この Solaris リリースでは、すべての System V IPC 機能を自動構成することも、または資源制御によって制御することもできます。共有できる機能はメモリー、メッセージキュー、およびセマフォーです。
資源制御によって、ローカルシステム上で、またはネームサービス環境において、プロジェクト単位またはプロセス単位で IPC を設定できます。
旧リリースの Solaris では、カーネルのチューニング可能パラメータで IPC 機能を制御していました。これらの機能のデフォルト値を変更するには、/etc/system ファイルを変更してシステムを再起動しなければなりませんでした。
しかし、資源制御で IPC 機能を制御するようになったので、システムの稼働中に IPC機能の構成を変更できます。
これまで動作させるためにシステムチューニングが必要だったアプリケーションの多くは、デフォルト値の増大と資源の自動割り当てにより、チューニングしなくても動作する可能性があります。
次の表では、現在は旧式となっている IPC チューニング可能パラメータと、代わりに使用できる可能性のある資源制御を識別しています。旧式の IPC チューニング可能パラメータと資源制御との重要な違いは、IPC チューニング可能パラメータがシステム単位で設定されていたのに対し、資源制御は各プロジェクトまたは各プロセス単位で設定されることです。
資源制御 |
旧式のチューニング可能パラメータ |
旧デフォルト値 |
最大値 |
新デフォルト値 |
---|---|---|---|---|
process.max-msg-qbytes |
msgsys:msginfo_msgmnb |
4096 |
ULONG_MAX |
65536 |
process.max-msg-messages |
msgsys:msginfo_msgtql |
40 |
UINT_MAX |
8192 |
process.max-sem-ops |
semsys:seminfo_semopm |
10 |
INT_MAX |
512 |
process.max-sem-nsems |
semsys:seminfo_semmsl |
25 |
SHRT_MAX |
512 |
project.max-shm-memory |
shmsys:shminfo_shmmax* |
0x800000 |
UINT64_MAX |
物理メモリーの 1/4 |
project.max-shm-ids |
shmsys:shminfo_shmmni |
100 |
224 |
128 |
project.max-msg-ids |
msgsys:msginfo_msgmni |
50 |
224 |
128 |
project.max-sem-ids |
semsys:seminfo_semmni |
10 |
224 |
128 |
* project.max-shm-memory 資源制御は 1 つのプロジェクトにおける共有メモリー量の合計を制限していますが、以前は shmsys:shminfo_shmmax パラメータが 1 つの共有メモリーセグメントのサイズを制限していました。
資源制御についての詳細は、『Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)』の「使用可能な資源制御」を参照してください。
旧式のパラメータは、Solaris システム上の /etc/system ファイルに引き続き指定できます。その場合、これらのパラメータは、以前の Solaris リリースの場合と同様に、デフォルトの資源制御値の初期化に使用されます。詳細は、「旧式または削除されたパラメータ」を参照してください。ただし、古いパラメータはできるだけ使用しないでください。
関連のある次のパラメータは削除されました。これらのパラメータが Solaris システム上の /etc/system ファイルに含まれていた場合は、コメント扱いになります。
semsys:seminfo_semmns |
semsys:seminfo_semvmx |
semsys:seminfo_semmnu |
semsys:seminfo_semaem |
semsys:seminfo_semume |
semsys:seminfo_semusz |
semsys:seminfo_semmap |
shmsys:shminfo_shmseg |
shmsys:shminfo_shmmin |
msgsys:msginfo_msgmap |
msgsys:msginfo_msgseg |
msgsys:msginfo_msgssz |
msgsys:msginfo_msgmax |
|
現在使用できる資源制御の一覧については、rctladm(1M) のマニュアルページを参照してください。資源制御の構成方法については、project(4) のマニュアルページ、および『Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)』の第 6 章「資源制御 (概要)」を参照してください。