国際化対応言語環境の利用ガイド

国際化と地域対応の概要

国際化と地域対応の手順は異なります。国際化とは異なる言語や地域の間でソフトウェアを移植可能にする処理を指し、地域対応とは特定の言語や地域に合わせてソフトウェアを適応させる処理を指します。国際化されたソフトウェアの開発には、特定の文化的要件に応じて実行時にプログラムの動作を変えるインタフェースを使用します。地域対応には、「ロケール」と呼ばれる言語や地域をサポートするためのオンライン情報を設定する処理が含まれます。

異なる言語や慣習に従って動作させるために完全に書き直す必要のあるソフトウェアとは異なり、国際化されたソフトウェアはそのような作業を必要としません。ソフトウェアが国際化されていれば、ロケールを入れ替える場合でもソフトウェアを変更する必要はありません。Solaris システムは国際化に対応しており、国際化ソフトウェアを作成する際に必要な基本構造やインタフェースを備えています。

国際化の基本的な手順

国際化されたアプリケーションの実行可能イメージは、異なる言語や地域の間で共有することができます。ソフトウェアを国際化する手順を次に示します。

メッセージ文字列は、特定の言語や地域向けに翻訳されます。ロケールには、メッセージ文字列やソートで使用される手続きなどが含まれます。

ある製品の地域対応されたバージョンを使用する場合、ユーザーは特定の環境変数を設定します。これにより、メッセージがその言語のロケールに翻訳されて表示されます。日付、時刻、通貨、およびその他の情報は、ロケール固有の規定に従ってフォーマットおよび表示されます。メッセージ翻訳とオンラインヘルプの内容は、次の図で示すさまざまな層を通して提供されます。

図 1–1 Solaris OS におけるロケールの機能と構造

この図については、前の本文中で説明しています。

Solaris インタフェースの地域対応機能

OS (オペレーティングシステム) のロケール層によって、アプリケーションの実行時に OS のシステムインタフェースに差し込まれる基本的なロケールデータベースと機能が実現します。アプリケーションでは、標準的な API を通してこれらの OS ロケールモジュールにアクセスします。

X11 ロケール層によって、X11 アプリケーションがローカルのテキスト入力と表示ができるように、X 入力方式と X 出力方式へのインタフェースを実現します。アプリケーションがさまざまな言語の文字を表示できるように各種のフォントが用意されています。

CDE/Motif は、X11 ウィンドウシステムの上に構築されています。したがって、CDE/Motif は、X11 API を使って X11 ロケールの機能を使用できます。目標のロケール内部でデスクトップを機能させるため、Solaris の地域対応には、CDE アプリケーションに関するさまざまなロケール固有の設定があります。翻訳されたメッセージとオンラインヘルプの内容は、さまざまな層で提供されます。