この章では、NIS+ ディレクトリ管理コマンドを使用して、クライアントまたはサーバーから NIS+ を削除する方法と、NIS+ 名前空間全体を削除する方法について説明します。
NIS+ 複製サーバーを、ディレクトリから分離し、そのドメインの複製サーバーとして機能しないようにする場合は、「nisrmdir コマンド」を参照してください。
NIS+ は、将来のリリースではサポートされなくなる可能性があります。NIS+ から LDAP への移行支援ツールは、Solaris 9 リリース以降で使用できます (『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照)。詳細については、http://www.sun.com/directory/nisplus/transition.html を参照してください。
NIS+ サービスは、サービス管理機能によって管理されます。このサービスに対する有効化、無効化、再起動などの管理操作を実行するには、svcadm コマンドを使用します。SMF を NIS+ で使用する方法については、「NIS+ とサービス管理機能」を参照してください。SMF の概要については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「サービスの管理 (概要)」を参照してください。詳細については、svcadm(1M) と svcs(1) の各マニュアルページも参照してください。
この節では、クライアントマシンから NIS+ を削除する方法について説明します。ただし、クライアントマシンから NIS+ を削除しても、ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除したことにはならないので注意してください。ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除して、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す場合は、「NIS+ 名前空間を削除する」を参照してください。
第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」の説明に沿って nisclient -i スクリプトを使用して、NIS+ クライアントとして設定されたクライアントマシンから NIS+ を削除するには、-r オプションを付けて nisclient を実行します。
client# nisclient -r |
nisclient -r では、nisclient -i の最新の 処理が 1 回分取り消されるだけです。つまり、-i 実行以前にクライアントによって使用されていたネーミングシステム (NIS や /etc ディレクトリのファイルなど) が再び使用されるようになります。
第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」の説明に沿って nisaddcred、domainname、および nisinit コマンドを使用して、NIS+ クライアントとして設定されたクライアントマシンから NIS+ を削除するには、 次の手順を行います。
client# rm -f /etc/.rootkey |
キーサーバーを停止します。
client# svcadm disable /network/rpc/keyserv |
NIS+ サービスを停止します。
これにより、rpc.nisd デーモンと nis_cachemgr が停止します。
client# svcadm disable /network/rpc/nisplus:default |
ネームサービスキャッシュ (nscd) を停止します。
client# svcadm disable /system/name-service-cache:default |
/var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。
clientmachine# rm -rf /var/nis/* |
この節では、NIS+ サーバーから NIS+ を削除する方法を示します。
ただし、サーバーから NIS+ を削除しても、ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除したことにはならないので注意してください。ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除して、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す場合は、「NIS+ 名前空間を削除する」を参照してください。
NIS+ サーバーとして使用しているマシンを、別のマシンに置換できます。「サーバーマシンを置換する」を参照してください。
サーバーから NIS+ を削除する手順は以下のとおりです。
クライアントから NIS+ を削除する作業を行います。
NIS+ サーバーは NIS+ クライアントでもあります。このため、クライアントに関連する NIS+ の部分を最初に削除する必要があります。このためには nisclient -r (「nisclient を使用してインストールした NIS+ を削除する」を参照) か、NIS+ コマンド (「NIS+ コマンドでインストールした NIS+ を削除する」を参照) を使用します。
サーバーの groups_dir ディレクトリと org_dir ディレクトリを削除します。
server# nisrmdir -f groups_dir.domainname server# nisrmdir -f org_dir.domainname |
キーサーバーを停止します。
client# svcadm disable /network/rpc/keyserv |
NIS+ サービスを停止します。
これにより、rpc.nisd デーモンと nis_cachemgr が終了します。
server# svcadm disable /network/rpc/nisplus:default |
ネームサービスキャッシュ (nscd) を停止します。
server# svcadm disable /system/name-service-cache:default |
/var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。
rootmaster# rm -rf /var/nis/* |
NIS+ 名前空間を削除し、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す手順は以下のとおりです。
ルートマスターから .rootkey ファイルを削除します。
rootmaster# rm -f /etc/.rootkey |
ルートマスターのルートドメインから groups_dir サブディレクトリと org_dir サブディレクトリを削除します。
rootmaster# nisrmdir -f groups_dir.domainname rootmaster# nisrmdir -f org_dir.domainname |
domainname には、ルートドメイン名 (doc.com など) が入ります。
ルートドメインを削除します。
rootmaster# nisrmdir -f domainname |
domainname には、ルートドメイン名 (doc.com など) が入ります。
キーサーバーを停止します。
client# svcadm disable /network/rpc/keyserv |
NIS+ サービスを停止します。
これにより、rpc.nisd デーモンと nis_cachemgr が終了します。
rootmaster# svcadm disable -t /network/rpc/nisplus:default |
ネームサービスキャッシュ (nscd) を停止します。
rootmaster# svcadm disable -t /system/name-service-cache:default |
新しいドメインを作成します
rootmaster# domainname name |
name には、新しいドメイン名 (NIS+ インストール前のドメイン名など) が入ります。
既存の /etc/defaultdomain ファイルを削除します。
rootmaster# rm /etc/defaultdomain |
/etc/defaultdomain ファイルを、新しいドメイン名を使用して作成し直します。
rootmaster# domainname > /etc/defaultdomain |
nsswitch.conf ファイルをもとのファイルに戻します。
サーバーを nisserver -r を使用して設定した場合は、以下のコマンドを使用します。
rootmaster# cp /etc/nsswitch.conf.no_nisplus /etc/nsswitch.conf |
また、デフォルトスイッチテンプレートファイルの 1 つをコピーする方法もあります。NIS スイッチのデフォルトファイルテンプレートを使用する場合は、以下のコマンドを入力します。
rootmaster# cp /etc/nsswitch.nis etc/nsswitch.conf |
/etc ファイルのデフォルトスイッチファイルテンプレートを使用する場合は、以下のコマンドを入力します。
rootmaster# cp /etc/nsswitch.files etc/nsswitch.conf |
/var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。
rootmaster# rm -rf /var/nis/* |
NIS+ サービスを開始します。
rootmaster# svcadm enable /network/rpc/nisplus:default |