Solaris 10 の概要

プロセス権限の管理

この機能は、Software Express パイロットプログラムで新しく追加されました。この機能は、Solaris 10 3/05 に組み込まれています。

Solaris ソフトウェアでは、従来はスーパーユーザー権限を必要としていた管理作業が、プロセス権限の管理によって保護されるようになりました。プロセス権限の管理は、特権を使用して、コマンド、ユーザー、役割、またはシステムレベルでプロセスを制限します。特権とは、プロセスが処理を実行するときに必要となる個別の権限のことです。プロセスに与えられる特権は、現在の作業を実行するために必要なものだけです。このため、悪用される root プロセスが少なくなります。setuid プログラムの数は大幅に減少しました。

インストールされた状態では、Software Express リリースと Solaris 10 3/05 リリースは、特権の機能の拡張に関して、以前のリリースの Solaris オペレーティングシステムと完全に互換性があります。root として動作するプログラムは、変更していなければ、すべての権限が与えられて動作します。

デバイスの保護 – デバイスはセキュリティーポリシーによって保護されます。このポリシーは、特権で強化されます。このため、デバイスファイルに対するアクセス権だけでは、そのデバイスを利用できるかどうかは決まりません。特権は、デバイスを操作するときに必要になることもあります。

UNIX のアクセス権で保護されていたシステムインタフェースは、特権で保護されるようになりました。たとえば、/dev/ip デバイスを開く許可がグループ sys のメンバーに自動的に与えられることはありません。net_rawaccess 特権を使って実行されているプロセスは、/dev/ip デバイスにアクセスできます。システムがブートするときには、ブートシーケンス中に devfsadm コマンドが実行されるまで、すべてのデバイスへのアクセスが制限されます。初期ポリシーは、可能な限り厳しくなっています。このポリシーは、スーパーユーザー以外のすべてのユーザーが、接続を開始できないようにします。

詳細は、次のマニュアルページを参照してください。

Solaris IP MIB 情報を取得する必要があるプロセスは、/dev/arp を開いて、「tcp」モジュールと「udp」モジュールをプッシュする必要があります。特権は不要です。この方法の効果は、/dev/ip を開いて「arp」、「tcp」、および「udp」モジュールをプッシュした場合と変わりません。/dev/ip を開くときに特権が必要になったため、 /dev/arp の方法をお勧めします。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の次の章と節を参照してください。