Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)

資源管理の制御機構

Solaris オペレーティングシステムでは、制約、スケジューリング、区分の 3 種類の制御機構を使用できます。

制約機構

制約を使用すると、管理者やアプリケーション開発者は、作業負荷が使用する特定の資源の消費にいくつかの制限を設定できます。制限を設定すると、資源の消費シナリオを簡単にモデル化できます。また、制限を設定することにより、無秩序に資源を要求してシステムの性能や可用性に悪影響を及ぼす可能性がある悪質なアプリケーションを制御できます。

制約は、アプリケーションに制限を課します。アプリケーションとシステムの関係は、アプリケーションが動作できないところまで悪化してしまう可能性があります。そのような事態を回避する方法の 1 つは、資源に関する動作が不明なアプリケーションに対する制約を徐々に強めていくことです。第 6 章資源制御 (概要)で説明する資源制御機能が、制約機構を提供します。新たに作成するアプリケーションであれば、資源の制約をアプリケーションが認識するようにすることもできます。ただし、すべての開発者がこの機能を使用するとは限りません。

スケジューリング機構

スケジューリングとは、一定の間隔で割り当てを決定することです。この決定は、予測可能なアルゴリズムに基づいて行われます。現在割り当てられている資源を必要としないアプリケーションは、ほかのアプリケーションが使用できるように、その資源を解放します。スケジューリングに基づいて資源管理を行うと、資源に余裕がある構成の場合は使用率を最大限にできると同時に、資源が限界まで、あるいは過剰に使用されている場合には、割り当てを制御できます。スケジューリングのアルゴリズムにより、「制御」という用語の意味が決まります。場合によっては、スケジューリングアルゴリズムは、すべてのアプリケーションが資源にある程度アクセスできることを保証します。第 8 章公平配分スケジューラ (概要)で説明する公平配分スケジューラ (FSS) は、アプリケーションが制御された方法でCPU 資源にアクセスするように管理します。

区分機構

区分は、作業負荷をシステム上で使用可能な資源の一部に結合 (バインド) するために使用されます。資源と結合することにより、作業負荷は常に一定量の資源を使用できることが保証されます。第 12 章資源プール (概要)で説明する資源プール機能を使用すれば、作業負荷をマシンの特定の部分に制限できます。

区分を使用する構成では、システム全体が過剰使用されるのを防ぐことができます。ただし、この方法では、高い使用率の達成は難しくなります。プロセッサなど、予約済みの資源に結合されている作業負荷がアイドル状態になっている場合でも、別の作業負荷がその資源を使用することはできないためです。