この節では、Solaris Express 8/04 での新機能である Java プラットフォームの機能について説明します。
Java 2 Platform, Standard Edition (J2SETM) 5 は、互換性と安定性を維持しながらも多くの新機能と機能更新が導入された、非常に重要なリリースです。この節で説明する機能の詳細については、http://java.sun.com/j2se/5.0 を参照してください。
Java 言語を使用する開発者は、Solaris Express 8/04 で次の機能を利用できるようになりました。
型保証された総称型を宣言する機能。
プリミティブ型と対応するオブジェクト型との間で型を自動変換する機能 (「autoboxing」、「autounboxing」と呼ばれる)。
型保証された列挙型を作成する機能。より具体的には、拡張された「for ループ」。
静的な名前空間をインポートする機能。パッケージ、フィールド、メソッド、クラスとともに使用する注釈 API。
戻り値の型のサブクラス化、共変戻り値、および可変長引数リストの使用を許可。javac コンパイラはこれらの機能をデフォルトで有効にします。
こうした Java プログラミング言語の変更により、コードの複雑さが減少し、通常の Java プログラミング作業時に必要となる追加コードの分量を減らすことができます。また、これらの変更により、開発者が引き起こす実行時エラーの発生頻度も減ります。
Solaris Express 8/04 では、JMX または SNMP プロトコルを使用した業界標準のコンソールで、Java 仮想マシン (JVM) の内部動作を監視できるようになりました。どちらの機構も、デフォルトでは無効になっており、メモリー不足の通知を行うように事前設定されています。また、JMX 機構では、ロギングレベルなどのプロパティーを実行時に動的に設定できるようになっています。
詳細は、http://java.sun.com/j2se/1.5.0/docs/guide/management/index.html を参照してください。
Solaris Express 8/04 の J2SE 5 は、Java プラットフォームを使用する開発者向けに、より高いパフォーマンスとスケーラビリティーを提供します。
2G バイトを超える主メモリーと 3 基以上のプロセッサを備えたマシンでは、拡張サーバーパフォーマンスモードが自動的に選択されます。このモードを選択すると、パフォーマンスが大幅に向上します。特に、J2EETM ベースのアプリケーションサーバーの場合はそれが顕著になります。この拡張パフォーマンスモードでは、並列「ガベージコレクタ」と適切にチューニングされた初期メモリーサイズと最大メモリーサイズを持つ「HotSpot」サーバーコンパイラが使用されます。
詳細は、http://java.sun.com/j2se/1.5.0/docs/guide/vm/gc-ergonomics.html を参照してください。
デスクトップアプリケーションは、新しく追加されたクラスデータ共有の恩恵を受けることができます。インストール中にこの機能により、使用頻度の高い Java クラスの、特殊な事前処理が施されたアーカイブが作成されます。JVM 起動時にこの同じアーカイブが読み込まれるため、処理時間が短縮されます。このアーカイブは、同一マシン上の後続の Java アプリケーションでも利用できます。
OpenGL デバイスが利用可能な場合、JVM は JFC/Swing および Java 2D アプリケーションを高速化できます。この高速化は自動的ですが、デフォルトでは無効になっています。この高速化により、グラフィックを多用したプログラムの多くで、実行時のパフォーマンスが改善されます。
この機能は、Solaris Express 8/04 で新しく追加されました。
開発者は最新の XML 1.1 構文を使用できるようになりました。開発者は、既存のイベントベース XML プロセッサの更新版である SAX 2.0.2 を使って XML を処理できます。また、開発者は、最新のドキュメントベースプロセッサ DOM Level 3 を使用することもできます。XML 変換処理用としては、高速な XSLT コンパイラ (XSLTC) が使用可能となっています。
この機能は、Solaris Express 8/04 で新しく追加されました。
デフォルトの、プラットフォーム間で共通の見た目と使い心地が更新されました。「Ocean (海洋)」と名付けられたこの新しい見た目と使い心地は、デフォルトで有効になっています。さらに、GNOME ベースの GTK の見た目と使い心地が、開発者およびユーザー用として完全に利用可能となりました。
この機能は、Solaris Express 8/04 で新しく追加されました。
管理者と開発者は、監視プロトコルに加え、新しいコマンドベースの診断ツールも使用できます。これらのツールは、次のような作業時に利用できます。
パフォーマンス分析 – jstat
致命的エラーの処理 – XX: OnError
コアファイル分析 – jdi コネクタ
JVM 内部ツール – jstack、jmap、jinfo
さらに、Java の拡張は DTrace トレース機能で利用可能です。
Solaris Express 8/04 の J2SE 5 では、Unicode 4.0 ベースの補助文字がサポートされています。
開発者は、Unicode ベースの補助文字 (Java 文字のペアとして表現) を Java 言語で使用できるようになりました。文字列ベースおよびテキストベースの API を使用する場合、追加作業は特に必要ありません。
詳細は、http://java.sun.com/j2se/1.5.0/docs/ を参照してください。
以前の Software Express パイロットプログラムでは、Unicode 3.2 サポートが利用できていました。Solaris 9 ユーザー向けに、Unicode 3.2 サポートが Solaris 9 8/03 で新しく追加されました。