NIS+ から LDAP への移行シナリオの例を挙げます。
すべての NIS+ クライアントを 1 回の操作で LDAP に変換する場合。rpc.nisd デーモンを使用すれば、LDAP に存在しないすべての NIS+ データをアップロードできます。「すべての NIS+ データを 1 回の操作で LDAP に変換する方法」を参照してください。
NIS+ から LDAP に段階的に移行する場合。まず、NIS+ データを LDAP に変換します (「すべての NIS+ データを 1 回の操作で LDAP に変換する方法」を参照)。NIS+ クライアントと LDAP クライアントで、同じネームサービスを共有することができます。NIS+ および LDAP のデータは、rpc.nisd によって自動的に同期化されます。移行の初期段階では場合によって、NIS+ が認証されたサーバーとして機能し、LDAP サーバーは、NIS+ データを複製して、LDAP クライアントに提供します。適切な段階で、LDAP を認証されたネームサービスに移行します。NIS+ サービスは、段階的に処理を停止していき、NIS+ クライアントの移行が完了した時点で完全になくなります。
LDAP がすでにネームサービスとして使用されている場合。NIS+ データと LDAP データをマージする必要があります。次の 3 つのマージ方法があります。
NIS+ データを LDAP に追加する方法。NIS+ に存在するが LDAP に存在しないエントリが、LDAP に追加されます。エントリが NIS+ および LDAP の両方に存在するが、データが異なる場合は、NIS+ データが優先されます。「すべての NIS+ データを 1 回の操作で LDAP に変換する方法」を参照してください。
NIS+ データを LDAP データで上書きする方法。NIS+ に存在するが LDAP に存在しないエントリが、NIS+ から削除されます。NIS+ および LDAP の両方に存在するエントリでは、 LDAP データが優先されます。「すべての LDAP データを 1 回の操作で NIS+ に変換する方法」を参照してください。
NIS+ データと LDAP データをマージする方法。衝突が発生した場合は、個別に解決します。「NIS+ データと LDAP データのマージ」を参照してください。
rpc.nisd を使用して、LDAP に存在しない NIS+ データをすべてアップロードします。
NIS+ と LDAP のすべてのデータマッピングが、デフォルトの場所 (/var/nis/NIS+LDAPmapping) に設定されている場合は、次のコマンドを使用します。
# /usr/sbin/rpc.nisd -D \ -x nisplusLDAPinitialUpdateAction=to_ldap \ -x nisplusLDAPinitialUpdateOnly=yes |
上記のコマンドによって、rpc.nisd デーモンによりデータが LDAP にアップロードされて、変換が終了します。この処理を実行しても、NIS+ データは変更されません。
rpc.nisd(4) のマニュアルページの nisplusLDAPinitialUpdateAction 属性を参照してください。
rpc.nisd を使用して、すべての LDAP データを NIS+ にダウンロードし、既存の NIS+ データを上書きします。
NIS+ と LDAP のすべてのデータマッピングが、デフォルトの場所 (/var/nis/NIS+LDAPmapping) に設定されている場合は、次のコマンドを使用します。
# /usr/sbin/rpc.nisd -D \ -x nisplusLDAPinitialUpdateAction=from_ldap \ -x nisplusLDAPinitialUpdateOnly=yes |
上記のコマンドによって、rpc.nisd デーモンによりデータが LDAP からダウンロードされて、変換が終了します。この処理を実行しても、LDAP データは変更されません。
rpc.nisd(4) のマニュアルページの nisplusLDAPinitialUpdateAction 属性を参照してください。