本書では、次のリリース製品を対象に説明します。
SPARC プラットフォーム用 Solaris 10 オペレーティングシステム (OS) 向け Java Desktop System Release 3
x86 プラットフォーム用 Solaris 10 OS 向け Java Desktop System Release 3
Java Desktop System には、次のような機能が備わっています。
GNOME デスクトップ環境、StarSuite 統合オフィスツール、Mozilla ブラウザ、Evolution メールおよびカレンダクライアント、Java 2 Platform Standard Edition などのコンポーネントが装備されています。
サーバー側管理ツールにより、ユーザーのデスクトップ環境を集中的に設定、導入、管理できます。
高度な開発者向けツールが、Java ベースのデスクトップ用アプリケーションの作成を支援します。
このリリースの Java Desktop System には、次のような新しいアプリケーション機能が備わっています。
Microsoft Exchange Server V2.0.1 用コネクタ
Sun Java Calendar Preview
このリリースの Solaris 10 OS 向け Java Desktop System では、オープンソースのソフトウェアコミュニティと Sun Microsystems の革新的な技術により、包括的、統合済み、相互運用可能なデスクトップ環境が実現しています。このリリースの Java Desktop System に加えられた更新と新機能を次の表に示します。
このリリースの Java Desktop System における既知の問題点のうち、製品リリース時に回避策がまだ見つかっていないものを次の表に示します。
このリリースの Solaris 10 OS 向け Java Desktop System は、GNOME 2.6 Desktop をベースにしています。このリリースの Java Desktop System には、次のコンポーネントは含まれません。
/usr/bin/galf
/usr/bin/galf-server
/usr/bin/gnome-settings-daemon
/usr/bin/gnome-theme-properties
/usr/bin/gnometris
/usr/bin/intltool-unicodify
/usr/bin/jmplay.bin
/usr/bin/libgnomeprint-2.0-font-install
/usr/bin/linc-config
/usr/bin/metacity-properties
/usr/bin/mk-star-menuentries
/usr/bin/nautilus-gtkhtml-view
/usr/bin/play
/usr/bin/rec
/usr/bin/sfconvert
/usr/bin/sfinfo
/usr/bin/soxmix
/usr/bin/yelp-pregenerate
/usr/lib/libgen_util_applet-2.so
/usr/lib/liblinc.so
/usr/lib/libzvt-2.0.s
これらのコンポーネントが必要な場合は、GNOME コミュニティにお問い合わせください。http://gnome.orgをご覧ください。
Java Desktop System の PDF 形式および HTML 形式のマニュアルは、次の場所にあります。
付属の Documentation DVD
ヘルプブラウザでは、一部の言語による Java Desktop System のユーザーマニュアルを表示できません。
各国語版のユーザーマニュアルを表示するには、http://docs.sun.com で次の手順を実行します。
次のページを開きます。
言語選択ボタンから、希望の言語を選択します。
言語選択ボタンは、そのページの「Search/browse within」領域の隣にあります。
希望のマニュアル名を「検索」フィールドに入力します。
表示されたリストから、希望のマニュアルを選択します。
このリリースの Java Desktop System には、GNOME フリーソフトウェアコミュニティによって提供されるヘルプマニュアルを持つサンプルアプリケーションが含まれています。Sun Microsystems は、フリーソフトウェアコミュニティによって提供されるヘルプマニュアルの完全性または正確性については、責任を負いません。
Sun は、アプリケーションと機能に関する約 130 のマニュアルページを提供します。マニュアルページの著作者として Sun Microsystems または Sun Microsystems の代理店の明確な著作者表示がないマニュアルについては、Sun Microsystems では、マニュアルの内容や正確さに関する責任は一切負いません。
Sun は、サンプルアプリケーションの各国語版マニュアルは提供しません。
リムーバブルメディアについては、 http://docs.sun.com の『Java Desktop System Release 3 ユーザーズガイド』を参照してください。
Sun は、ユーザーが批評および評価できるよう、Java Desktop System と共に各種サンプルアプリケーションを提供します。サンプルアプリケーションは、GNOME フリーソフトウェアコミュニティや Sun 以外の販売会社の製品です。Sun は、これらのサンプルアプリケーションについては、以下のいずれも提供しません。
アクセシビリティ機能
バグの修正
マニュアルまたはヘルプ
各国語化
技術サポート
次の表に、Sun Microsystems がサンプルアプリケーションとして提供する GNOME フリーウェアコミュニティによるアプリケーションを一覧表示します。
アプリケーション |
説明 |
---|---|
|
カレンダアプリケーション |
|
フローチャート、地図、UML 図など、数多くの図を作成できる図形エディタ |
