Java Desktop System Release 3 ユーザーズガイド

第 4 章 ウィンドウの操作方法

この章では、Java Desktop System のウィンドウの使用方法について説明します。Java Desktop System では、Metacity ウィンドウマネージャを使用できます。この章では、Metacity ウィンドウマネージャに関連する機能について説明します。

ウィンドウとワークスペース

ウィンドウは、ワークスペースと呼ばれる Java Desktop System のサブ領域に分割して表示されます。すべてのワークスペースのデスクトップ、パネル、メニューは同じです。ただし、各ワークスペースで異なるアプリケーションを実行したり、異なるウィンドウを開くことができます。1 度に表示できるワークスペースは 1 つだけですが、その他のワークスペースでウィンドウを開いたままにしておくことができます。

ワークスペーススイッチパネルアプリケーションは、ウィンドウとワークスペースの概略を視覚的に示すものです。図 4–1 を参照してください。

図 4–1 ワークスペーススイッチパネルアプリケーション

ワークスペーススイッチパネルアプリケーション。これは図に関する説明です。

ワークスペースはいつでも追加できます。ワークスペースを Java Desktop System に追加するには、ワークスペーススイッチパネルアプリケーションを右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペースの数」スピンボックスを使用して、追加するワークスペースの数を指定します。

ウィンドウマネージャの動作

ウィンドウマネージャは、ウィンドウがどのように表示され、どのように動作するかを制御します。また、ウィンドウの位置とフォーカスされるウィンドウも管理します。ウィンドウフレームには、ウィンドウの移動、閉じる、サイズ変更など、標準の操作を実行できるボタンがあります。

いくつかのウィンドウマネージャ設定は、ウィンドウの動作設定ツールで構成できます。このマニュアルでは、Metacity ウィンドウマネージャのデフォルトの設定に関する機能について説明します。デフォルト設定は、「ウィンドウの動作」設定ツールで指定されています。

ウィンドウの種類

Java Desktop System の特長となっているウィンドウを次に説明します。

ウィンドウフレーム

ウィンドウフレームは、ウィンドウのまわりの境界です。ウィンドウフレームにはタイトルバーがあります。タイトルバーにはウィンドウでの作業に使用できるボタンがあります。

テーマ

ウィンドウフレームには、いくつかのテーマを適用できます。テーマを選択して、フレームの外観を決定します。すべてのウィンドウフレームのテーマを選択するには、テーマ設定ツールを使用します。

制御要素

ウィンドウフレームを使用して、さまざまな操作をウィンドウで実行できます。タイトルバーには、各種ボタンが含まれています。次の図に、アプリケーションウィンドウのタイトルバーを示します。

ウィンドウタイトルバー。内容: ウィンドウメニューボタン、タイトルバー、最小化、最大化、ウィンドウを閉じるボタン

ダイアログウィンドウには、いくつかのウィンドウフレーム制御要素があります。表 4–1 は、左から順にアクティブな制御要素を示します。

表 4–1 ウィンドウフレームの制御要素

制御要素 

説明 

ウィンドウメニューボタン

ボタンをクリックして、ウィンドウメニューを開く

タイトルバー 

タイトルバーを使用して、次の操作を実行できる 

  • ウィンドウをアクティブにするには、タイトルバーをクリックする

  • ウィンドウを移動するには、タイトルバーをつかんで、別の位置までウィンドウをドラッグする

  • ウィンドウをシェードするには、タイトルバーをダブルクリックする。ウィンドウをシェード解除するには、タイトルバーをもう一度ダブルクリックする

最小化ボタン

最小化ボタンをクリックすると、ウィンドウが最小化する

最大化ボタン

最大化ボタンをクリックすると、ウィンドウが最大化する

ウィンドウを閉じるボタン

ウィンドウを閉じるボタンをクリックすると、ウィンドウが閉じる

境界 

ウィンドウのまわりの境界。境界を使用して、次の操作を実行できる 

  • ウィンドウのサイズを変更するには、境界をつかんで、希望するサイズまで境界をドラッグする

  • ウィンドウメニューを開くには、境界を右クリックする

ウィンドウコンテンツ 

ウィンドウフレームの内側の領域。ウィンドウコンテンツを使用して、次の操作を実行できる 

  • ウィンドウを移動するには、Alt キーを押したままで、ウィンドウコンテンツをクリックし、そのウィンドウを別の位置にドラッグする

  • ウィンドウのサイズを変更するには、Alt キーを押したままで、サイズを変更するコーナー付近で中央クリックする。中央クリックしたコーナーから、変更したいサイズまでウィンドウをドラッグする

