このコードシーケンスは、「スレッド固有領域のアクセスモデル」で説明されている LD モデルを実装します。
表 8–3 SPARC: Local Dynamic スレッド固有変数のアクセスコード
最初の sethi 命令は R_SPARC_TLS_LDM_HI22 再配置を生成し、add 命令は R_SPARC_TLS_LDM_LO10 再配置を生成します。これらの再配置は、現在のオブジェクトの TLS_index 構造体を保持する領域を GOT に割り当てるように、リンカーに指示します。リンカーは、この新しい GOT エントリに GOT からの相対オフセットを代入することによって、この再配置を処理します。
読み込みオブジェクトインデックスは実行時まで不明です。したがって、R_SPARC_TLS_DTPMOD32 再配置が作成され、TLS_index 構造体の ti_tlsoffset フィールドにゼロが埋め込まれます。
2 つめの add 命令には R_SPARC_TLS_LDM_ADD 再配置によってタグが付けられ、call 命令には R_SPARC_TLS_LDM_CALL 再配置によってタグが付けられます。
以降の sethi 命令は R_SPARC_LDO_HIX22 再配置を生成し、xor 命令は R_SPARC_TLS_LDO_LOX10 再配置を生成します。各局所シンボルの TLS オフセットはリンク編集時に認識されるため、これらの値は直接埋め込まれます。add 命令には、R_SPARC_TLS_LDO_ADD 再配置によってタグが付けられます。
手続きが複数の局所シンボルを参照する場合には、コンパイラは TLS ブロックの基底アドレスを取得するコードを 1 度だけ生成します。以後、各シンボルのアドレスの計算にはこの基底アドレスが使用され、個別にライブラリを呼び出すことはありません。
R_SPARC_TLS_LDO_ADD によってタグが付けられた add 命令内の TLS オブジェクトアドレスが入ったレジスタは、命令シーケンス内の最初のレジスタでなければなりません。このように指定することで、リンカーはコード変換時にレジスタを識別できるようになります。