Oracle Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル

SCTP チューニング可能パラメータ

sctp_max_init_retr

備考欄

SCTP 終端が INIT チャンクの再送信位置で行う最大試行回数を制御します。SCTP 終端は、SCTP 設定構造で、この値を上書きできます。

デフォルト

8


範囲

0 から 128

動的か

はい

どのような場合に変更するか

INIT 再送回数は sctp_pa_max_retr に依存します。sctp_max_init_retrsctp_pa_max_retr 以下であれば理想的です。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_pa_max_retr

備考欄

SCTP 接続のすべてのパスを経由する最大再送回数を制御します。この値を超過すると、SCTP 接続は終了します。

デフォルト

10


範囲

1 から 128

動的か

はい

どのような場合に変更するか

すべてのパスを経由する最大再送回数は、パスの数と各パスの最大再送回数によって決定されます。 sctp_pa_max_retr は、使用可能なすべてのパスの sctp_pp_max_retr の合計に設定するべきです。たとえば、宛先までのパス数が 3 で、これらのパスの最大再送回数がそれぞれ 5 回である場合、sctp_pa_max_retr には 15 以下の値を設定するべきです (RFC 2960、Section 8.2 の Note を参照)。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_pp_max_retr

備考欄

特定のパスを経由する最大再送回数を制御します。この数値を超過したパスがあると、パス (宛先) に到達できません。

デフォルト

5


範囲

1 から 128

動的か

はい

どのような場合に変更するか

この値を 5 より小さい値に変更しないでください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_cwnd_max

備考欄

SCTP 接続の輻輳ウィンドウの最大値を制御します。

デフォルト

1,048,576

範囲

128 から 1,073,741,824

動的か

はい

どのような場合に変更するか

アプリケーションが setsockopt(3XNET) を使用してウィンドウサイズに sctp_cwnd_max より大きい値を設定しようとしても、使用される実際のウィンドウが sctp_cwnd_max を超えることはありません。したがって、sctp_max_bufsctp_cwnd_max より大きくするべきです。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_ipv4_ttl

備考欄

SCTP 接続上で、発信 IP バージョン 4 パケットの IP バージョン 4 ヘッダーの TTL 値を制御します。

デフォルト

64


範囲

1 から 255

動的か

はい

どのような場合に変更するか

通常、この値を変更する必要はありません。宛先パスが 64 ホップを超過しそうな場合は、このパラメータの値を大きくします。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_heartbeat_interval

備考欄

HEARTBEAT チャンクからハードビートに対応したアイドル状態の宛先までの間隔を計算します。

SCTP 終端は、相手側のアイドル状態の宛先転送アドレスまでの到達性を監視するため、定期的に HEARTBEAT チャンクを送信します。

デフォルト

30 秒


範囲

0 から 86,400 秒

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 8.3 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_new_secret_interval

備考欄

新しいシークレットを生成するタイミングを判定します。生成されたシークレットから、Cookie の MAC を計算できます。

デフォルト

2 分


範囲

0 から 1,440 分

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 5.1.3 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_initial_mtu

備考欄

IP ヘッダー長を含めた SCTP パケットの初期最大送信サイズを判定します。

デフォルト

1500 バイト


範囲

68 から 65,535

動的か

はい

どのような場合に変更するか

基底リンクが 1500 バイト以上のフレームサイズをサポートする場合は、このパラメータの値を大きくします。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_deferred_ack_interval

備考欄

SCTP 遅延肯定応答 (ACK) タイマーのタイムアウト値をミリ秒で設定します。

デフォルト

100 ミリ秒


範囲

1 から 60,000 ミリ秒

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 6.2 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_ignore_path_mtu

備考欄

パス MTU 検出の有効/無効を切り替えます。

デフォルト

0 (無効)


範囲

0 (無効)、1 (有効)

動的か

はい

どのような場合に変更するか

パスにおける MTU の変更を無視する場合、このパラメータを有効にします。パス MTU が減った場合、このパラメータを有効にすると、IP 分割が行われます。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_initial_ssthresh

備考欄

相手側の宛先アドレスの初期スロースタートしきい値を設定します。

デフォルト

102,400


範囲

1024 から 4,294,967,295

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 7.2.1 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_xmit_hiwat

備考欄

デフォルトの送信ウィンドウサイズをバイト数で指定します。sctp_max_buf も参照してください。

デフォルト

102,400


範囲

8,192 から 1,073,741,824

動的か

はい

どのような場合に変更するか

アプリケーションは、getsockopt(3SOCKET) SO_SNDBUF を使って、個々の接続の送信バッファーを変更できます。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_xmit_lowat