  • ウィンドウメニューを開くには、Alt キーを押したままで、ウィンドウコンテンツで右クリックする

ウィンドウおよびワークスペースでのメニューとパネルアプリケーションの使用方法

この節では、ウィンドウとワークスペースの操作に使用できるメニューおよびパネルアプリケーションについて説明します。

ウィンドウメニュー

ウィンドウメニューは、コマンドのメニューであり、ウィンドウ上での操作に使用できます。ウィンドウメニューを開くには、次のいずれかの操作を実行します。

表 4–2 に、ウィンドウメニューのコマンドおよびサブメニューを示します。

表 4–2 ウィンドウメニューのコマンドとサブメニュー

メニュー項目 

機能 

「最小化」

ウィンドウを最小化する 

「最大化」または「元のサイズに戻す」

ウィンドウを最大化するウィンドウがすでに最大化されている場合、「元のサイズに戻す」を選択するとウィンドウを元のサイズに戻す

「最前面」

そのウィンドウをデスクトップの背景上で開いているほかのウィンドウの上に表示する 

「移動」

ウィンドウの移動に矢印キーを使用できる 

「サイズ変更」

ウィンドウのサイズ変更に矢印キーを使用できる 

「閉じる」

ウィンドウを閉じる 

「すべてのワークスペースに含める」 または「このワークスペースだけに含める」

ウィンドウをすべてのワークスペースに配置する。ウィンドウがすでにすべてのワークスペースに置かれている場合、「このワークスペースだけに含める」を選択すると、現在のワークスペースにのみウィンドウを配置する

「右のワークスペースへ移動」または「左のワークスペースへ移動」

ウィンドウを現在のワークスペースの右側のワークスペースに移動する。そのウィンドウがすでにワークスペーススイッチの右側の右端のワークスペースにある場合は、「左のワークスペースへ移動」を選択して、現在のワークスペースの左側のワークスペースにウィンドウを移動する

「別のワークスペースへ移動する」

ウィンドウを別のワークスペースに移動する。ウィンドウの移動元のワークスペースをサブメニューから選択する 

ウィンドウリスト

ウィンドウリストは、開いている各アプリケーションウィンドウを示すボタンを表示します。ウィンドウリストを使用して、次の作業を実行できます。

アプリケーションウィンドウを開くと、ウィンドウリストには、ウィンドウを表すボタンが表示されます。ウィンドウリストボタンは、どのアプリケーションウィンドウが開いているかを示します。ウィンドウが最小化されていたり、ほかのウィンドウと重なっていても、開いているウィンドウは表示されます。ウィンドウリストは、現在のワークスペース、またはすべてのワークスペース上のウィンドウを示すボタンを表示できます。このオプションを選択するには、ウィンドウリストの設定を変更する必要があります。

ウィンドウリストボタンを右クリックして、ボタンが表すウィンドウの ウィンドウメニューを開くこともできます。ウィンドウリストからウィンドウメニューを開いた場合、ウィンドウメニューにはワークスペースコマンドは含まれません。ウィンドウメニューのコマンドの詳細については、「ウィンドウメニュー」 を参照してください。

図 4–2 に、以下に示すウィンドウを開いたときのウィンドウリストを示します。

図 4–2 ウィンドウリストパネルアプリケーション

ウィンドウリストパネルアプリケーションこれは図に関する説明です。

パネルアプリケーションのボタンは、ウィンドウの状態を示します。表 4–3 は、ウィンドウリストボタンが表示するウィンドウについての情報を示します。表 4–3 の例は、図 4–2 についての説明です。

表 4–3 ウィンドウリストボタンのウィンドウの状態情報

状態 

説明 

例 

ボタンが押されている 

ウィンドウにフォーカスがある 

gedit

角括弧で囲まれたウィンドウタイトル 

ウィンドウが最小化されている 

[辞書]

ボタンは押し込まれておらず、ウィンドウタイトルは角括弧で囲まれていない 

ウィンドウが表示されており、最小化されていない 

ghex

括弧内の数字が付いたボタン 

ボタンのグループを表すボタン 

端末 (3)

ボタンのグループ化

ウィンドウリストは、1 つのウィンドウリストボタンの下に、同じクラスのウィンドウを表すボタンをグループ化できます。図 4–2 の「端末」ボタンは、ボタンのグループを表します。次の図に、ボタングループを開いたウィンドウリストの例を示します。

ボタングループが開いたウィンドウリストパネルアプリケーション

グループ内のウィンドウのリストを開くには、そのグループを表すウィンドウリストボタンをクリックします。リスト内の項目をクリックしてウィンドウにフォーカスを移動したり、最小化したり、サイズを元に戻したりすることができます。

ボタングループ内のウィンドウのウィンドウメニューを開くには、そのグループを表すウィンドウリストボタン上で右クリックします。グループ内のウィンドウのリストが表示されます。グループ内のウィンドウのウィンドウメニューを開くには、リスト内の項目をクリックします。ウィンドウリスト からウィンドウメニュー を開いた場合、ウィンドウメニューにはワークスペースコマンドは含まれません。ウィンドウメニューのコマンドの詳細については、「ウィンドウメニュー」 を参照してください。

