ほとんどのローカルエリアネットワークでは、データは「パケット」と呼ばれるブロック単位でコンピュータ間で転送されます。ネットワークの外部にいるアクセス権のないユーザーが、「パケットスマッシング」という方法により、データを変更または破壊する可能性があります。
パケットスマッシングでは、パケットが宛先に到達する前に取り込まれます。侵入者は、その内容に勝手なデータを書き込み、パケットを元のコースに戻します。ローカルエリアネットワーク上では、パケットはサーバーを含むすべてのシステムに同時に到達するので、パケットスマッシングは不可能です。ただし、ゲートウェイ上ではパケットスマッシングが可能なため、ネットワーク上のすべてのゲートウェイを保護する必要があります。
もっとも危険なのは、データの完全性に影響するような攻撃です。このような攻撃を受けると、パケットの内容が変更されたり、ユーザーが偽装されたりします。盗聴を伴う攻撃では、データの完全性が損なわれることはありません。盗聴者は、会話を記録して、あとで再生します。盗聴者がユーザーを偽装することはありません。盗聴攻撃によってデータの完全性が損なわれることはありませんが、プライバシが侵害されます。ネットワーク上でやりとりされるデータを暗号化すると、重要な情報のプライバシを保護できます。
セキュリティー保護されていないネットワーク上での遠隔処理を暗号化する方法については、第 19 章Solaris Secure Shell の使用 (手順)を参照してください。
ネットワーク上でのデータの暗号化と認証を行う方法については、第 21 章Kerberos サービスについてを参照してください。
IP データグラムを暗号化する方法については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の第 19 章「IP セキュリティーアーキテクチャー (概要)」を参照してください。