Solaris WBEM 開発ガイド

インジケーションプロバイダの作成

CIM イベントのインジケーションを生成するには、次のタスクを実行する必要があります。

Procedureイベントインジケーションを生成する方法

手順
  1. EventProvider インタフェースを実装します。

    次に例を示します。

    public class sampleEventProvider 
    
    implements InstanceProvider EventProvider{
    
    
    
        // プロバイダが CIM オブジェクトマネージャに接続するための参照
    
        private ProviderCIMOMHandle cimom;
    
       }
  2. プロバイダが処理する各インスタンスインジケーションに対して、表 6–2 に示すそれぞれのメソッドを実行します。

  3. 作成、変更、および削除のインスタンスイベントに対してインジケーションを作成します。

    以下に createInstance メソッドの例を示します。

    public CIMObjectPath createInstance(CIMObjectPath op, 
    
            CIMInstance ci)
    
        throws CIMException {
    
            CIMObjectpath newop = ip.createInstance(op, ci);
    
           
    
            CIMInstance indication = new CIMInstance();
    
            indication.setClassName("CIM_InstCreation");
    
            
    
            CIMProperty cp = new CIMProperty();
    
            cp.setName("SourceInstance");
    
            cp.setValue(new CIMValue(ci));
    
            
    
            Vector v = new Vector();
    
            v.addElement(cp);
    
            indication.setProperties(v);
    
            ...
    
        }
  4. イベントインジケーションを CIM オブジェクトマネージャに送信します。

    cimom.deliverEvent(op.getNameSpace(), indication);

イベントプロバイダメソッド

イベントプロバイダは、EventProvider インタフェースを実装します。クライアントが CIM イベントのインジケーションを予約した場合、CIMOM は、このインタフェースに含まれるメソッドを使ってプロバイダに通知します。このメソッドは、クライアントが CIM イベントの予約を取り消した場合にも使用されます。さらにこれらのメソッドにより、CIMOM が特定のイベントインジケーションのポーリングを行うかどうか、インジケーションをハンドラに返すことを承認するかどうかも指定します。

次の表に、イベントプロバイダで実装する必要のある EventProvider インタフェースのメソッドを示します。

表 6–2 EventProvider メソッド

ソート方法 

説明 

activateFilter

クライアントが予約を作成すると、CIMOM は、このメソッドを呼び出して、CIM イベントの検査をプロバイダに依頼する 

authorizeFilter

クライアントが予約を作成すると、CIMOM は、このメソッドを呼び出して、指定されたフィルタ式が許可されているかを検査する 

deActivateFilter

クライアントが予約を削除すると、CIMOM は、このメソッドを呼び出して、指定されたイベントフィルタの停止をプロバイダに依頼する 

mustPoll

クライアントが予約を作成すると、CIMOM は、このメソッドを呼び出して、指定されたフィルタ式をプロバイダが許可するかどうか、そのフィルタ式のポーリングが必要かどうかを検査する 

CIMOM は、すべてのメソッドに次の引数の値を渡します。

さらに、activateFilter メソッドは、これがこのイベント型の最初のフィルタであることを示すブール値 firstActivation を受け取ります。deActivateFilter メソッドは、これが最後のフィルタであることを示すブール値 lastActivation を受け取ります。

インジケーションの作成と配信

クライアントアプリケーションが、 CIM_IndicationSubscription クラスのインスタンスを作成して CIM イベントのインジケーションを予約すると、CIMOM は、この要求を適切なプロバイダに転送します。プロバイダが EventProvider インタフェースを実装する場合、CIMOM は、指定するイベントのインジケーションの送信をいつ開始するかをプロバイダに通知します。プロバイダは、activateFilter メソッドを呼び出すことにより、この通知を行います。また、CIMOM は、プロバイダの deActivateFilter メソッドを呼び出して、指定するイベントのインジケーションの送信をいつ停止するかをプロバイダに通知します。

プロバイダは、インスタンスを作成、変更、削除するたびに、インジケーションを作成、配信して、CIMOM の要求に応答します。通常、プロバイダは、CIMOM が activateFilter メソッドを呼び出すときに設定されるフラグ変数を定義します。このフラグの設定は、CIMOM が deActivateFilter メソッドを呼び出すときにクリアされます。そのあと、プロバイダは、インスタンスを作成、変更、または削除するメソッドの中で、動作中のフラグの状態を検査します。フラグが設定されている場合、プロバイダは、作成された CIM インスタンスオブジェクトを含むインジケーションを作成します。プロバイダは、deliverEvent メソッドを使って、CIMOM にインジケーションを返します。フラグが設定されていない場合、プロバイダは、イベントインジケーションの作成や配信を行いません。

プロバイダは、activateFilter メソッドが呼び出されると、インジケーションの配信を開始します。プロバイダは、CIM_Indication の concrete (具象) サブクラスのインスタンスを作成し、ProviderCIMOMHandled.deliverIndication メソッドを起動します。CIMOM は、インジケーションを受信し、そのインジケーションを適切なインジケーションハンドラに配信します。プロバイダは、複数の種類のイベントを処理できます。たとえば、ライフサイクルインジケーションの場合、プロバイダは CIM_InstCreationCIM_InstDeletion、および CIM_InstModification を処理できます。

予約者が設定した種類を監視する場合、プロバイダは activateFilter および deActivateFilter 呼び出しにそれぞれ渡された firstActivation および lastActivation フラグを使用できます。firstActivation フラグは、特定のイベントの種類をはじめて予約した場合には、true になります。同様に lastActivation は、特定のイベントの種類の最後の予約を削除すると、true になります。これらのフラグを検査すると、プロバイダは、指定したイベントの種類を監視するために簡単にリソースを割り当てたり、割り当てを解除したりすることができます。

承認について

機密データを扱うプロバイダは、インジケーションの要求に対する承認を検査することができます。その場合、プロバイダは Authorizable インタフェースを実装して、そのプロバイダが承認を検査することを示す必要があります。また、プロバイダは authorizeFilter メソッドを実装する必要があります。CIMOM は、このメソッドを呼び出して、イベントハンドラの所有者 (UID) がフィルタ式の評価に基づいて送信されるインジケーションを受信することを承認されているかどうかを検査します。イベントの宛先の所有者 (イベントハンドラ) の UID は、フィルタを動作中にするように要求するクライアントアプリケーションの所有者と同じである必要はありません。