|
単語の定義および正確なスペルを調べることができるオンライン辞書 |
|
画像を管理するデジタルカメラブラウザ |
|
ディスクの中身を視覚的に表示できるディスク解析プログラム |
|
画像を編集する GNU 画像処理プログラム |
|
画像のサムネイルをデスクトップに表示する画像ビューアとブラウザ |
|
GNOME アプリケーションのユーザーインタフェースを作成するプログラミングアプリケーション |
|
動画を再生できるマルチメディアプレイヤー |
オンスクリーンキーボード |
Java Desktop System の入力装置として使用できるオンスクリーンキーボード |
|
プロジェクトスケジュールの管理用ツール |
拡大鏡 |
画面の拡大表示や、その他のユーザー補助機能を提供します。 |
|
プログラマのための汎用的な拡張可能なエディタ |
|
さまざまな地域の現在の天候を表示する天気予報プログラム |
次の表に、このリリースの Java Desktop System に関連する Sun 以外の製品を示します。これらのアプリケーションの機能やサポートに関しては、Sun Microsystems では責任を一切負いません。
Sun 以外の製品 |
説明 |
プラットフォーム |
---|---|---|
|
Java Desktop System で PDF 形式のファイルを表示できます。このアプリケーションに関する情報は、次の場所にあります。http://www.adobe.com. |
SPARC |
x86 プラットフォームでは、GNOME PDF ドキュメントビューア
を使って PDF ファイルを表示できます。PDF ドキュメントビューア
を開始するには、「起動」をクリックし、「アプリケーション」 -> 「グラフィックス」 -> 「PDF ドキュメントビューア」の順に選択します。
Sun Microsystems では、評価目的においてのみ、次のゲームを提供します。
Ataxx
Four-in-a-row
Iagno
Klotski
Lines
Mahjongg
Mines
Nibbles
Robots
Same GNOME
Spider
Stones
Tali
Tetravex
このセクションでは、Mozilla 1.7
用プラグインについて説明します。
Java プラグイン
は、Mozilla 1.7
ではデフォルトで有効になっています。Java Plugin
が動作しない場合は、/usr/sfw/lib/mozilla/plugins ディレクトリで、次の表の正しいファイルを示すシンボリックリンクを作成します。
プラットフォーム |
パス |
---|---|
SPARC |
$JAVA_PATH/plugin/sparc/ns7/libjavaplugin_oji.so |
x86 |
$JAVA_PATH/plugin/i386/ns7/libjavaplugin_oji.so |
Java Desktop System Release 3 では、$JAVA_PATH は /usr/java/jre です。
libjavaplugin_oji.so ファイルをコピーするのではなく、必ずシンボリックリンクを作成してください。libjavaplugin_oji.so をコピーすると、Java
はクラッシュします。
すべての Java プラグインを /usr/sfw/lib/mozilla/plugins ディレクトリにインストールします。
Mozilla 1.7
には、Adobe Acrobat Reader
プラグインも使用できます。
Mozilla
のプラグインについての詳細は、次の場所を参照してください。 http://plugindoc.mozdev.org/solaris.html
このリリースの Java Desktop System では、次の言語がサポートされます。
英語
フランス語
ドイツ語
イタリア語
日本語
韓国語
スペイン語
スウェーデン語
簡体字中国語
繁体字中国語
ブラジルポルトガル語 — ユーザーインタフェースサポートのみ
このリリースの Java Desktop System は、上記サポート言語以外にも GNOME コミュニティから入手した、その他の言語の各国語化ファイルを含んでいます。Sun Microsystems は、これらの言語の各国語化に対する完全性や正確性については責任を持ちません。
ログイン画面に従来のロケールも表示されていますが、Java Desktop System では UTF-8 と zh_CN.GB18030 ロケールの使用を推奨します。デフォルトのログイン画面 (dtlogin) から GNOME 2.x Display Manager (gdm) に手動で切り替えた場合、UTF-8 および zh_CN.GB18030 ロケールだけが表示されます。GNOME 2.x Display Manager のログイン画面に従来のロケールを追加するには、/etc/X11/gdm/locale.alias ファイルで、追加するロケールのコメントタグを削除し、システムをリブートします。
Java Desktop System は、Unicode UTF-8 エンコーディングで言語をサポートする、Unicode 完全対応の多言語システムです。Java Desktop System には、従来の (UTF-8 以外) エンコーディングをサポートするコードセット変換も備わっています。ここでは、Unicode 多言語コンピューティングへの移行時に起こり得る問題について説明します。
Unicode 多言語コンピューティングへの移行によって影響を受けるデータは、様々な方法でインポートおよびエクスポートできます。
Microsoft Office
ファイルは、Unicode でエンコードされています。StarSuite
アプリケーションでは、Unicode でエンコードされたファイルの読み取りや書き込みができます。
Mozilla Composer
