Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

ユーザーまたは役割の特権の拡張

ユーザーと役割は、継承可能特権セットと制限特権セットを持ちます。制限セットには初めにすべての特権が設定されるため、このセットは拡張できません。初期継承可能セットは、ユーザー、役割、システムを対象に拡張できます。プロセスには、継承可能セットに含まれない特権も割り当てることができます。

特権を追加するのにもっとも適した方法は、プロセスごとの特権割り当てです。ユーザーが実行できる特権化された処理の数は、役割の引き受けをそのユーザーに許可することで増やせます。役割には、追加された特権が指定されたコマンドを含むプロファイルを割り当てます。役割を引き受ける際に、ユーザーはその役割のプロファイルシェルを取得します。役割のプロファイルに指定されたコマンドをその役割のシェルで入力すると、追加された特権を使用してコマンドが実行されます。

プロファイルは、ユーザーが引き受ける役割に対してではなく、ユーザーに割り当てることもできます。プロファイルは、追加された特権が指定されたコマンドを含みます。プロファイルシェル (pfksh など) を開く場合、ユーザーは自分のプロファイル内のコマンドを特権を使用して実行できます。通常のシェルでは、特権によるコマンドの実行は行われません。特権が指定されたプロセスは、特権化されたシェルでしか実行できません。

ユーザー、役割、またはシステムの初期継承可能特権セットを拡張するのは、特権を割り当てる方法として安全とは言えません。継承可能セット内の特権はすべて、許可されたセットと有効セット内に存在します。シェル内でユーザーまたは役割が入力するコマンドはすべて、直接割り当てられた特権を使用できます。直接割り当てられた特権を使用すると、ユーザーまたは役割は自分の管理責務の範囲を超えた処理を簡単に行えます。

システムの初期継承可能特権セットを拡張すると、そのシステムにログインするユーザー全員の基本特権が拡張されます。このような直接割り当てを行うと、通常のユーザーには禁止されている処理でもシステムの全ユーザーが簡単に行えるようになります。