マルチスレッドのプログラミング

最小のスタックサイズの取得

スレッドの最小スタックサイズを取得するには、thr_min_stack(3C) を使用します。

Solaris スレッドでのスタックの動作は、通常は pthread の場合と同じです。スタックの設定と操作の詳細は、「スタックについて」を参照してください。

thr_min_stack の構文

#include <thread.h>

size_t thr_min_stack(void);

thr_min_stack() は、NULL スレッドの実行に必要な空間の量を返します。NULL スレッドは、NULL 手続きを実行するために生成されたスレッドです。実用的なスレッドに必要なスタック空間は、スタックの絶対最小サイズより大きいので、スタックサイズを小さくするときは十分注意してください。

スレッドが NULL 手続きでなく通常の手続きを実行する場合は、thr_min_stack() の戻り値よりも大きなスタックサイズを割り当てなければなりません。

ユーザーが指定したスタックを使用してスレッドが作成される場合には、このスレッドの実行に必要な空間量を確保する必要があります。動的にリンクされる実行環境の場合には、スレッドの最小スタック要件を決定するのがさらにむずかしくなります。

カスタムスタックは、次の 2 つの方法で指定できます。1 つは、thr_create() でスタックアドレスを NULL に指定し、スタック空間の割り当てをスレッドライブラリに任せる方法です。スタックサイズを指定するパラメータには、希望のサイズを指定します。

もう 1 つの方法は、thr_create() にスタックのポインタを渡して、スタックをすべて自分で管理する方法です。この場合は、スタック空間の割り当てだけでなく、割り当ての解放もユーザー自身で行う必要があります。つまり、スレッドを終了するときに、そのスタックをユーザーが解放しなければなりません。

独自のスタックを割り当てる場合は、mprotect(2) を呼び出して、スタックの最後に必ずレッドゾーンを付加してください。

通常、ユーザー独自のスタックが必要になることはまれです。実際、アプリケーション側が実行環境を完全に制御するなどのごく限られた状況でしか必要になりません。

ユーザーは、システムにスタックの割り当てを任せることができます。システムのデフォルトのスタックは、すべてのスレッドの要求を満たします。

thr_min_stack の戻り値

エラーが未定義です。