リンカーとライブラリ

オブジェクト階層

最初のオブジェクトが dlopen(3C) によって入手され、dlopen() を使用して 2 番目のオブジェクトを開いた場合、両方のオブジェクトは同じ固有のグループに割り当てられます。これにより、オブジェクトが互いにシンボルを配置し合うことを防ぐことができます。

実装の中には、最初のオブジェクトの場合、シンボルを 2 番目のオブジェクトの再配置用にエクスポートする必要がある場合もあります。この必要条件は、次の 2 つのメカニズムのいずれかによって満たすことができます。

最初のオブジェクトを 2 番目のオブジェクトの明示的な依存関係にした場合、これは 2 番目のオブジェクトのグループにも割り当てられます。そのため、最初のオブジェクトは、2 番目のオブジェクトの再配置に必要なシンボルも提供できます。

多くのオブジェクトが dlopen(3C) を使って 2 番目のオブジェクトを開くことができ、かつそれらの初期オブジェクトが 2 番目のオブジェクトの再配置を満たすために同じシンボルをエクスポートしなければならない場合、その 2 番目のオブジェクトに明示的な依存関係を割り当てることはできません。この場合、2 番目のオブジェクトの dlopen(3C) モードは、RTLD_PARENT フラグを使用して補強できます。このフラグによって、2 番目のオブジェクトのグループが、明示的な依存関係が伝達されたのと同じ方法で、最初のオブジェクトに伝達されます。

これら 2 つの手法の間には、小さな相違点が 1 つ存在しています。明示的な依存関係を指定する場合、その依存関係そのものは、2 番目のオブジェクトの dlopen(3C) 依存関係ツリーの一部になるため、dlsym(3C) を使用したシンボル検索が可能になります。RTLD_PARENT を使用して 2 番目のオブジェクトを入手する場合、最初のオブジェクトは、dlsym(3C) を使用したシンボルの検索に使用できるようにはなりません。

「大域」シンボル可視性を持つ初期オブジェクトが dlopen(3C) を使って 2 番目のオブジェクトを取得する場合、RTLD_PARENT モードは冗長かつ無害になります。このような状態は、dlopen(3C) がアプリケーションから呼び出されたとき、またはアプリケーションの中の依存関係の 1 つから呼び出されたときに多く発生します。