NIS+ から LDAP への移行に関連するコマンド行管理タスクの大部分は、サービス管理機能によって管理されます。SMF の概要については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 18 章「サービスの管理 (概要)」を参照してください。また、詳細については、svcadm(1M) および svcs(1) のマニュアルページを参照してください。
NIS+ から LDAP への移行サービスに関する有効化、無効化、再起動などの管理アクションは svcadm コマンドを使用して実行できる
-t オプションを使用してサービスを一時的に無効化すると、そのサービス構成に対していくらかの保護を提供できます。-t オプションを指定してサービスを無効にした場合、リブート後に元の設定が復元されます。-t オプションを指定しないでサービスを無効にした場合、リブート後もそのサービスは無効のままです。
NIS+ の障害管理リソース識別子 (FMRI) は、svc:/network/rpc/nisplus: <instance> です。LDAP クライアントサービスの FMRI は、svc:/network/ldap/client: <instance> です。
svcs コマンドを使用して NIS+ の状態を照会できる。
svcs コマンドと出力の例を、次に示します。
# svcs \*nisplus\* STATE STIME FMRI online Sep_01 svc:/network/rpc/nisplus:default |
svcs -l コマンドと出力の例を、次に示します。次に示す出力を得るには、FMRI でインスタンス名を使用する必要があります。
# svcs -l network/rpc/nisplus:default fmri svc:/network/rpc/nisplus:default enabled false state disabled next_state none restarter svc:/system/svc/restarter:default dependency require_all/none svc:/network/rpc/keyserv (online) |
デーモンの存在は ps コマンドを使用して確認できます。
# ps -e | grep rpc.nisd root 23320 1 0 Aug 27 ? 16:30 ./ns-slapd -D \ /usr/iplanet/ds5/slapd-lastrev -i /usr/iplanet/ds5/slapd-lastrev/ root 25367 25353 0 15:35:19 pts/1 0:00 grep slapd |
-f オプションを ps で使用しないでください。このオプションはユーザー ID を名前に変換しようとするため、より多くのネームサービス検索が失敗する可能性があります。
通常、/usr/sbin/rpc.nisd デーモンは、svcadm コマンドを使用して管理します。ただし、rpc.nisd デーモンは、-x nisplusLDAPinitialUpdateOnly=yes を指定して起動すると、指定された初期更新アクションを実行して終了します。つまり、rpc.nisd はデーモン化されません。-x nisplusLDAPinitialUpdateOnly=yes を指定した上で、サービス管理機能を使用してはなりません。それ以外の場合で、rpc.nisd デーモンを起動、停止または再起動するときにはいつでも SMF を使用できます。
次の例は、-x nisplusLDAPinitialUpdateOnly=yes を指定した rpc.nisd です。
# /usr/sbin/rpc.nisd -m mappingfile \ -x nisplusLDAPinitialUpdateAction=from_ldap \ -x nisplusLDAPinitialUpdateOnly=yes |
rpc.nisd デーモンをサービス管理機能によって起動するときに特定のオプションを含める場合、svcprop コマンドを使用するか、/lib/svc/method/nisplus ファイルを変更できます。svcprop コマンドの使用方法の詳細については、svcprop(1) のマニュアルページを参照してください。/lib/svc/method/nisplus ファイルを変更する手順を次に示します。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の第 9 章「役割によるアクセス制御の使用 (手順)」を参照してください。
NIS+ サービスを停止します。
# svcadm disable network/rpc/nisplus:default |
/lib/svc/method/nisplus ファイルを開きます。
任意のエディタを使用してください。
ファイルを編集して必要なオプションを追加します。
変更前:
if [ -d /var/nis/data -o -d /var/nis/$hostname ]; then /usr/sbin/rpc.nisd || exit $ |
変更後:
if [ -d /var/nis/data -o -d /var/nis/$hostname ]; then /usr/sbin/rpc.nisd -Y -B || exit $? |
この例では、-Y および -B オプションが rpc.nisd に追加され、起動時に自動的に実装されます。
/lib/svc/method/nisplus ファイルを保存して終了します。
NIS+ サービスを開始します。
# svcadm enable network/rpc/nisplus:default |