機能を備えています。

詳細は、ahci(7D) のマニュアルページを参照してください。

x86: AMD–8111

AMD-8111 HyperTransport I/O ハブには、10/100 Mbps Ethernet LAN コントローラが含まれています。このドライバは Andretti プラットフォームで使用されます。

AHCI ドライバの NCQ サポート

AHCI ドライバは SATA NCQ 機能をサポートします。NCQ サポートを使用すると、ドライバのパフォーマンスが改善されます。

詳細は、ahci(7D) のマニュアルページを参照してください。

x86: bnx II Ethernet ドライバ

このリリース以降、BRCM5706C、BRCM5706S、BRCM5708C、BRCM5708S などの Broadcom NetXtreme (bnx) II Ethernet チップセットに対するサポートが提供されます。

詳細は、bnx(7D) のマニュアルページを参照してください。

Keyspan アダプタ用 USB-to-Serial ドライバ

このリリース以降、Keyspan USB-to-Serial アダプタ用の新しいドライバが提供されます。このドライバは、USA-19HS モデルをサポートします。この機能によって、Edgeport アダプタと Keyspan アダプタから選択できます。

詳細は、usbsksp(7D) のマニュアルページを参照してください。

フリーウェアの機能拡張

Solaris 10 5/08 リリースでは、次のフリーウェア機能と拡張機能が追加されました。

32 ビット: pgAdmin III

pgAdmin III は、PostgreSQL 向けの、有名で機能の豊富なオープンソースの管理および開発プラットフォームです。そのグラフィカルインタフェースはすべての PostgreSQL 機能をサポートしており、管理作業を容易にします。このツールによって、ユーザーは単純な SQL クエリーを記述したり、複雑なデータベースを開発したりすることができます。

詳細は、http://www.pgadmin.org/ を参照してください。

p7zip

このリリース以降、Solaris OS には p7zip ポートが含まれます。p7zip は、Windows の圧縮およびアーカイブユーティリティー 7zip に似ています。

詳細は、http://p7zip.sourceforge.net/ を参照してください。