この手順では、すでにインストールされているシステムの IPv4 アドレス、ホスト名、およびその他のネットワークパラメータを変更する方法について説明します。サーバーまたはネットワーク接続されたスタンドアロンシステムの IP アドレスを変更する場合は、この手順を使用します。この手順は、ネットワーククライアントやネットワーク機器には適用されません。この手順で作成する構成は、リブート後も保持されます。
ここで説明する手順は、一次ネットワークインタフェースの IPv4 アドレスを変更する場合にのみ適用されます。別のインタフェースをシステムに追加する場合は、「システムインストール後に物理インタフェースを構成する方法」を参照してください。
次の手順では、IPv4 アドレスとサブネットマスクを指定するときに、ほとんどの場合は IPv4 で一般的な 10 進ドット表記を使用しています。この手順で使用されるすべてのファイルでは、CIDR 表記を使用して IPv4 アドレスを指定することもできます。CIDR 表記の概要については、「CIDR 書式の IPv4 アドレス」を参照してください。
Primary Administrator 役割を引き受けるか、スーパーユーザーになります。
Primary Administrator 役割には、Primary Administrator プロファイルが含まれます。役割を作成してユーザーに役割を割り当てるには、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 2 章「Solaris 管理コンソールの操作 (手順)」を参照してください。
Solaris 10 11/06 以前のリリースの場合のみ、/etc/inet/ipnodes ファイルまたは同等の ipnodes データベースで、IP アドレスを変更します。
システムに追加するすべての IP アドレスに、次の構文を使用します。
IP-address host-name, nicknames IP-address interface-name, nicknames |
最初のエントリには、一次ネットワークインタフェースの IP アドレスとシステムのホスト名を含めるようにしてください。ホスト名のニックネームを追加することもできます。物理インタフェースをシステムに追加するときは、/etc/inet/ipnodes にそれらのインタフェースの IP アドレスとそれらに関連付ける名前のエントリを 作成してください。
システムのホスト名を変更する必要がある場合は、/etc/nodename ファイルのホスト名エントリを変更します。
/etc/inet/hosts ファイルまたは同等の hosts データベースで、IP アドレスとホスト名を必要に応じて変更します。
一次ネットワークインタフェースの /etc/hostname.interface ファイルで、IP アドレスを変更します。
/etc/hostname.interface ファイルの一次ネットワークインタフェースエントリには、次のいずれかを使用できます。
一般的な 10 進ドット形式の IPv4 アドレス
構文は次のとおりです。
IPv4 address subnet mask |
ネットマスクエントリは省略可能です。指定しなかった場合は、デフォルトのネットマスクが指定されていると見なされます。
次に例を示します。
# vi hostname.eri0 10.0.2.5 netmask 255.0.0.0 |
CIDR 表記の IPv4 アドレス (ネットワーク構成で使用されている場合)。
IPv4 address/network prefix |
次に例を示します。
# vi hostname.eri0 10.0.2.5/8 |
CIDR 接頭辞には、その IPv4 アドレスに対応するネットマスクを指定します。たとえば、前述の /8 は 255.0.0.0 というネットマスクになります。
ホスト名。
/etc/hostname.interface ファイルでシステムのホスト名を使用する場合は、そのホスト名とそれに関連付けられている IPv4 アドレスが hosts データベースにも指定されていることを確認します。
サブネットマスクが変更されている場合は、次のファイルにあるサブネットエントリを変更します。
/etc/netmasks
(省略可能) /etc/hostname.interface
サブネットアドレスが変更されている場合は、/etc/defaultrouter ファイルに指定されているデフォルトルーターの IP アドレスを新しいサブネットのデフォルトルーターの IP アドレスに変更します。
システムを再起動します。
# reboot -- -r |
この例では、別のサブネットに移動されたシステムについて、次のネットワークパラメータをどのように変更するかを示しています。
一次ネットワークインタフェース eri0 の IP アドレス (10.0.0.14 から 192.168.55.14 に変更)。
ホスト名 (myhost から mynewhostname に変更)。
ネットマスク (255.0.0.0 から 255.255.255.0 に変更)。
デフォルトルーターのアドレス (192.168.55.200 に変更)。
システムの現在の状態を確認します。
# hostname myhost # ifconfig -a lo0: flags=1000849 <UP,LOOPBACK,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 8232 index 1 inet 127.0.0.1 netmask ff000000 eri0: flags=1000843 <UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 10.0.0.14 netmask ff000000 broadcast 10.255.255.255 ether 8:0:20:c1:8b:c3 |
次に、システムのホスト名と eri0 の IP アドレスを各ファイルで変更します。
# vi /etc/nodename mynewhostname In Solaris 10 11/06 and earlier Solaris 10 releases only, do the following: # vi /etc/inet/ipnodes 192.168.55.14 mynewhostname #moved system to 192.168.55 net # vi /etc/inet/hosts # # Internet host table # 127.0.0.1 localhost 192.168.55.14 mynewhostname loghost # vi /etc/hostname.eri0 192.168.55.14 netmask 255.255.255.0 |
最後に、ネットマスクおよびデフォルトルーターの IP アドレスを変更します。
