以下は、mpstat(1M) の出力例です。
CPU minf mjf xcal intr ithr csw icsw migr smtx srw syscl usr sys wt idl 12 90 22 5760 422 299 435 26 71 116 11 1372 5 19 17 60 13 46 18 4585 193 162 431 25 69 117 12 1039 3 17 14 66 14 33 13 3186 405 381 397 21 58 105 10 770 2 17 11 70 15 34 19 4769 109 78 417 23 57 115 13 962 3 14 14 69 16 74 16 4421 437 406 448 29 77 111 8 1020 4 23 14 59 17 51 15 4493 139 110 378 23 62 109 9 928 4 18 14 65 18 41 14 4204 494 468 360 23 56 102 9 849 4 17 12 68 19 37 14 4229 115 87 363 22 50 106 10 845 3 15 14 67 20 78 17 5170 200 169 456 26 69 108 9 1119 5 21 25 49 21 53 16 4817 78 51 394 22 56 106 9 978 4 17 22 57 22 32 13 3474 486 463 347 22 48 106 9 769 3 17 17 63 23 43 15 4572 59 34 361 21 46 102 10 947 4 15 22 59 |
この出力をよく見ると、システムが比較的アイドル状態にあるのに xcal フィールドの値が大きすぎることがわかります。mpstat は、xcal フィールドの値を決めるとき、sys カーネル統計情報の xcalls フィールドを調べます。したがって、次の例のように xcalls sysinfo プローブを有効にすれば、この異常について簡単に調べることができます。
# dtrace -n xcalls'{@[execname] = count()}'
dtrace: description 'xcalls' matched 4 probes
^C
dtterm 1
nsrd 1
in.mpathd 2
top 3
lockd 4
java_vm 10
ksh 19
iCald.pl6+RPATH 28
nwadmin 30
fsflush 34
nsrindexd 45
in.rlogind 56
in.routed 100
dtrace 153
rpc.rstatd 246
imapd 377
sched 431
nfsd 1227
find 3767
|
この出力から、クロスコールのソースをどこで探せばよいかがわかります。ほとんどのクロスコールは、find(1) プロセス数個に影響を受けています。問題をもっと詳しく調べるには、次の D スクリプトを使用します。
syscall:::entry
/execname == "find"/
{
self->syscall = probefunc;
self->insys = 1;
}
sysinfo:::xcalls
/execname == "find"/
{
@[self->insys ? self->syscall : "<none>"] = count();
}
syscall:::return
/self->insys/
{
self->insys = 0;
self->syscall = NULL;
}
このスクリプトでは、syscall プロバイダを使って、find からのクロスコールがどのシステムコールに起因するか調べます。ページフォルトに起因するクロスコールなど、システムコールに起因しないクロスコールも存在します。この場合は <none> と出力されます。このスクリプトを実行すると、次のような出力が得られます。
# dtrace -s ./find.d dtrace: script './find.d' matched 444 probes ^C <none> 2 lstat64 2433 getdents64 14873 |
find によるクロスコールの大部分が、システムコール getdents(2) によって行われています。以降の作業は、調べたい内容に応じて異なります。たとえば、find プロセスが getdents を呼び出している理由を調べたい場合は、find がクロスコールを引き起こしたときに ustack() を集積するような D スクリプトを作成するとよいでしょう。getdents の呼び出しがクロスコールを引き起こす理由を調べたい場合は、find がクロスコールを引き起こしたときに stack() を集積するような D スクリプトを作成するとよいでしょう。次の作業が何であっても、xcalls プローブを利用することで、異常な監視結果が出力された原因を簡単に突き止めることができます。