などの HTML エディタを使用して作成した HTML ファイルや、Web ブラウザによって保存された HTML ファイルには、通常、charset エンコーディングタグが含まれています。エクスポートまたはインポートしたあとの HTML ファイルは、
HTML ファイル内のエンコーディングタグに基づいて、Mozilla Navigator
Web ブラウザで表示したり、Mozilla Composer
を使用してファイルを編集することができます。
HTML ファイルは文字化けする場合があります。この問題は、概ね次の理由によります。
charset エンコーディングタグが正しくない。
charset エンコーディングタグがない。
HTML ファイルの charset エンコーディングタグを見つけるには、次の手順を実行します。
Mozilla
を使用してファイルを開きます。
Ctrl+i を押すか、「表示」をクリックして、「表示」メニューを開きます。
「ページ情報」をクリックします。
charset 情報は、「一般」タブの下に次のように表示されます。Content-Type text/html; charset=us-ascii
文字列 charset=us-ascii が、ファイルの実際のエンコーディングと一致しない場合、そのファイルは壊れているように見えることがあります。HTML ファイルのエンコーディングを編集するには、次の手順を実行します。
Mozilla Composer
でファイルを開きます。
「ファイル」メニューを開きます。
「文字エンコードの保存および変更」を選択します。
正しいエンコーディングを選びます。Mozilla Composer
は、自動的にエンコーディングと charset タグを適切に変換します。
現在使用されている電子メールは、MIME charset タグでタグ付けされています。電子メールおよびカレンダアプリケーションでは、MIME charset タグを使用できます。したがって、エンコーディング変換を実行する必要はありません。
プレーンテキストファイルには、charset タグがありません。ファイルが UTF-8 エンコーディングでない場合、エンコーディング変換を行う必要があります。たとえば、繁体字中国語の big5 でエンコードされているプレーンテキストを UTF-8 に変換するには、次のコマンドを実行します。
iconv -f big5 -t UTF-8 inputfilename > outputfilename
エンコーディング変換には、ファイルシステム検査器
も使用できます。
また、テキストエディタ
を使えば、様々な文字エンコーディングのテキストを自動的に読み出したり書き込んだりできます。または、ファイルを開いたり保存するときに、明示的にエンコーディングを指定することもできます。
テキストエディタ
を開始するには、 「起動」をクリックし、 「アプリケーション」 -> 「アクセサリ」 -> 「テキストエディタ」の順に選択します。
マルチバイト文字を含むファイル名やディレクトリ名が UTF-8 エンコーディングになっていない場合は、エンコーディング変換を行う必要があります。ファイルシステム検査器
を使って、レガシー文字エンコーディングによるファイル名やディレクトリ名、プレーンテキストファイルの内容を、UTF-8 エンコーディングに変換できます。詳細は、ファイルシステム検査器
のオンラインヘルプを参照してください。
ファイルシステム検査器
を開始するには、 「起動」をクリックし、「アプリケーション」 -> 「ユーティリティ」 -> 「ファイルシステム検査器」の順に選択します。
ファイルマネージャ
を使用して SMB 経由で Microsoft の Windows 上のファイルにアクセスする場合は、エンコーディング変換せずに UTF-8 以外のファイル名やディレクトリ名にアクセスできます。このとき、バグの為ファイルマネージャー
の「場所: 」に表示されるファイルパスが文字化けした様に見えますが、ファイル内容の表示に支障はありません。
Unicode UTF-8 への移行準備が整っていないアプリケーションの場合、フロントパネルにランチャーを作成すると、従来のロケールでアプリケーションを開始できます。コマンドラインからアプリケーションを直接開始することもできます。アプリケーションのランチャーを作成するには、次の手順を実行します。
フロントパネル上のランチャーを配置したい場所で右クリックします。
「パネルに追加」 -> 「ランチャー」と選択します。
「ランチャーの作成」ダイアログの「コマンド」フィールドに、次の形式で入力を行います。
env LANG=locale LC_ALL=locale アプリケーション名
たとえば、/usr/dt/bin から motif-app という名前のアプリケーションを中国語の Big5 ロケールで開始する場合は、「ランチャーの作成」ダイアログの「コマンド」フィールドに、次のテキストを入力します。
env LANG=zh_TW.BIG5 LC_ALL=zh_TW.BIG5 /usr/dt/bin/motif-app
アプリケーションの正しい LD_LIBRARY_PATH を指定しなければならない場合もあります。
「了解」をクリックすると、パネルにランチャーが作成されます。
従来のロケール固有の CLI (コマンドラインインタフェース) アプリケーションを実行する場合は、まず従来のロケールで端末エミュレータ
ウィンドウを開いた後、同じ端末エミュレータ
ウィンドウで CLI アプリケーションを実行します。端末エミュレータ
ウィンドウを従来のロケールで開くには、次のコマンドを入力します。
env LANG=locale LC_ALL=locale gnome-terminal --disable-factory.
端末エミュレータ
ウィンドウの「文字エンコーディングの設定」メニューでエンコーディングを変換すれば、従来のロケールで新規の端末エミュレータ
ウィンドウを開く代わりに、現在の端末エミュレータ
ウィンドウでロケール設定を UTF-8 から従来のロケールに切り替えることができます。この場合、現在のシェルに対して LANG および LC_ALL 環境変数を設定し直す必要があります。