Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

ファイルアクセスの制御

Solaris OS はマルチユーザー環境です。マルチユーザー環境では、システムにログインしているすべてのユーザーが、ほかのユーザーに属しているファイルを読み取ることができます。さらに、適切なアクセス権をもっているユーザーは、ほかのユーザーに属しているファイルを使用できます。詳細は、第 6 章ファイルアクセスの制御 (作業)を参照してください。ファイルに適切なアクセス権を設定する操作の手順は、「ファイルの保護 (作業マップ)」を参照してください。

暗号化によるファイルの保護

ほかのユーザーがアクセスできないようにすることによって、ファイルを安全に保つことができます。たとえば、アクセス権 600 の付いたファイルに、所有者やスーパーユーザー以外の人がアクセスすることはできません。アクセス権 700 の付いたディレクトリも同様です。ただし、ほかのだれかがユーザーパスワードや root パスワードを推測して発見すると、そのファイルにアクセスできます。さらに、アクセス不能なはずのファイルも、システムファイルのバックアップをオフラインメディアにとるたびに、バックアップテープ上に保存されます。

Solaris 暗号化フレームワークには、ファイルを保護するコマンドとして digestmac、および encrypt が用意されています。詳細は、第 13 章Solaris の暗号化フレームワーク (概要)を参照してください。

アクセス制御リストの使用

ACL (「アクル」と読む) では、ファイルアクセス権の制御をより強化できます。ACL は、従来の UNIX ファイル保護機能では不十分な場合に追加で使用します。従来の UNIX ファイル保護機能は、 所有者、グループ、その他のユーザーという 3 つのユーザークラスに読み取り権、書き込み権、実行権を提供します。ACL では、ファイルセキュリティーを管理するレベルがさらに詳細になります。

ACL では、次のファイルアクセス権を定義できます。

ACL の使用についての詳細は、「アクセス制御リストによる UFS ファイルの保護」を参照してください。

マシン間でのファイルの共有

ネットワークファイルサーバーは、どのファイルを共有できるかを制御できます。また、共有ファイルにアクセスできるクライアント、およびそれらのクライアントに許可するアクセス権の種類も制御します。一般に、ファイルサーバーは、すべてのクライアントまたは特定のクライアントに、読み取り権と書き込み権、または読み取り専用アクセス権を与えることができます。アクセス制御は、share コマンドでリソースを利用可能にするときに指定します。

ファイルサーバー上の /etc/dfs/dfstab ファイルは、サーバーがネットワーク上のクライアントに提供するファイルシステムをリストします。ファイルシステムの共有の詳細については、『Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』「ファイルシステムの自動共有」を参照してください。

共有ファイルへの root アクセスの制限

一般的にスーパーユーザーは、ネットワーク上で共有されるファイルシステムには root としてアクセスできません。NFS システムは、要求者のユーザーをユーザー ID 60001 を持つユーザー nobody に変更することによって、マウントされているファイルシステムへの root アクセスを防止します。ユーザー nobody のアクセス権は、公共ユーザーに与えられているアクセス権と同じです。つまり、ユーザー nobody のアクセス権は資格をもたないユーザーのものと同じです。たとえば、ファイルの実行権しか公共に許可していなければ、ユーザー nobody はそのファイルを実行することしかできません。

NFS サーバーは、共有ファイルシステムのスーパーユーザー能力をホスト単位で与えることができます。この権限を与えるには、share コマンドの root=hostname オプションを使用します。このオプションは慎重に使用してください。NFS のセキュリティーオプションの詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』の第 6 章「ネットワークファイルシステムへのアクセス (リファレンス)」を参照してください。