Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)

コマンドによるアクセス権の指定

ここでの説明では、NIS+ 環境のセキュリティレベルが 2 (デフォルト) であるものと想定しています。

この節では、この章で説明するコマンドを使用するときにアクセス権や所有者、グループ所有者、オブジェクトを指定する方法を説明します。

アクセス権の構文

この節では、承認とアクセス権に関係する NIS+ コマンドに使われるアクセス権の構文について説明します。

クラス、演算子、および権利の構文

アクセス権は、環境変数で指定する場合もコマンドで指定する場合も、「クラス (class)」、「演算子 (operator)」、「権利 (right)」という3 種類の引数で区別されます。

コンマ (,) で区切ることで、複数のコマンドを 1 つのコマンド行にまとめることができます。

表 15–10 クラス、演算子、権利の構文 - 例

操作 

構文 

読み取りアクセス権を「所有者」クラスに追加する 

o+r

所有者、グループ、およびその他のクラスのアクセス権を、以前のアクセス権と異なるものに変更する 

a=m

読み取りと変更の権利をその他と未認証クラスに追加する 

wn+m

グループ、その他、および未認証クラスから 4 つの権利をすべて削除する 

gwn-rmcd

所有者クラスに作成と削除の権利を追加し、その他と未認証クラスに読み取り権と変更権を追加する 

o+cd,wn+rm

所有者とグループの構文

主体名は完全指定されていることに注意してください (principalname.domainname)。

所有者


principalname

グループ


groupname.domainname

オブジェクトとテーブルエントリの構文

オブジェクトとテーブルエントリは異なる構文を使います。

オブジェクト


objectname

テーブルエントリ


[columnname=value],tablename

注 –

この場合、角括弧 ( [ ]?) は構文の一部であり、オプション記号ではありません。


インデックス付きの名前では、列と値のペアを複数指定できます。その場合、操作はすべての列と値のペアに一致するエントリにだけ適用されます。列と値のペアが増えると、検索条件が厳しくなります。

たとえば、以下のようになります。

表 15–11 オブジェクトとエントリの構文

種類 

コメント例 

オブジェクト 

hosts.org_dir.sales.doc.com.

テーブルエントリ 

`[uid=33555],passwd.org_dir.Eng.doc.com.'

2 つの値のテーブルエントリ 

`[name=sales,gid=2],group.org_dir.doc.com.'

列はインデックス付きの名前の特殊な形式になっています。列の操作は nistbladm コマンドでだけ可能なため、詳細は、「テーブルでの nistbladm コマンドの使用」を参照してください。