Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

監査クラス

システム全体での Solaris 監査のデフォルト値は、1 つ以上のイベントのクラスを指定して事前選択されます。クラスは、システムの audit_control ファイルでシステムごとに事前選択されます。システムを使用するすべてのユーザーが、これらのイベントのクラスに対して監査されます。このファイルについては、audit_control ファイル」を参照してください。

監査クラスを構成し、新しい監査クラスを作成できます。監査クラス名は、最長 8 文字です。クラスの説明は、72 文字に制限されています。数値と英数字以外の文字が使用できます。

audit_user データベースのユーザーのエントリに監査クラスを追加して、ユーザーごとの監査対象を変更できます。監査クラスは、auditconfig コマンドの引数としても使用します。詳細は、auditconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

監査クラスの定義

次の表に、事前に定義されている監査クラス、監査クラスの記述名、および短い説明を示します。

表 31–1 事前に定義されている監査クラス

監査クラス 

記述名 

説明 

all

all

すべてのクラス (メタクラス) 

no

no_class

事前選択を無効にする空の値

na

non_attrib

ユーザーが原因ではないイベント 

fr

file_read

データを読み取る、読み取りのために開く 

fw

file_write

データを書き込む、書き込みのために開く 

fa

file_attr_acc

オブジェクト属性にアクセスする: statpathconf

fm

file_attr_mod

オブジェクト属性を変更する: chownflock

fc

file_creation

オブジェクトの作成 

fd

file_deletion

オブジェクトの削除 

cl

file_close

close システムコール

ap

application

アプリケーションが定義するイベント 

ad

administrative

管理上の操作 (旧 administrative メタクラス) 

am

administrative

管理上の操作 (メタクラス) 

ss

system state

システムの状態を変更 

as

system-wide administration

システム全体の管理 

ua

user administration

ユーザー管理 

aa

audit administration

監査の使用 

ps

process start

プロセスの起動、プロセスの停止 

pm

process modify

プロセスの変更 

pc

process

プロセス (メタクラス) 

ex

exec

プログラムの実行 

io

ioctl

ioctl() システムコール

ip

ipc

System V IPC 操作

lo

login_logout

ログインとログアウトのイベント 

nt

network

ネットワークイベント: bindconnectaccept

ot

other

その他、デバイス割り当てや memcntl() など

/etc/security/audit_class ファイルを変更して、新しいクラスを定義できます。既存クラスの名前の変更も可能です。詳細は、audit_class(4) のマニュアルページを参照してください。

監査クラスの構文

成功した場合に監査されるイベント、失敗した場合に監査されるイベント、または両方の場合に監査されるイベントがあります。接頭辞を指定しなかったイベントのクラスは、成功した場合も失敗した場合も監査されます。プラス (+) 接頭辞が付いた場合、イベントのクラスは成功した場合のみが監査されます。マイナス (-) 接頭辞が付く場合、イベントのクラスは失敗した場合のみが監査されます。次の表に、監査クラスの例をいくつか示します。

表 31–2 接頭辞 (プラス記号、マイナス記号) の付いた監査クラス

[prefix] class

意味 

lo

成功したすべてのログインとログアウト、および失敗したすべてのログインを監査します。ログアウトが失敗することはありません。 

+lo

成功したすべてのログインとログアウトを監査します。 

-all

失敗したすべてのイベントを監査します。 

+all

成功したすべてのイベントを監査します。 


注意 – 注意 –

all クラスを指定すると、大量のデータが生成され、監査ファイルシステムがすぐにいっぱいになる可能性があります。all クラスは、特別な理由ですべての活動を監査する場合にだけ使用してください。


キャレット接頭辞 ^ を使用すると、選択されている監査フラグをさらに変更できます。次の表は、キャレット接頭辞を使って選択済みの監査クラスを変更する方法を示したものです。

表 31–3 指定済みの監査クラスを変更するキャレット接頭辞

^[prefix]class

意味 

-all,^-fc

失敗したすべてのイベントを監査します。ただし、失敗したファイルシステムオブジェクト作成は監査しません 

am,^+aa

成功または失敗したすべての管理イベントを監査します。ただし、成功した監査管理は監査しません

am,^ua

成功または失敗したすべての管理イベントを監査します。ただし、ユーザー管理イベントは監査しません 

監査クラスとその接頭辞は、次のファイルとコマンドで使用できます。

audit_control ファイル内での接頭辞の使用例については、audit_control ファイル」を参照してください。