システム同士の比較を行い、ベースラインシステムとほかのシステムの間にファイルレベルの相違がないかをすばやく確認できます。たとえば、ベースラインシステムに特定バージョンの Solaris ソフトウェアをインストールした場合で、ほかのシステムにも同一のパッケージがインストールされているかどうかを知りたいときには、それらのシステムの目録を作成し、続いてテスト目録を制御目録と比較できます。このタイプの比較では、制御システムと比較される各テストシステムについてファイルの内容の相違がすべて一覧表示されます。
Primary Administrator 役割を引き受けるか、スーパーユーザーになります。
Primary Administrator 役割には、Primary Administrator プロファイルが含まれます。役割を作成してユーザーに役割を割り当てるには、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 2 章「Solaris 管理コンソールの操作 (手順)」を参照してください。
Solaris ソフトウェアのインストール後、制御目録を作成します。
# bart create options > control-manifest |
制御目録を保存します。
テストシステムで、同じ bart オプションを使用して目録を作成し、出力をファイルにリダイレクトします。
# bart create options > test1-manifest |
テスト目録に識別しやすい意味のある名前を付けます。
目録を比較する準備が整うまで、このテスト目録をシステムの中心的な場所に保存しておきます。
目録を比較する時点で、制御目録をテスト目録の場所へコピーするか、あるいはテスト目録を制御システムへコピーします。
次に例を示します。
# cp control-manifest /net/test-server/bart/manifests
テストシステムが NFS マウントされた状態でない場合は、FTP などの信頼性のある方法によって制御目録をテストシステムにコピーしてください。
制御目録をテスト目録と比較し、出力をファイルにリダイレクトします。
# bart compare control-manifest test1-manifest > test1.report |
BART レポートを調べ、異常がないかを確認します。
制御目録と比較を行いたいテスト目録ごとに手順 4 から 9 を繰り返します。
テストシステムごとに、同じ bart オプションを使用してください。
この例では、制御目録を異なるシステムのテスト目録と比較することによって /usr/bin ディレクトリの内容に起きた変化を監視する方法について説明します。
制御目録を作成します。
# bart create -R /usr/bin > control-manifest.121203 !Version 1.0 ! Friday, December 12, 2003 (09:19:00) # Format: #fname D size mode acl dirmtime uid gid #fname P size mode acl mtime uid gid #fname S size mode acl mtime uid gid #fname F size mode acl mtime uid gid contents #fname L size mode acl lnmtime uid gid dest #fname B size mode acl mtime uid gid devnode #fname C size mode acl mtime uid gid devnode / D 13312 40755 user::rwx,group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3fd9e925 0 2 /.s F 14200 104711 user::rwx,group::--x,mask:--x,other:--x 3f8dbfd6 0 1 8ec7e52d8a35ba3b054a6394cbf71cf6 /ControlPanel L 28 120777 - 3f81dc71 0 1 jre/bin/ControlPanel /HtmlConverter L 25 120777 - 3f81dcdc 0 1 bin/HtmlConverter /acctcom F 28300 100555 user::r-x,group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3f6b5750 0 2 d6e99b19c847ab4ec084d9088c7c7608 /activation-client F 9172 100755 user::rwx,group::r-x,mask:r-x, other:r-x 3f5cb907 0 1 b3836ad1a656324a6e1bd01edcba28f0 /adb F 9712 100555 user::r-x,group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3f6b5736 0 2 5e026413175f65fb239ee628a8870eda /addbib F 11080 100555 user::r-x,group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3f6b5803 0 2 a350836c36049febf185f78350f27510 . . . |
制御システムと比較するシステムごとにテスト目録を作成します。
# bart create -R /usr/bin > system2-manifest.121503 ! Version 1.0 ! Friday, December 15, 2003 (13:30:58) # Format: #fname D size mode acl dirmtime uid gid #fname P size mode acl mtime uid gid #fname S size mode acl mtime uid gid #fname F size mode acl mtime uid gid contents #fname L size mode acl lnmtime uid gid dest #fname B size mode acl mtime uid gid devnode #fname C size mode acl mtime uid gid devnode / D 13312 40755 user::rwx,group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3fd9ea9c 0 2 /.s F 14200 104711 user::rwx,group::--x,mask:--x,other:--x 3f8dbfd6 0 1 8ec7e52d8a35ba3b054a6394cbf71cf6 /ControlPanel L 28 120777 - 3f81dc71 0 1 jre/bin/ControlPanel /HtmlConverter L 25 120777 - 3f81dcdc 0 1 bin/HtmlConverter /acctcom F 28300 100555 user::r-x,group::r-x,mask:r-x,other: r-x 3f6b5750 0 2 d6e99b19c847ab4ec084d9088c7c7608 . . . |
目録を比較する時点で、その目録を同じ場所にコピーします。
# cp control-manifest /net/system2.central/bart/manifests |
制御目録をテスト目録と比較します。
# bart compare control-manifest system2.test > system2.report /su: gid control:3 test:1 /ypcat: mtime control:3fd72511 test:3fd9eb23 |
上記の出力は、/usr/bin ディレクトリの su ファイルのグループ ID が制御システムのグループ ID と同じでないことを示しています。この情報は、異なるバージョンのソフトウェアがテストシステムにインストールされていないかということや、誰かがファイルを改ざんしていないかということなどの確認に便利です。