Solaris 10 の概要

ネットワークの機能拡張

Solaris 10 6/06 リリースでは、次のネットワーク機能と拡張機能が追加されました。

IP フィルタ用の IPv6

このネットワーク機能は、Solaris 10 6/06 リリースで新しく追加されました。

Solaris OS 用の IP フィルタが更新され、IPv6 のサポートが追加されました。IPv6 アドレスを含むパケットフィルタリング規則を適用するには、ipf コマンドを使用します。また、フィルタリングの有効化には、IPv6 拡張ヘッダーを使用します。IP フィルタ統計情報を出力する ipfstat にも、IPv6 オプションが追加されました。

その結果、IPv6 ネットワークに IP フィルタを配備して、セキュリティーを強化できるようになりました。

詳細は、ipf(1M) および ipfstat(1M) のマニュアルページを参照してください。また、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』も参照してください。

UDP と TCP のパフォーマンスの拡張

このネットワーク機能は、Solaris 10 6/06 リリースで新しく拡張されました。

このリリースでは、TCP (トランスミッション・コントロール・プロトコル) と UDP (ユーザーデータグラムプロトコル) の両方のパフォーマンスが強化されました。具体的には、送受信時の待ち時間が短縮され、スループットが増加しています。また、システムパフォーマンスの向上に伴って、ネットワークアプリケーションのパフォーマンスも向上しています。この機能は、大量の UDP パケットを送受信するアプリケーション、または TCP ループバック接続を使用するアプリケーションにとって、特に有益です。

詳細は、ip(7P)tcp(7P)、および udp(7P) のマニュアルページを参照してください。また、『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』も参照してください。

IP_NEXTHOP ソケットオプション

このネットワーク機能は、Solaris 10 6/06 リリースで新しく拡張されました。

IP_NEXTHOP は、ソケットからのトラフィックの次のホップのアドレスを指定する、新しい IP レベルのソケットオプションです。アプリケーションに IP_NEXTHOP オプションを設定すると、このアプリケーションは、宛先で経路指定テーブルの検索を行わず、指定の onlink nexthop に直接パケットを送信するようになります。


注 –

IP_NEXTHOP オプションを設定するスレッドには、PRIV_SYS_NET_CONFIG 特権が必要です。


TCP_INIT_CWND ソケットオプション

このネットワーク機能は、Solaris 10 6/06 リリースで新しく拡張されました。

新しい TCP ソケットオプション TCP_INIT_CWND を使用すると、アプリケーションは、RFC 3390「Increasing TCP's Initial Window」の説明に従って、最初の TCP 輻輳ウィンドウの設定を上書きできるようになります。デフォルトでは、TCP は、接続の設定中およびアイドル時間の発生後に最初の輻輳ウィンドウの設定を行います。アイドル時間とは、TCP 接続の終端間にトラフィックがない状態のことです。アプリケーションは、TCP_INIT_CWND ソケットオプションを使って、最初の輻輳ウィンドウに指定の数の TCP セグメントを設定することができます。したがって、この新しいソケットオプションの値は、接続の開始時とアイドル時間の終了後の両方で使用されます。この値によって、最初の輻輳ウィンドウの設定が行われます。RFC 3390 で計算できる値よりも大きな値を指定する必要がある場合は、プロセスに PRIV_SYS_NET_CONFIG 特権を割り当てる必要があります。

詳細は、tcp(7P) のマニュアルページを参照してください。