Solaris のシステム管理 (IP サービス)

VLAN デバイスでの dlcosmk マーカーの使用

dlcosmk マーカーモジュールは、データグラムの MAC ヘッダー内に転送動作をマークします。VLAN インタフェースを持つ IPQoS システムでだけ、dlcosmk を使用できます。

dlcosmk は、「VLAN タグ」と呼ばれる 4 バイトを MAC ヘッダーに追加します。VLAN タグには、IEEE 801.D 標準に定義されている 3 ビットのユーザー優先順位値が含まれます。VLAN を認識する Diffserv 対応スイッチは、データグラム内のユーザー優先順位フィールドを読み取ることができます。801.D ユーザー優先順位値は、サービスクラス (CoS) マークを実装します。CoS マークは、商用スイッチで一般的に使われています。

次の表のサービスマークのクラスを定義することによって、dlcosmk マーカーアクションのユーザー優先値を使用できます。

表 37–3 801.D ユーザー優先順位値

サービスクラス 

定義 

ベストエフォート 

背景 

予備 

エクセレントエフォート 

制御された負荷 

応答時間 100ms 未満のビデオ 

応答時間 10ms 未満のビデオ 

ネットワーク制御 

dlcosmk の詳細は、dlcosmk(7ipp) のマニュアルページを参照してください。

VLAN デバイスを持つシステムでの IPQoS 構成

ここでは、VLAN デバイスを持つシステムでの IPQoS の実装方法を示す、単純なネットワークのシナリオを紹介します。このシナリオには、スイッチで接続された 2 つの IPQoS システム、すなわち machine1 および machine2 が含まれます。machine1 上の VLAN デバイスの IP アドレスは 10.10.8.1machine2 上の VLAN デバイスの IP アドレスは 10.10.8.3 です。

machine1 向けの次の IPQoS 構成ファイルは、machine2 への切り替えによる、トラフィックのマーキングの簡単な解決策を示しています。


例 37–2 VLAN デバイスを持つシステムの IPQoS 構成ファイル

fmt_version 1.0
action {
        module ipgpc
	      name ipgpc.classify

        filter {
                name myfilter2
                daddr 10.10.8.3
                class myclass
        }

        class {
                name myclass
                next_action mark4
        }
}

action {
        name mark4
        module dlcosmk
        params {
                cos 4
                next_action continue
		global_stats true
        }
}

この構成では、machine2 上の VLAN デバイスを着信先とする machine1 からのすべてのトラフィックが、dlcosmk マーカーに渡されます。mark4 マーカーアクションは、CoS が 4 でクラスが myclass のデータグラムに VLAN マークを追加するように dlcosmk に指示します。ユーザー優先値 4 は、2 台のマシン間の切り替えによって、machine1 からの myclass トラフィックフローへの制御された負荷転送を指定しなければならないことを示します。