Solaris 動的トレースガイド

プロバイダのバージョン管理

DTrace プロバイダが提供するインタフェース (プローブとプローブ引数) は、D コンパイラが提供するインタフェースとは異なり、D プログラミングインタフェースや、先ほど説明したバージョン結合オプションの影響を受けません。使用可能なプロバイダインタフェースは、オペレーティングシステムカーネル内の DTrace ソフトウェアにコンパイル済みの計測機能をロードするときに決定されます。これらは、使用している命令セットアーキテクチャ、オペレーティングプラットフォーム、プロセッサ、Solaris システムにインストールされているソフトウェア、および現在のセキュリティ権限によって異なります。D コンパイラと DTrace ランタイムは、D プログラム節内のプローブを検査し、D プログラムから要求されたプローブが使用できない場合はエラーメッセージを返します。これらの機能は、D プログラミングインタフェースのバージョンとは異なる概念に基づいています。これは、DTrace プロバイダが、D プログラム内の定義と矛盾するインタフェースをエクスポートしないからです。言い換えると、D では、プローブを有効化することはできても定義することはできず、プローブ名は、その他の D プログラム識別子とは別の名前空間に格納されます。

配布される DTrace プロバイダは、Solaris リリースによって異なります。該当するリリース用の『Solaris 動的トレースガイド』を参照してください。このマニュアルの各プロバイダごとの章には、変更点や新機能の説明も含まれます。Solaris システム上で使用できるプロバイダとプローブについて調べるには、dtrace -l を使用します。プロバイダは、DTrace の安定性属性を使って、インタフェースにラベルを付けます。ユーザーは、DTrace の安定性報告機能 (第 39 章安定性を参照) を使って、D プログラムで使用されているプロバイダインタフェースが将来の Solaris リリースでも引き続き提供されるか、あるいは変更されるかを判断できます。