Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

承認の命名と委託

RBAC の「承認」は、役割またはユーザーに許可できる個別の権限です。RBAC に準拠したアプリケーションによって承認が確認されてから、ユーザーはアプリケーションまたはアプリケーションの特定の操作へのアクセス権を取得します。この承認の確認は、従来の UNIX アプリケーションが行なっていた UID=0 のテストに代わるものです。

承認の命名規則

承認には、RBAC の内部およびファイル内で使用される名前があります。たとえば solaris.admin.usermgr.pswd などの承認名があります。また、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) に表示される短い説明もあります。たとえば、Change Passwords は、solaris.admin.usermgr.pswd 承認の説明です。

承認名の書式は、インターネット名と逆の順序になり、サプライヤ、被認証者領域、任意の下位領域、および承認の機能で構成されます。承認名の区切り文字はドット (.) です。たとえば、com.xyzcorp.device.access のように指定します。ただし、Sun から許可される承認では、インターネット名の代わりに接頭辞 solaris が使用されます。システム管理者は、承認を階層方式で適用することができます。ワイルドカード (*) は、ドットの右側の任意の文字列を表すことができます。

承認レベルの違いの例

ここでは、承認の使用方法の例を示します。 Operator 役割のユーザーは、多くの場合、solaris.admin.usermgr.read 承認に制限されます。この承認では、ユーザーの構成ファイルに対する読み取り権は許可されますが、書き込み権は許可されません。System Administrator 役割では、solaris.admin.usermgr.read 承認と、ユーザーのファイルを変更できる solaris.admin.usermgr.write 承認が許可されます。ただし、System Administrator には、solaris.admin.usermgr.pswd 承認が許可されないため、パスワードは変更できません。Primary Administrator では、これらの 3 つの承認がすべて許可されます。

Solaris 管理コンソールのユーザーツールのパスワードを変更するには、solaris.admin.usermgr.pswd 承認が必要です。この承認は、smusersmmultiuser、および smrole コマンドのパスワード変更オプションを使用するときにも必要になります。

承認での委託権限

接尾辞が grant の承認が許可されたユーザーまたは役割は、割り当てられている承認のうち同じ接頭辞を持つ任意の承認を、ほかのユーザーに委託することができます。

たとえば、solaris.admin.usermgr.grant 承認と solaris.admin.usermgr.read 承認を持つ役割は、solaris.admin.usermgr.read 承認をほかのユーザーに委託できます。solaris.admin.usermgr.grant 承認と solaris.admin.usermgr.* 承認を持つ役割は、solaris.admin.usermgr 接頭辞を持つ任意の承認をほかのユーザーに委託できます。