IPv4 ネットワークに動的経路制御を実装するには、routeadm コマンドまたは svcadm コマンドを使用して in.routed 経路制御デーモンを起動します。手順については、「IPv4 ルーターの構成方法」を参照してください。動的経路制御は、ほとんどのネットワークおよび自律システムに最適な方法です。ただし、使用しているネットワークトポロジやネットワーク上の特定のシステムで、静的経路制御が必要になる場合もあります。その場合は、システムの経路制御テーブルを手動で編集して、ゲートウェイへの既知のルートを反映させる必要があります。次の手順は、静的ルートを追加する方法を示しています。
同じ宛先へのルートが 2 つあっても、システムで負荷分散やフェイルオーバーが自動的に行われるわけではありません。これらの機能が必要な場合は、第 30 章IPMP の紹介 (概要)に説明されている IPMP を使用します。
通常のユーザーアカウントを使用して、次の形式の netstat コマンドを実行します。
% netstat -rn |
次のような出力が表示されます。
Routing Table: IPv4 Destination Gateway Flags Ref Use Interface -------------------- -------------------- ----- ----- ------ --------- 192.168.5.125 192.168.5.10 U 1 5879 ipge0 224.0.0.0 198.168.5.10 U 1 0 ipge0 default 192.168.5.10 UG 1 91908 127.0.0.1 127.0.0.1 UH 1 811302 lo0 |
Primary Administrator の役割を引き受けるか、スーパーユーザーになります。
Primary Administrator 役割には、Primary Administrator プロファイルが含まれます。役割を作成してユーザーに役割を割り当てるには、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 2 章「Solaris 管理コンソールの操作 (手順)」を参照してください。
(省略可能) 経路制御テーブル内の既存のエントリを消去します。
# route flush |
リブート後も保持されるルートを追加します。
# route -p add -net network-address -gateway gateway-address |
リブート後も保持される必要のあるルートを作成します。現在のセッションだけに有効なルートを作成する場合は、-p オプションを使用しないでください。
そのあとに指定されているルートを追加することを示します。
network-address で指定されたアドレスを持つネットワークへのルートであることを示します。
指定されたルートのゲートウェイシステムの IP アドレスが gateway-address であることを示します。
次の例は、システムに静的ルートを追加する方法を示しています。このシステムは、図 5–3 で示されている、172.20.1.0 ネットワークのデフォルトルーターであるルーター 2 です。例 5–4 では、ルーター 2 は動的経路制御用に構成されています。ネットワーク 172.20.1.0 上のホストのデフォルトルーターとしてルーター 2 の機能を向上させるには、AS のボーダールーター 10.0.5.150 への静的ルートを追加する必要があります。
ルーター 2 の経路制御テーブルを表示するために、次の手順を実行します。
# netstat -rn Routing Table: IPv4 Destination Gateway Flags Ref Use Interface -------------------- -------------------- ----- ----- ------ --------- default 172.20.1.10 UG 1 249 ce0 224.0.0.0 172.20.1.10 U 1 0 ce0 10.0.5.0 10.0.5.20 U 1 78 bge0 127.0.0.1 127.0.0.1 UH 1 57 lo0 |
この経路制御テーブルは、ルーター 2 に既知のルートが 2 つあることを示しています。デフォルトのルートは、ルーター 2 の 172.20.1.10 インタフェースをゲートウェイとして使用します。2 番目のルート 10.0.5.0 は、ルーター 2 で実行中の in.routed デーモンによって検出されました。このルートのゲートウェイはルーター 1 で、その IP アドレスは 10.0.5.20 です。
ネットワーク 10.0.5.0 にはボーダールーターとして機能するゲートウェイがあります。このネットワークへのルートをもう 1 つ追加するには、次の手順を実行します。
# route -p add -net 10.0.5.0/24 -gateway 10.0.5.150/24 add net 10.0.5.0: gateway 10.0.5.150 |
これで、IP アドレス 10.0.5.150/24 を持つボーダールーターへのルートが、経路制御テーブルに追加されました。
# netstat -rn Routing Table: IPv4 Destination Gateway Flags Ref Use Interface -------------------- -------------------- ----- ----- ------ --------- default 172.20.1.10 UG 1 249 ce0 224.0.0.0 172.20.1.10 U 1 0 ce0 10.0.5.0 10.0.5.20 U 1 78 bge0 10.0.5.0 10.0.5.150 U 1 375 bge0 127.0.0.1 127.0.0.1 UH 1 57 lo0 |