Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

レルム間認証の構成

複数のレルムを接続して、レルム間でユーザーを認証することができます。レルム間の認証は、2 つのレルム間で共有される秘密鍵を作成することによって実行されます。レルム間の関係には、階層関係または直接接続があります (「レルムの階層」を参照)。

Procedure階層関係のレルム間認証を設定する方法

この手順の例では、ENG.EAST.EXAMPLE.COM レルムと EAST.EXAMPLE.COM レルムを使用します。レルム間認証は、双方向に確立されます。この手順は、2 つのレルムのマスター KDC 上で完了する必要があります。

始める前に

マスター KDC の各レルムが構成済みである必要があります。認証プロセスを十分にテストするには、複数の Kerberos クライアントが構成されている必要があります。

  1. 最初のマスター KDC 上でスーパーユーザーになります。

  2. 2 つのレルムに対して、TGT のサービス主体を作成します。

    マスター KDC を構成したときに作成した admin 主体名を使用して、ログインする必要があります。


    # /usr/sbin/kadmin -p kws/admin
    Enter password: <Type kws/admin password>
    kadmin: addprinc krbtgt/ENG.EAST.EXAMPLE.COM@EAST.EXAMPLE.COM
    Enter password for principal krgtgt/ENG.EAST.EXAMPLE.COM@EAST.EXAMPLE.COM: <Type password>
    kadmin: addprinc krbtgt/EAST.EXAMPLE.COM@ENG.EAST.EXAMPLE.COM
    Enter password for principal krgtgt/EAST.EXAMPLE.COM@ENG.EAST.EXAMPLE.COM: <Type password>
    kadmin: quit
    

    注 –

    各サービス主体のパスワードは、2 つの KDC で同一である必要があります。そのため、サービス主体 krbtgt/ENG.EAST.EXAMPLE.COM@EAST.EXAMPLE.COM のパスワードは、2 つのレルムで同じである必要があります。


  3. Kerberos 構成ファイル (krb5.conf) にエントリを追加して、すべてのレルムのドメイン名を定義します。


    # cat /etc/krb5/krb5.conf
    [libdefaults]
     .
     .
    [domain_realm]
            .eng.east.example.com = ENG.EAST.EXAMPLE.COM
            .east.example.com = EAST.EXAMPLE.COM
    

    この例では、ENG.EAST.EXAMPLE.COM レルムと EAST.EXAMPLE.COM レルムのドメイン名を定義しています。Kerberos 構成ファイルは先頭から末尾方向に検索されるため、サブドメインは最初に定義してください。

  4. Kerberos 構成ファイルをこのレルムのすべてのクライアントにコピーします。

    レルム間認証が動作するには、すべてのシステム (スレーブ KDC などのサーバーを含む) に新しいバージョンの Kerberos 構成ファイル (/etc/krb5/krb5.conf) がインストールされている必要があります。

  5. もう一方のレルムで上記の全手順を繰り返します。

Procedure直接接続のレルム間認証を確立する方法

この手順では、ENG.EAST.EXAMPLE.COM レルムと SALES.WEST.EXAMPLE.COM レルムを使用します。レルム間認証は、双方向に確立されます。この手順は、2 つのレルムのマスター KDC 上で完了する必要があります。

始める前に

マスター KDC の各レルムが構成済みである必要があります。認証プロセスを十分にテストするには、複数の Kerberos クライアントが構成されている必要があります。

  1. いずれかのマスター KDC サーバー上でスーパーユーザーになります。

  2. 2 つのレルムに対して、TGT のサービス主体を作成します。

    マスター KDC を構成したときに作成した admin 主体名を使用して、ログインする必要があります。


    # /usr/sbin/kadmin -p kws/admin
    Enter password: <Type kws/admin password>
    kadmin: addprinc krbtgt/ENG.EAST.EXAMPLE.COM@SALES.WEST.EXAMPLE.COM
    Enter password for principal 
      krgtgt/ENG.EAST.EXAMPLE.COM@SALES.WEST.EXAMPLE.COM: <Type the password>
    kadmin: addprinc krbtgt/SALES.WEST.EXAMPLE.COM@ENG.EAST.EXAMPLE.COM
    Enter password for principal 
      krgtgt/SALES.WEST.EXAMPLE.COM@ENG.EAST.EXAMPLE.COM: <Type the password>
    kadmin: quit
    

    注 –

    各サービス主体のパスワードは、2 つの KDC で同一である必要があります。そのため、サービス主体 krbtgt/ENG.EAST.EXAMPLE.COM@SALES.WEST.EXAMPLE.COM のパスワードは、2 つのレルムで同じである必要があります。


  3. Kerberos 構成ファイルにエントリを追加して、遠隔レルムへの直接パスを定義します。

    この例は、ENG.EAST.EXAMPLE.COM レルムのクライアントを示しています。SALES.WEST.EXAMPLE.COM レルムで適切な定義をするには、レルム名を入れ替える必要があります。


    # cat /etc/krb5/krb5.conf
    [libdefaults]
     .
     .
    [capaths]
        ENG.EAST.EXAMPLE.COM = {
            SALES.WEST.EXAMPLE.COM = .
        }
    
        SALES.WEST.EXAMPLE.COM = {
             ENG.EAST.EXAMPLE.COM = .
        }
    
  4. Kerberos 構成ファイルを現在のレルムのすべてのクライアントにコピーします。

    レルム間認証が動作するには、すべてのシステム (スレーブ KDC などのサーバーを含む) に新しいバージョンの Kerberos 構成ファイル (/etc/krb5/krb5.conf) がインストールされている必要があります。

  5. もう一方のレルムで上記の全手順を繰り返します。