Solaris WBEM 開発ガイド

CIM オブジェクトマネージャリポジトリのアップグレード

以前のバージョンの Solaris を Solaris 10 にアップグレードした場合は、MOF (Managed Object Format) のカスタムデータを Solaris 9 からの新しいリポジトリ形式に更新する必要があります。アップグレードを行うと、アップグレード前に変更を加えた CIM および Solaris MOF データがすべて破壊されます。そのため、アップグレード後に MOF ファイルを再コンパイルするか、WBEM データをマージする必要があります。


注意 – 注意 –

変更を加えたデータの再コンパイルまたはマージ処理を正しく実行しないと、データは失われます。


Solaris 10 OS にアップグレードしたあと WBEM データを再コンパイルするかマージするかについては、次の表を参照してください。

表 2–1 WBEM データを再コンパイルするかマージするかの判別

アップグレード前の環境 

所有する MOF (Managed Object Format) ファイルを再コンパイルするか 

 

Solaris 8 (Solaris WBEM サービス 2.0) 

Solaris 8 6/00 (WBEM サービス 2.0) 

Solaris 8 10/00 (WBEM サービス 2.2) 

する 

 

Solaris 8 1/01 (WBEM サービス 2.3) 

Solaris 8 4/01 (WBEM サービス 2.4) 

Solaris 8 7/01 (WBEM サービス 2.4) 

Solaris 8 10/01 (WBEM サービス 2.4) 

Solaris 9 全リリース (WBEM サービス 2.5) 

しない。ただし、アップグレード済みリポジトリにデータをマージする必要がある 

 

ProcedureMOF ファイルの再コンパイル方法

手順
  1. システムを Solaris 10 OS にアップグレードします。

  2. スーパーユーザーになります。

  3. 所有する MOF ファイルが置かれているディレクトリに移動します。

  4. mofcomp コマンドを使って、所有する個々の MOF ファイルをコンパイルします。


    # /usr/sadm/bin/mofcomp root root-passwd MOF-filename
    

    注 –

    MOF コンパイラの詳細については、mofcomp(1M) のマニュアルページを参照してください。


  5. CIM オブジェクトマネージャを停止します。


    # /etc/init.d/init.wbem stop
    
  6. CIM オブジェクトマネージャを起動します。


    # /etc/init.d/init.wbem start
    

    CIMOM は、/var/sadm/wbem/logr/ ディレクトリに、変換済みデータを含むリポジトリファイルを追加します。このディレクトリは、Solaris 10 OS へのアップグレード時に作成されたものです。

ProcedureWBEM データをマージする方法

手順
  1. システムを Solaris 10 OS にアップグレードします。

  2. スーパーユーザーになります。

  3. CIM オブジェクトマネージャを停止します。


    # /etc/init.d/init.wbem stop
    

    注意 – 注意 –

    wbemconfig convert コマンドを実行する前に CIM オブジェクトマネージャを停止しなかった場合、データが損傷を受ける場合があります。


  4. 以前のバージョンの信頼できるログにある元のデータを、Solaris 10 の Reliable Log 内のデータとマージします。


    # /usr/sadm/lib/wbem/wbemconfig convert
    

    注 –

    wbemconfig convert コマンドでは、独自にカスタマイズした MOF データは正しく変換できますが、変更を加えた CIM または Solaris MOF データは変換できません。変更を加えた CIM または Solaris MOF データは壊れます。変更を加えた CIM または Solaris MOF データを新しいリポジトリに再コンパイルするには、mofcomp コマンドを使用して、クラス定義を含む MOF ファイルをコンパイルします。