状態データベースの複製のデフォルトサイズは 4M バイト (8192 ブロック) です。状態データベースの複製は、複製ごとに 4M バイト以上の容量を持つ専用スライス上に作成します。ディスクスライスのサイズがこれより大きい場合は、状態データベースの複製を格納できるように、スライスのサイズを変更できます。スライスのサイズの変更については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 12 章「ディスクの管理 (手順)」を参照してください。
シングルポイント障害を回避するために、複数のスライス、ドライブ、およびコントローラに状態データベースの複製を分散させてください。これは、単一のコンポーネントに障害が発生した場合でも、大半の複製を利用可能な状態に保つ必要があるからです。デバイス障害などによって複製が失われると、Solaris ボリュームマネージャの動作やシステムのリブートに問題が生じることがあります。Solaris ボリュームマネージャが動作するためには、少なくとも半数の複製が有効でなければならず、システムをマルチユーザーモードでリブートするためには過半数 (半数+1) の複製が有効でなければなりません。
Solaris ボリュームマネージャではディスクセット当たり最低 3 つの複製を用意します。また最大 50 の複製を作成できます。次のガイドラインを推奨します。
ドライブが 1 つだけのシステムでは、3 つの複製すべてを 1 つのスライスに置く
ドライブの数が 2 から 4 のシステムでは、各ドライブに 2 つずつ複製を置く
ドライブの数が 5 つ以上のシステムでは、各ドライブに 1 つずつ複製を置く
複数のコントローラが存在する場合は、複製をすべてのコントローラ上にできるだけ均一に分散するようにします。これによって、コントローラ障害に対する冗長性が確保できるだけでなく、負荷の分散も可能になります。同じコントローラ上に複数のディスクが存在する場合は、各コントローラで 2 つ以上のディスクに複製を配置します。
必要であれば、RAID-0、RAID-1、RAID-5 ボリューム、またはソフトパーティションの一部として使用されるスライス上に、状態データベースの複製を作成できます。ただし、その場合は、スライスをボリュームに追加する前に複製を作成する必要があります。Solaris ボリュームマネージャは、スライスの先頭部分を状態データベースの複製用に予約しています。
ボリュームの一部となるスライス上に状態データベースの複製が置かれている場合、ボリュームの容量は、複製によって占有される領域分だけ少なくなります。複製が使用している領域は、次のシリンダ境界に丸められます。ボリュームはこの領域を飛び越します。
RAID-1 ボリュームは、小さいランダム入出力 (データベースの場合など) に使用します。RAID-1 ボリュームごとに、その RAID-1 ボリュームに接続されていない複数のスライス (および、可能であれば別個のディスクとコントローラ) 上に 2 つ以上の複製を余分に作成します。これは、最適な性能を得るために必要な作業です。
状態データベースの複製を既存のファイルシステムや、ルート (/)、/usr、swap ファイルシステムに作成することはできません。必要に応じて、 swap から領域を割り当てることによって、(スライス名が使用できる場合) 新しいスライスを作成できます。その新しいスライスに状態データベースの複製を格納します。
未使用のスライス上に状態データベースの複製を作成できます。
状態データベースの複製は、いつでもシステムに追加できます。状態データベースの複製を追加すると、Solaris ボリュームマネージャの可用性が向上します。
Solstice DiskSuite 製品から Solaris ボリュームマネージャにアップグレードしていて、状態データベースの複製とファイルシステムまたは論理ボリュームの間でスライスが共有されている (それぞれが異なるスライス上に置かれていない) 場合は、既存の複製を削除して同じ場所に新しいデフォルトの複製を作成してはなりません。
Solaris ボリュームマネージャの状態データベースの複製のデフォルトサイズは 8192 ブロックですが、Solstice DiskSuite 製品のデフォルトサイズは 1034 ブロックです。Solstice DiskSuite 製品で作成されたデフォルトサイズの状態データベースの複製を削除し、Solaris ボリュームマネージャで新しくデフォルトサイズの複製を追加する場合は、注意してください。共有スライスの残りの部分を占有しているファイルシステムの先頭 7158 ブロックが上書きされるので、データが破壊されます。