Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

資格の保存

プロキシ識別情報を使用するようクライアントを設定する場合、クライアントは proxyDN および proxyPassword /var/ldap/ldap_client_cred 内に保存します。セキュリティー保護のため、このファイルへのアクセスは root のみに許可され、proxyPassword の値は暗号化されます。過去の LDAP 実装ではプロキシ資格はクライアントのプロファイル内に格納されましたが、Solaris 9 LDAP ネームサービスではこれは行われません。初期化時に ldapclient を使用して設定されたプロキシ資格は、すべてローカルに保存されます。このため、プロキシの DN およびパスワード情報に関するセキュリティーが向上します。クライアントプロファイルの設定方法の詳細については、第 12 章LDAP クライアントの設定 (手順)を参照してください。

同様に、シャドウデータの更新が有効になるようにクライアントを構成し、クライアント資格レベルが self ではない場合、クライアントは adminDN および adminPassword 属性を /var/ldap/ldap_client_cred ファイルに保存します。adminPassword の値も暗号化され、ldap_cachemgr デーモンプロセスによってのみ使用されます。

ユーザー別の認証を使用するようクライアントを構成している場合、認証時に各主体 (各ユーザーまたはホスト) 用の Kerberos 識別情報および Kerberos チケット情報が使用されます。この環境では、ディレクトリサーバーは Kerberos 主体を DN にマッピングします。この DN の認証には、Kerberos 資格が使用されます。次に、ディレクトリサーバーは、必要に応じアクセス制御情報 (ACI) 機構を使用して、ネームサービスデータへのアクセスを許可または拒否します。この状況では、ディレクトリサーバーの認証に Kerberos チケット情報が使用されます。システムが、認証 DN またはパスワードをシステムに保存することはありません。したがって、この種類の構成では、クライアントを ldapclient コマンドを使用して初期化するときに、adminDN および adminPassword 属性を指定する必要はありません。