Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)

第 22 章 NIS+ の削除

この章では、NIS+ ディレクトリ管理コマンドを使用して、クライアントまたはサーバーから NIS+ を削除する方法と、NIS+ 名前空間全体を削除する方法について説明します。

NIS+ 複製サーバーを、ディレクトリから分離し、そのドメインの複製サーバーとして機能しないようにする場合は、nisrmdir コマンド」を参照してください。


注 –

NIS+ は、将来のリリースではサポートされなくなる可能性があります。NIS+ から LDAP への移行支援ツールは、Solaris 9 リリース以降で使用できます (『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照)。詳細については、http://www.sun.com/directory/nisplus/transition.html を参照してください。



注 –

NIS+ サービスは、サービス管理機能によって管理されます。このサービスに対する有効化、無効化、再起動などの管理操作を実行するには、svcadm コマンドを使用します。SMF を NIS+ で使用する方法については、「NIS+ とサービス管理機能」を参照してください。SMF の概要については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「サービスの管理 (概要)」を参照してください。詳細については、svcadm(1M)svcs(1) の各マニュアルページも参照してください。


クライアントマシンから NIS+ を削除する

この節では、クライアントマシンから NIS+ を削除する方法について説明します。ただし、クライアントマシンから NIS+ を削除しても、ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除したことにはならないので注意してください。ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除して、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す場合は、「NIS+ 名前空間を削除する」を参照してください。

nisclient を使用してインストールした NIS+ を削除する

第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」の説明に沿って nisclient -i スクリプトを使用して、NIS+ クライアントとして設定されたクライアントマシンから NIS+ を削除するには、-r オプションを付けて nisclient を実行します。


client# nisclient -r

nisclient -r では、nisclient -i の最新の 処理が 1 回分取り消されるだけです。つまり、-i 実行以前にクライアントによって使用されていたネーミングシステム (NIS や /etc ディレクトリのファイルなど) が再び使用されるようになります。

NIS+ コマンドでインストールした NIS+ を削除する

第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」の説明に沿って nisaddcreddomainname、および nisinit コマンドを使用して、NIS+ クライアントとして設定されたクライアントマシンから NIS+ を削除するには、 次の手順を行います。

  1. .rootkey ファイルを削除します。


    client# rm -f /etc/.rootkey
  2. キーサーバーを停止します。


    client# svcadm disable /network/rpc/keyserv
  3. NIS+ サービスを停止します。

    これにより、rpc.nisd デーモンと nis_cachemgr が停止します。


    client# svcadm disable /network/rpc/nisplus:default
  4. ネームサービスキャッシュ (nscd) を停止します。


    client# svcadm disable /system/name-service-cache:default
  5. /var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。


    clientmachine# rm -rf /var/nis/*

サーバーから NIS+ を削除する

この節では、NIS+ サーバーから NIS+ を削除する方法を示します。

ただし、サーバーから NIS+ を削除しても、ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除したことにはならないので注意してください。ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除して、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す場合は、「NIS+ 名前空間を削除する」を参照してください。


注 –

NIS+ サーバーとして使用しているマシンを、別のマシンに置換できます。「サーバーマシンを置換する」を参照してください。


サーバーから NIS+ を削除する手順は以下のとおりです。

  1. クライアントから NIS+ を削除する作業を行います。

    NIS+ サーバーは NIS+ クライアントでもあります。このため、クライアントに関連する NIS+ の部分を最初に削除する必要があります。このためには nisclient -r (nisclient を使用してインストールした NIS+ を削除する」を参照) か、NIS+ コマンド (「NIS+ コマンドでインストールした NIS+ を削除する」を参照) を使用します。

  2. サーバーの groups_dir ディレクトリと org_dir ディレクトリを削除します。


    server# nisrmdir -f groups_dir.domainname
    server# nisrmdir -f org_dir.domainname
    
  3. キーサーバーを停止します。


    client# svcadm disable /network/rpc/keyserv
  4. NIS+ サービスを停止します。

    これにより、rpc.nisd デーモンと nis_cachemgr が終了します。


    server# svcadm disable /network/rpc/nisplus:default
  5. ネームサービスキャッシュ (nscd) を停止します。


    server# svcadm disable /system/name-service-cache:default
  6. /var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。


    rootmaster# rm -rf /var/nis/*

NIS+ 名前空間を削除する

NIS+ 名前空間を削除し、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す手順は以下のとおりです。

  1. ルートマスターから .rootkey ファイルを削除します。


    rootmaster# rm -f /etc/.rootkey
  2. ルートマスターのルートドメインから groups_dir サブディレクトリと org_dir サブディレクトリを削除します。


    rootmaster# nisrmdir -f groups_dir.domainname
    rootmaster# nisrmdir -f org_dir.domainname
    

    domainname には、ルートドメイン名 (doc.com など) が入ります。

  3. ルートドメインを削除します。


    rootmaster# nisrmdir -f domainname
    

    domainname には、ルートドメイン名 (doc.com など) が入ります。

  4. キーサーバーを停止します。


    client# svcadm disable /network/rpc/keyserv
  5. NIS+ サービスを停止します。

    これにより、rpc.nisd デーモンと nis_cachemgr が終了します。


    rootmaster# svcadm disable -t /network/rpc/nisplus:default
  6. ネームサービスキャッシュ (nscd) を停止します。


    rootmaster# svcadm disable -t /system/name-service-cache:default
  7. 新しいドメインを作成します


    rootmaster# domainname name
    

    name には、新しいドメイン名 (NIS+ インストール前のドメイン名など) が入ります。

  8. 既存の /etc/defaultdomain ファイルを削除します。


    rootmaster# rm /etc/defaultdomain
    
  9. /etc/defaultdomain ファイルを、新しいドメイン名を使用して作成し直します。


    rootmaster# domainname > /etc/defaultdomain
  10. nsswitch.conf ファイルをもとのファイルに戻します。

    サーバーを nisserver -r を使用して設定した場合は、以下のコマンドを使用します。


    rootmaster# cp /etc/nsswitch.conf.no_nisplus /etc/nsswitch.conf

    また、デフォルトスイッチテンプレートファイルの 1 つをコピーする方法もあります。NIS スイッチのデフォルトファイルテンプレートを使用する場合は、以下のコマンドを入力します。


    rootmaster# cp /etc/nsswitch.nis etc/nsswitch.conf 
    

    /etc ファイルのデフォルトスイッチファイルテンプレートを使用する場合は、以下のコマンドを入力します。


    rootmaster# cp /etc/nsswitch.files etc/nsswitch.conf
  11. /var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。


    rootmaster# rm -rf /var/nis/*
  12. NIS+ サービスを開始します。


    rootmaster# svcadm enable /network/rpc/nisplus:default