Solaris のシステム管理 (IP サービス)

ネームサービスの IPv6 サポート用の構成

この節では、IPv6 サービスをサポートするように DNS ネームサービスと NIS ネームサービスを構成する方法について説明します。


注 –

LDAP は IPv6 をサポートします。IPv6 固有な構成作業は必要ありません。


DNS、NIS、および LDAP の管理の詳細については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

ProcedureDNS に対する IPv6 アドレスを追加する方法

  1. プライマリまたはセカンダリの DNS サーバーに Primary Administrator またはスーパーユーザーとしてログインします。

    Primary Administrator 役割には、Primary Administrator プロファイルが含まれます。役割を作成してユーザーに役割を割り当てるには、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 2 章「Solaris 管理コンソールの操作 (手順)」を参照してください。

  2. 適切な DNS ゾーンファイルを編集して、IPv6 が有効なノードごとに AAAA レコードを追加します。


    host-name  IN   AAAA 	host-address
    
  3. DNS 逆ゾーンファイルを編集して、PTR レコードを追加します。


    host-address IN   PTR   hostname
    

    DNS の管理の詳細については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。


例 7–15 DNS 逆ゾーンファイル

次に、逆ゾーンファイルにおける IPv6 アドレスの例を示します。


$ORIGIN	ip6.int.	
8.2.5.0.2.1.e.f.f.f.9.2.0.0.a.0.6.5.2.9.0.0.0.0.0.0.0.0.2.0.0.0 \
	IN		PTR		vallejo.Eng.apex.COM.

IPv6 アドレスの NIS への追加

Solaris 10 11/06 以前のリリースでは、NIS 用に 2 つのマップが追加されていました。 ipnodes.bynameipnodes.byaddr です。これらのマップは、いずれも IPv4 と IPv6 のホスト名とアドレスの関連付けを含んでいました。IPv6 に対応するツールは、ipnodes NIS マップを使用していました。hosts.byname マップと hosts.byaddr マップは、IPv4 ホスト名とアドレスの関係しか含んでいませんでした。これらのマップは既存のアプリケーションのために変更されていません。ipnodes マップの管理は、hosts.byname マップと hosts.byaddr マップの管理方法と同様です。Solaris 10 11/06 の場合は、hosts マップを ipnode アドレスで更新すると、ipnode マップも同じ情報で更新されることに注意してください。


注 –

Oracle Solaris 10 の後続のリリースでは、ipnodes マップは使用されません。ipnodes マップの IPv6 機能は、hosts マップで管理されるようになりました。


NIS マップを管理する手順については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』の第 5 章「NIS サービスの設定と構成」を参照してください。

ProcedureIPv6 ネームサービス情報を表示する方法

nslookup コマンドを使用すると、 IPv6 ネームサービス情報を表示できます。

  1. 自分のユーザーアカウントで、nslookup コマンドを実行します。


    % /usr/sbin/nslookup
    

    デフォルトサーバー名とアドレスが表示され、nslookup コマンドの山括弧プロンプトが表示されます。

  2. 特定のホストの情報を表示するには、山括弧プロンプトに次のコマンドを入力します。


    >set q=any
    >host-name
    
  3. 次のコマンドを入力すると、AAAA レコードだけが表示されます。


    >set q=AAAA
    hostname
    
  4. exit を入力して、nslookup コマンドを終了します。


例 7–16 nslookup による IPv6 情報の表示

次に、IPv6 ネットワーク環境における nslookup コマンドの結果の例を示します。


%  /usr/sbin/nslookup
Default Server:  dnsserve.local.com
Address:  10.10.50.85
> set q=AAAA
> host85
Server:  dnsserve.local.com
Address:  10.10.50.85

host85.local.com      IPv6 address = 2::9256:a00:fe12:528
> exit

ProcedureDNS IPv6 PTR レコードの正確な更新を確認する方法

nslookup コマンドを使用して DNS IPv6 PTR レコードを表示します。

  1. 自分のユーザーアカウントで、nslookup コマンドを実行します。


    % /usr/sbin/nslookup
    

    デフォルトサーバー名とアドレスが表示され、 nslookup コマンドの山括弧プロンプトが表示されます。

  2. PTR レコードを表示するには、山括弧プロンプトに次のコマンドを入力します。


    >set q=PTR
    
  3. exit を入力して、コマンドを終了します。


例 7–17 nslookup コマンドによる PTR レコードの表示

次に、nslookup コマンドを使用して、PTR レコードを表示する例を示します。


%  /usr/sbin/nslookup
Default Server:  space1999.Eng.apex.COM
Address:  192.168.15.78
> set q=PTR
> 8.2.5.0.2.1.e.f.f.f.0.2.0.0.a.0.6.5.2.9.0.0.0.0.0.0.0.0.2.0.0.0.ip6.int

8.2.5.0.2.1.e.f.f.f.0.2.0.0.a.0.6.5.2.9.0.0.0.0.0.0.0.0.2.0.0.0.ip6.int name = 
vallejo.ipv6.Eng.apex.COM
ip6.int nameserver = space1999.Eng.apex.COM
> exit

ProcedureNIS による IPv6 情報を表示する方法

ypmatch コマンドを実行して NIS で IPv6 情報を表示するには、次のように操作します。

  1. 自分のアカウントで次のコマンドを入力すると、NIS 内の IPv6 アドレスが表示されます。


    % ypmatch hostname hosts ipnodes.byname
    

    指定した hostname についての情報が表示されます。


    注 –

    Solaris 10 11/06 よりあとの Oracle Solaris リリースには、ipnodes マップは含まれなくなりました。ipnodes マップの IPv6 機能は、hosts マップで管理されるようになりました。



例 7–18 ypmatch コマンドによる IPv6 アドレスの出力

Solaris 10 11/06 以前のリリースの場合、ipnodes.byname データベースに対して ypmatch 操作を実行すると、結果は次の例のようになります。


% ypmatch farhost hosts ipnodes.byname
2001:0db8:3c4d:15:a00:20ff:fe12:5286       farhost

Procedureネームサービスに依存しない IPv6 情報を表示する方法

この手順は、Solaris 10 11/06 以前のリリースでのみ使用できます。後続のリリースでは、同じ操作を hosts データベースに対して実行できます。

  1. 自分のユーザーアカウントで、次のコマンドを入力します。


    % getent ipnodes hostname
    

    指定した hostname についての情報が表示されます。


例 7–19 ipnodes データベース内の IPv6 情報の表示

次に、getent コマンドからの出力の例を示します。


% getent ipnodes vallejo

2001:0db8:8512:2:56:a00:fe87:9aba    myhost myhost
fe80::56:a00:fe87:9aba     myhost myhost