Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

Procedure目録を作成する方法

システムの目録は、Solaris ソフトウェアの初期インストールが終わった直後に作成できます。このタイプの目録は、一定期間における同一システムの変化を比較するためのベースラインとなります。あるいは、この目録を使用し、異なるシステムの目録と比較することもできます。たとえば、ネットワーク上の各システムのスナップショットを作成し、各テスト目録を制御目録と比較する場合、テストシステムをベースライン構成と一致させるために必要な作業をすばやく判断できます。

  1. Primary Administrator 役割を引き受けるか、スーパーユーザーになります。

    Primary Administrator 役割には、Primary Administrator プロファイルが含まれます。役割を作成してユーザーに役割を割り当てるには、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 2 章「Solaris 管理コンソールの操作 (手順)」を参照してください。

  2. Solaris ソフトウェアのインストール後に制御目録を作成し、その出力をファイルにリダイレクトします。


    # bart create options > control-manifest
    
    -R

    目録の検査対象としてルートディレクトリを指定します。規則で指定されるパスはすべて、このディレクトリからの相対パスとなるように変換されます。目録で報告されるパスはすべて、このディレクトリからの相対パスとなります。

    -I

    カタログ化される個々のファイルの一覧 (コマンド行上で指定されるか、あるいは標準入力から読み取られる) を受け入れます。

    -r

    この目録の規則ファイルの名前です。 を付けて -r オプションを使用すると、規則ファイルが標準入力から読み取られます。

    -n

    ファイルリストに挙げられたすべての通常ファイルの署名を無効にします。このオプションは、パフォーマンスを上げる目的で使用できます。また、(システムログファイルの場合のように) ファイルリストの内容が変わる予定がある場合にも使用できます。

  3. 目録の内容を確認します。

  4. あとで利用できるように目録を保存します。

    目録にわかりやすい名前をつけてください。たとえば、システム名と目録が作成された日付を組み合わせます。


例 5–1 システム上のファイルごとに情報を一覧表示する目録を作成する

オプションをまったく指定せずに bart create コマンドを実行すると、システムにインストールされているファイルごとに情報がカタログ化されます。このタイプの目録は、元になるイメージから多数のシステムをインストールする場合のベースラインとして使用してください。また、同一のインストールが行われたかを確認する場合に、このタイプの目録を使用して比較を行うこともできます。

次に例を示します。


# bart create
! Version 1.0
! Thursday, December 04, 2003 (16:17:39)
# Format:
#fname D size mode acl dirmtime uid gid
#fname P size mode acl mtime uid gid
#fname S size mode acl mtime uid gid
#fname F size mode acl mtime uid gid contents
#fname L size mode acl lnmtime uid gid dest
#fname B size mode acl mtime uid gid devnode
#fname C size mode acl mtime uid gid devnode
/ D 1024 40755 user::rwx,group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3fd9ea47 0 0
/.java D 512 40755 user::rwx,group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3f8dc04d 0 10
/.java/.userPrefs D 512 40700 user::rwx,group::---,mask:---
other:--- 3f8dc06b 010
/.java/.userPrefs/.user.lock.root F 0 100600 user::rw-
group::---,mask:---,other:--- 3f8dc06b 0 10 -
/.java/.userPrefs/.userRootModFile.root F 0 100600 user::rw-,
group::---,mask:---,other:--- 3f8dc0a1 0 10 -
.
.
.
/var/sadm/pkg/SUNWdtmad/install/depend F 932 100644 user::rw-,
group::r--,mask:r--,other:r-- 3c23a19e 0 0 -
/var/sadm/pkg/SUNWdtmad/pkginfo F 594 100644 user::rw-
group::r--,mask:r--,other:r-- 3f81e416 0 0 -
/var/sadm/pkg/SUNWdtmad/save D 512 40755 user::rwx,group::r-x
mask:r-x,other:r-x 3f81e416 0 0
/var/sadm/pkg/SUNWdtmaz D 512 40755 user::rwx,group::r-x
mask:r-x,other:r-x 3f81e41b 0 0
/var/sadm/pkg/TSIpgxw/save D 512 40755 user::rwx
group::r-x,mask:r-x,other:r-x 3f81e892 0 0
.
.
.

各目録は、ヘッダーとエントリから構成されます。目録ファイルの各エントリは、ファイルタイプに応じて単一の行に示されます。たとえば、上記の出力における各目録エントリでは、タイプ F はファイルを示し、タイプ D はディレクトリを示します。また、サイズ、内容、ユーザー ID、グループ ID、およびアクセス権も表示されます。特殊文字を正しく処理するため、出力内のファイルエントリはコード化されたバージョンのファイル名でソートされます。この結果、すべてのエントリがファイル名をキーにして昇順に並べられます。標準でないファイル名 (改行文字やタブ文字が埋め込まれたものなど) については、ソート前にそれらの非標準文字が引用符で囲まれます。

! で始まる行には、目録についてのメタデータが示されてます。目録バージョン行には、目録の仕様バージョンが示されます。日付行には、目録が作成された日付が日付形式で示されます。date(1) のマニュアルページを参照してください。一部の行は、目録比較ツールによって無視されます。無視される行には、空の行や、空白しか入っていない行、# から始まるコメントなどがあります。