Solaris のシステム管理 (IP サービス)

Oracle Solaris ネームサービスに対する IPv6 拡張機能

この節では、IPv6 の実装によって導入されたネームサービスの変更について説明します。IPv6 アドレスは、どの Oracle Solaris ネームサービス(NIS、LDAP、DNS、およびファイル) にも格納できます。また、NIS over IPv6 RPC トランスポートを使用すると、NIS データを検出できます。

IPv6 の DNS 拡張機能

IPv6 固有なリソースレコードである AAAA リソースレコードについては、RFC 1886、DNS Extensions to Support IP Version 6を参照してください。この AAAA レコードは、ホスト名を 128 ビット IPv6 アドレスにマップします。PTR レコードは IPv6 でも、IP アドレスをホスト名にマップするときに使用されています。128 ビットアドレスの 32 の 4 ビットニブルは、IPv6 アドレス用に反転されています。各ニブルは対応する 16 進 ASCII 値に変換されます。変換後、ip6.int が追加されます。

nsswitch.conf ファイルへの変更

Solaris 10 11/06 以前のリリースでは、/etc/inet/ipnodes で IPv6 アドレスを調べる機能に加え、NIS、LDAP、DNS の各ネームサービスにも IPv6 サポートが追加されています。結果として、nsswitch.conf ファイルは、IPv6 検索をサポートするように変更されました。


hosts:  files dns nisplus [NOTFOUND=return]
ipnodes: files dns nisplus [NOTFOUND=return]

注 –

IPv4 アドレスと IPv6 アドレスでこれらの ipnodes データベースを生成してから、複数のネームサービスで ipnodes を探すように /etc/nsswitch.conf ファイルを変更してください。ホストアドレスの解決時に不要な遅延が発生してしまうからです (起動タイミングの遅れが発生することもあります)。


次の図に、nsswitch.conf ファイルと、gethostbyname コマンドと getipnodebyname コマンドを使用するアプリケーション用の新しいネームサービスデータベースの間の新しい関係を示します。斜体の項目は新規です。gethostbyname コマンドは、/etc/inet/hosts に保存されている IPv4 アドレスだけを調べます。Solaris 10 11/06 以前のリリースでは、getipnodebyname コマンドは、nsswitch.conf ファイルの ipnodes エントリで指定したデータベースを調べます。検索に失敗すると、nsswitch.conf ファイルの hosts エントリで指定したデータベースを調べます。

図 11–8 nsswitch.conf とネームサービスの関係

この図は、NIS、NIS+、files、および DNS データベースと nsswitch.conf ファイル間の関係を示しています。

ネームサービスの詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

ネームサービスコマンドの変更

IPv6 をサポートするため、IPv6 アドレスは既存のネームサービスコマンドを使用して検索できます。たとえば、ypmatch コマンドは、新しい NIS マップに使用できます。nslookup コマンドでは、DNS の新しい AAAA レコードを調べることができます。