Kerberos サービス内のクライアントは、その「主体 (プリンシパル)」で識別されます。主体は、KDC がチケットを割り当てることができる一意の ID です。主体には、joe などのユーザー、または nfs、telnet などのサービスがあります。
主体名は慣習により「一次」、「インスタンス」、「レルム」という 3 つの部分から なります。joe/admin@ENG.EXAMPLE.COM は一般的な Kerberos 主体の例です。上記の例では、
joe が一次です。一次には、この例のようなユーザー名や nfs などのサービスを指定します。また、host を指定することもできます。host を指定すると、ftp、rcp、rlogin などのさまざまなネットワークサービスを提供する、サービス主体として設定されます。
admin はインスタンスです。インスタンスは、ユーザー主体の場合はオプションですが、サービス主体では必須です。たとえば、ユーザー joe が必要に応じてシステム管理者の権限を使用する場合は、joe/admin と通常のユーザー ID を使い分けることができます。同じように、joe が 2 つのホストにアカウントを持っている場合、joe/denver.example.com と joe/boston.example.com など、異なるインスタンスで 2 つの主体名を使用することができます。Kerberos サービスでは、joe と joe/admin はまったく別の主体として扱われます。
サービス主体では、インスタンスは完全指定されたホスト名です。bigmachine.eng.example.com はこのようなインスタンスの例です。この例の一次とインスタンスは、ftp/bigmachine.eng.example.com や host/bigmachine.eng.example.com と表します。
ENG.EXAMPLE.COM は Kerberos レルムです。レルムについては、「Kerberos レルム」を参照してください。
次に有効な主体名を示します。
joe
joe/admin
joe/admin@ENG.EXAMPLE.COM
nfs/host.eng.example.com@ENG.EXAMPLE.COM
host/eng.example.com@ENG.EXAMPLE.COM