# vi /etc/netmasks. . . 192.168.55.0 255.255.255.0 # vi /etc/defaultrouter 192.168.55.200 #moved system to 192.168.55 net # |
これらの変更が完了したら、システムをリブートします。
# reboot -- -r |
設定したばかりの構成がリブート後も保持されていることを確認します。
# hostname mynewhostname # ifconfig -a lo0: flags=1000849 <UP,LOOPBACK,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 8232 index 1 inet 127.0.0.1 netmask ff000000 eri0: flags=1000843 <UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 192.168.55.14 netmask ffffff00 broadcast 10.255.255.255 ether 8:0:20:c1:8b:c3 |
この例では、現在のセッションだけに適用するために、ホストの名前、一次ネットワークインタフェースの IP アドレス、およびサブネットマスクを変更する方法を示しています。システムをリブートすると、以前の IP アドレスとサブネットマスクに戻ります。一次ネットワークインタフェース eri0 の IP アドレスが 10.0.0.14 から 192.168.34.100 に変わります。
# ifconfig -a lo0: flags=1000849 <UP,LOOPBACK,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 8232 index 1 inet 127.0.0.1 netmask ff000000 eri0: flags=1000843 <UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 10.0.0.14 netmask ff000000 broadcast 10.255.255.255 ether 8:0:20:c1:8b:c3 # ifconfig eri0 192.168.34.100 netmask 255.255.255.0 broadcast + up # vi /etc/nodename mynewhostname # ifconfig -a lo0: flags=1000849 <UP,LOOPBACK,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 8232 index 1 inet 127.0.0.1 netmask ff000000 eri0: flags=1000843 <UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 192.168.34.100 netmask ffffff00 broadcast 10.255.255.255 ether 8:0:20:c1:8b:c3 # hostname mynewhostname |
この例では、現在のセッションだけに適用するために、CIDR 表記を使用してホスト名と IP アドレスを変更する方法を示しています。システムをリブートすると、以前の IP アドレスとサブネットマスクに戻ります。一次ネットワークインタフェース eri0 の IP アドレスが 10.0.0.14 から 192.168.6.25/27 に変わります。
# ifconfig -a lo0: flags=1000849 <UP,LOOPBACK,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 8232 index 1 inet 127.0.0.1 netmask ff000000 eri0: flags=1000843 <UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 10.0.0.14 netmask ff000000 broadcast 10.255.255.255 ether 8:0:20:c1:8b:c3 # ifconfig eri0 192.168.6.25/27 broadcast + up # vi /etc/nodename mynewhostname # ifconfig -a lo0: flags=1000849 <UP,LOOPBACK,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 8232 index 1 inet 127.0.0.1 netmask ff000000 eri0: flags=1000843 <UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2 inet 192.168.06.25 netmask ffffffe0 broadcast 10.255.255.255 ether 8:0:20:c1:8b:c3 # hostname mynewhostname |
IPv4 アドレスに CIDR 表記を使用するときは、ネットマスクを指定する必要はありません。ifconfig は、指定されたネットワーク接頭辞を使用して、ネットマスクを決定します。たとえば、ifconfig は、192.168.6.0/27 ネットワークに対して ffffffe0 というネットマスクを設定します。より一般的な /24 接頭辞指定を使用した場合は、ffffff00 というネットマスクが設定されます。新しい IP アドレスを構成するときに、ifconfig に /24 接頭辞指定を使用することとネットマスク 255.255.255.0 を指定することは同等です。
一次ネットワークインタフェース以外のインタフェースの IP アドレスを変更する場合は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』と 「システムインストール後に物理インタフェースを構成する方法」を参照してください。