Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

複数の Kerberos リリースの構成要素

Kerberos サービスの構成要素は、多数のリリースに組み込まれています。当初、Kerberos サービスと、Kerberos サービスをサポートするベースオペレーティングシステムへの変更は、“Sun Enterprise Authentication Mechanism” (SEAM) という製品名でリリースされました。SEAM 製品の大部分が Solaris ソフトウェアに組み込まれるようになると、SEAM リリースの内容は減りました。Solaris 10 リリースで、SEAM 製品のすべての構成要素が組み込まれたので、SEAM 製品の必要性はなくなりました。SEAM という製品名は、歴史的な理由で文書中に存在しています。

次の表は、各リリースに組み込まれている構成要素の一覧です。それぞれの製品リリースは、時系列で示しています。次の節では、すべての構成要素について説明します。

表 21–1 Kerberos リリースの内容

リリース名 

内容 

Solaris Easy Access Server 3.0 の SEAM 1.0 

Solaris 2.6 および Solaris 7 用の Kerberos サービスの完全リリース 

Solaris 8 の Kerberos サービス 

Kerberos クライアントソフトウェアのみ 

Solaris 8 Admin Pack の SEAM 1.0.1 

Solaris 8 用の Kerberos KDC と遠隔アプリケーション 

Solaris 9 の Kerberos サービス 

Kerberos KDC とクライアントソフトウェアのみ 

SEAM 1.0.2 

Solaris 9 用の Kerberos 遠隔アプリケーション 

Solaris 10 の Kerberos サービス 

機能が拡張された Kerberos サービスの完全リリース 

Kerberos の構成要素

MIT から提供される Kerberos V5 製品と同様に、Solaris Kerberos サービスには次の構成要素が含まれます。

さらに、Solaris Kerberos サービスには次の構成要素が含まれています。

Solaris 10 5/08 リリースでの Kerberos の追加機能

Solaris 10 5/08 リリースから、次のような拡張機能が使用できます。

Solaris 10 8/07 リリースでの Kerberos の追加機能

Solaris 10 8/07 リリースでは、MIT Kerberos V5 アプリケーションプログラミングインタフェース (krb5-api) がサポートされています。詳細は、libkrb5(3LIB) および krb5-config(1) のマニュアルページを参照してください。また、mit.edu にある MIT Kerberos V5 プロジェクトの Web ページも参照し、詳細ドキュメントが利用可能になった時点でそれらを入手してください。

krb5-api が使用可能になりましたが、GSS-API は独立したセキュリティーメカニズムであり、IETF 標準でもあるため、GSS-API を使ってネットワークの認証、完全性、プライバシを実現することを強くお勧めします。詳細は、libgss(3LIB) のマニュアルページを参照してください。

Solaris 10 6/06 リリースでの Kerberos の追加機能

Solaris 10 6/06 リリースから、ktkt_warnd デーモンは、資格の有効期限が近づいてきたとき、ユーザーに警告するだけでなく、資格を自動的に更新するようになりました。資格を自動的に更新するには、ユーザーがログインしている必要があります。

Solaris 10 3/05 リリースでの Kerberos の拡張機能

Solaris 10 リリースに含まれる Kerberos の機能拡張は、次のとおりです。そのうちのいくつかは、以前の Software Express リリースで採用され、Solaris 10 Beta リリースで更新されたものです。

Solaris 9 の Kerberos 構成要素

Solaris 9 には、遠隔アプリケーションを除いて、「Kerberos の構成要素」の構成要素がすべて含まれています。

SEAM 1.0.2 の構成要素

SEAM 1.0.2 には、遠隔アプリケーションが含まれています。SEAM 1.0 の構成要素のうちで、Solaris 9 リリースに組み込まれていないのはこれらのアプリケーションだけです。遠隔アプリケーションの構成要素は次のとおりです。

Solaris 8 の Kerberos 構成要素

Solaris 8 に含まれている Kerberos サービスはクライアント側の部分だけで、Kerberos サービスの構成要素の多くは含まれていません。Solaris 8 が動作するシステムであれば、SEAM 1.0.1 を別にインストールしなくても Kerberos クライアントとしては動作します。これらの Kerberos クライアント機能を使用するには、Solaris Easy Access Server 3.0 または Solaris 8 Admin Pack、MIT ディストリビューション、あるいは Windows 2000 を使用する KDC をインストールする必要があります。チケットを配布するための構成済み KDC がないと、クライアント側の構成要素は十分に機能しません。Solaris 8 には、次の構成要素が含まれます。

SEAM 1.0.1 の構成要素

SEAM 1.0.1 には、Solaris 8 に含まれていない SEAM 1.0 の構成要素がすべて含まれています。次の構成要素が含まれています。

SEAM 1.0 の構成要素

SEAM 1.0 リリースには、「Kerberos の構成要素」のすべての項目のほか、次の項目が含まれています。