備考欄

送信ウィンドウサイズの下限値を制御します。

デフォルト

8,192


範囲

8,192 から 1,073,741,824

動的か

はい

どのような場合に変更するか

通常、この値を変更する必要はありません。このパラメータは、ソケットの送信バッファーを書き込み可能にするために必要な最小限のサイズを設定します。必要に応じて、sctp_xmit_hiwat と一致するようにこのパラメータを変更できます。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_recv_hiwat

備考欄

デフォルトの受信ウィンドウサイズをバイト数で指定します。sctp_max_buf も参照してください。

デフォルト

102,400


範囲

8,192 から 1,073,741,824

動的か

はい

どのような場合に変更するか

アプリケーションは、getsockopt(3SOCKET) SO_RCVBUF を使って、個々の接続の受信バッファーを変更できます。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_max_buf

備考欄

最大バッファーサイズをバイト数で制御します。これは、アプリケーションが getsockopt(3SOCKET) を使用して設定する送信バッファーおよび受信バッファーの最大値を制御します。

デフォルト

1,048,576


範囲

8,192 から 1,073,741,824

動的か

はい

どのような場合に変更するか

高速ネットワーク環境で接続を確立する場合は、ネットワークリンク速度に合わせて、このパラメータの値を大きくします。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_ipv6_hoplimit

備考欄

SCTP 接続上で、発信 IP バージョン 6 パケットの IP バージョン 6 ヘッダのホップ制限値を設定します。

デフォルト

60


範囲

0 から 255

動的か

はい

どのような場合に変更するか

通常、この値を変更する必要はありません。宛先パスが 60 ホップを超過しそうな場合は、このパラメータの値を大きくします。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_rto_min

備考欄

相手側のすべての宛先アドレスの再送タイムアウト (RTO) の下限値をミリ秒で設定します。

デフォルト

1,000


範囲

500 から 60,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 6.3.1 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_rto_max

備考欄

相手側のすべての宛先アドレスの再送タイムアウト (RTO) の上限値をミリ秒で設定します。

デフォルト

60,000


範囲

1,000 から 60,000,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 6.3.1 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_rto_initial

備考欄

相手側のすべての宛先アドレスの初期再送タイムアウト (RTO) 値をミリ秒で制御します。

デフォルト

3,000


範囲

1,000 から 60,000,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 6.3.1 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_cookie_life

備考欄

Cookie の寿命をミリ秒で設定します。

デフォルト

60,000


範囲

10 から 60,000,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

通常、この値を変更する必要はありません。このパラメータは、sctp_rto_max に合わせて変更できます。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_max_in_streams

備考欄

SCTP 接続 1 個あたりに許可された最大着信ストリーム数を制御します。

デフォルト

32


範囲

1 から 65,535

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 5.1.1 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_initial_out_streams

備考欄

SCTP 接続 1 個あたりに許可された最大発信ストリーム数を制御します。

デフォルト

32


範囲

1 から 65,535

動的か

はい

どのような場合に変更するか

RFC 2960 の 5.1.1 を参照してください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_shutack_wait_bound

備考欄

SHUTDOWN チャンクの送信後、SHUTDOWN ACK を待機する最大待ち時間をミリ秒で制御します。

デフォルト

60,000


範囲

0 から 300,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

通常、この値を変更する必要はありません。このパラメータは、sctp_rto_max に合わせて変更できます。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_maxburst

備考欄

1 つのバーストで送信されるセグメント数の制限値を設定します。

デフォルト

4


範囲

2 から 8

動的か

はい

どのような場合に変更するか

このパラメータを変更する必要はありません。この値はテスト目的で変更する場合があります。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_addip_enabled

備考欄

SCTP 動的アドレス構成の有効/無効を切り替えます。

デフォルト

0 (無効)


範囲

0 (無効)、1 (有効)

動的か

はい

どのような場合に変更するか

動的アドレス構成が必要な場合は有効にします。セキュリティー上、このパラメータはテスト目的以外では有効にしないでください。

コミットレベル

変更の可能性あり

sctp_prsctp_enabled

備考欄

SCTP に対する部分的な信頼の拡張 (RFC 3758) の有効/無効を切り替えます。

デフォルト

1 (有効)


範囲

0 (無効)、1 (有効)

動的か

はい

どのような場合に変更するか

ご使用の SCTP 環境で部分的な信頼がサポートされていない場合、無効にします。

コミットレベル

変更の可能性あり