Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

遠隔アクセスの認証と承認

「認証」とは、遠隔システムにアクセスできるユーザーを特定のユーザーに限定する方法です。認証は、システムレベルでもネットワークレベルでも設定できます。ユーザーが遠隔システムにアクセスすると、「承認」という方法でそのユーザーが実行できる操作が制限されます。次の表は、認証と承認を提供するサービスを示したものです。

表 2–3 遠隔アクセス用の認証サービスと承認サービス

サービス 

説明 

詳細 

IPsec 

IPsec は、ホストに基づく認証および認可に基づく認証と、ネットワークトラフィックの暗号化を行います。 

『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の第 19 章「IP セキュリティーアーキテクチャー (概要)」

Kerberos 

Kerberos は、システムにログインしているユーザーの認証と承認を暗号化を通して行います。 

この例は、「Kerberos サービスの動作」を参照してください。

LDAP と NIS+ 

LDAP ディレクトリサービスと NIS+ ネームサービスは、ネットワークレベルで認証および承認を行います。 

『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』 および『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)』

遠隔ログインコマンド 

遠隔ログインコマンドを使用すると、ユーザーはネットワーク経由で遠隔システムにログインし、そのリソースを使用できます。遠隔ログインコマンドには rloginrcpftp などがあります。「信頼される (trusted) ホスト」の場合、認証は自動的に処理されます。それ以外の場合は、自分自身を認証するように求められます。

『Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』の第 29 章「リモートシステムへのアクセス (手順)」

SASL 

簡易認証セキュリティー層 (SASL) は、ネットワークプロトコルに認証サービスとセキュリティーサービス (オプション) を提供するフレームワークです。プラグインによって、適切な認証プロトコルを選択できます。 

「SASL (概要)」

Secure RPC 

Secure RPC を使用すると、遠隔マシン上で要求を出したユーザーの認証が行われ、ネットワーク環境のセキュリティーが高まります。Secure RPC には、UNIX、DES、または Kerberos 認証システムを使用できます。 

「Secure RPC の概要」

 

Secure RPC を使用すると、NFS 環境にセキュリティーを追加できます。Secure RPC を備えた NFS 環境を Secure NFS と呼びます。Secure NFS は、公開鍵に Diffie-Hellman 認証を使用します。 

「NFS サービスと Secure RPC」

Solaris Secure Shell 

Solaris Secure Shell は、セキュリティー保護されていないネットワーク上のネットワークトラフィックを暗号化します。Solaris Secure Shell は、パスワードまたは公開鍵、あるいはこの両方による認証を提供します。このサービスは、公開鍵に RSA 認証と DSA 認証を使用します。 

「Solaris Secure Shell (概要)」

Secure RPC に匹敵する機能として、Solaris の「特権ポート」メカニズムがあります。特権ポートには、1024 未満のポート番号が割り当てられます。クライアントシステムは、クライアントの資格を認証したあと、特権ポートを使用してサーバーへの接続を設定します。次に、サーバーは接続のポート番号を検査してクライアントの資格を検証します。

Solaris ソフトウェアを使用していないクライアントは、特権ポートを使用して通信できないことがあります。クライアントが特権ポートを使って通信できない場合は、次のようなエラーメッセージが表示されます。


“Weak Authentication
NFS request from unprivileged port”