Kerberos 認証には、後続の認証を準備する初期認証と、後続の認証の 2 つのフェーズが あります。
次の図では、初期認証の手順を示します。
クライアント (ユーザー、または NFS などのサービス) は、KDC に TGT を要求して Kerberos セッションを開始します。ほとんどの場合、この要求はログイン時に自動的に実行されます。
TGT は、ほかの特定のサービスのチケットを取得するために必要です。TGT は、パスポートに似ています。パスポートと同様に、TGT はユーザーを識別して、さまざまなビザの取得をユーザーに許可します。ここでいうビザ (チケット) は、外国に入国するためのものではなく、遠隔マシンやネットワークサービスにアクセスするためのものです。パスポートやビザと同様に、TGT などのチケットには有効期限があります。ただし、Kerberos コマンドは、ユーザーがパスポートを所有していることを通知し、ユーザーに代わってビザを取得します。ユーザー自身がトランザクションを実行する必要はありません。
チケット認可チケットに類似した例として、4 つのスキー場で使える 3 日間のスキーパスを挙げます。ユーザーは、パスが期限切れになるまで、このパスを任意のスキー場で提示して、そのスキー場のリフトチケットを受け取ります。リフトチケットを入手したら、そのスキー場で好きなだけスキーをすることができます。翌日別のスキー場に行った場合は、またパスを提示して、そのスキー場のリフトチケットを入手します。ただし、Kerberos に基づくコマンドは、ユーザーが週末スキーパスを所有していることをユーザーに通知し、ユーザーに代わってリフトチケットを入手します。したがって、ユーザー自身がトランザクションを実行する必要はありません。
KDC は TGT を作成し、それを暗号化してクライアントに送信します。クライアントは、自身のパスワードを使用して TGT を復号化します。
クライアントは、有効な TGT を入手したので、TGT が期限切れになるまで、rlogin、telnet などあらゆる種類のネットワーク操作チケットを要求できます。この TGT の有効期限は通常、数時間です。クライアントは一意のネットワーク操作を実行するたびに、TGT は KDC にその操作のチケットを要求します。