ワークスペーススイッチ

ワークスペーススイッチは、 図 4–3 に示すように、ワークスペースの概略を視覚的に表示します。図 4–3 は、Java Desktop System セッションに 4 つのワークスペースがある場合のワークスペーススイッチを示しています。ワークスペースは、パネルアプリケーション上でボタンとして表示されます。ワークスペーススイッチの現在のワークスペースを表すボタンの背景は、強調表示されます。図 4–3 の現在のワークスペースは、パネルアプリケーションの左端のワークスペースです。別のワークスペースに切り替えるには、パネルアプリケーションのワークスペース上でクリックします。

図 4–3 ワークスペーススイッチパネルアプリケーション

ワークスペーススイッチパネルアプリケーション。これは図に関する説明です。

ワークスペーススイッチは、ワークスペース上で開いているアプリケーションウィンドウとダイアログも表示します。

パネルアプリケーションは、左から右へ順番にワークスペースを表示します。図 4–3 のパネルアプリケーションは、1 列でワークスペースを表示するように設定されています。ワークスペースが表示される ワークスペーススイッチの列数は指定できます。ワークスペーススイッチのデフォルトの動作を変更して、パネルアプリケーションにワークスペース名が表示されるようにすることもできます。

ウィンドウセレクタ

現在開いているすべてのウィンドウのリストを表示できます。メニューパネルから、アクティブにするウィンドウを選択することもできます。ウィンドウのリストを表示するには、ウィンドウセレクタパネルアプリケーションをクリックします。次の図に、ウィンドウセレクタパネルアプリケーションの例を示します。

ボトムエッジパネルに表示されるウィンドウセレクタパネルアプリケーション

1 つのウィンドウにフォーカスを移動するには、ウィンドウセレクタパネルアプリケーションからそのウィンドウを選択します。

ウィンドウセレクタには、すべてのワークスペースのウィンドウがリストされます。現在のワークスペース以外のすべてのワークスペースのウィンドウは、セパレータから下に表示されます。

ウィンドウの操作方法

この節では、ウィンドウの操作方法について説明します。

ウィンドウにフォーカスを移動する

フォーカスされているウィンドウは、マウスとキーボードから入力できます。一度にフォーカスできるのは 1 つのウィンドウだけです。フォーカスされているウィンドウの外観は、ほかのウィンドウとは異なります。

次の方法により、ウィンドウをフォーカスできます。

要素 

アクション 

マウス 

ウィンドウが可視の場合には、そのウィンドウをクリックする 

ショートカットキー 

ショートカットキーは、開いているウィンドウ間の切り替えに使用する。あるウィンドウにフォーカスを移すには、そのウィンドウにフォーカスが移動したときにキーを放す。ウィンドウ間を切り替える初期値のショートカットキーは、Alt + Tab キー

ウィンドウリスト

ウィンドウリストでフォーカスするウィンドウを表すボタンをクリックする

ワークスペーススイッチ

ワークスペーススイッチディスプレイで、フォーカスを移動するウィンドウをクリックする。別のワークスペースのウィンドウをクリックした場合、ワークスペーススイッチは、そのワークスペースに切り替えて、ウィンドウにフォーカスを移動する

ウィンドウを最小化する

ウィンドウを最小化するには、次のいずれかの操作を実行します。

ウィンドウを最大化する

ウィンドウを最大化する場合、ウィンドウは可能な限り広がります。ウィンドウを最大化するには、次のいずれかの操作を実行します。

ウィンドウを元のサイズに戻す

最大化したウィンドウを元のサイズに戻すには、次のいずれかの操作を実行します。

最小化したウィンドウを元のサイズに戻すには、 ウィンドウリストのそのウィンドウを表すボタン上でクリックします。

1 つのウィンドウをほかのウィンドウより上にする

1 つのウィンドウをほかのウィンドウより上にするには、ウィンドウメニューを開き、「最前面」 を選択します。

ウィンドウを閉じる

ウィンドウを閉じるには、次のいずれかの操作を実行します。

そのウィンドウ上に保存していないデータがある場合、データを保存するかどうかを問うプロンプトが表示されます。

ウィンドウのサイズを変更する

ウィンドウのサイズを変更するには、次のいずれかの操作を実行します。


注 –

一部のダイアログウィンドウはサイズ変更できません。また、一部のアプリケーションウィンドウは、最小サイズが決まっており、それ以下に縮小できません。


ウィンドウを移動する

ウィンドウを移動するには、次のいずれかの操作を実行します。

ウィンドウを巻き上げる

ウィンドウの巻き上げまたは巻き上げ解除を行うと、次のようになります。

巻き上げ

ウィンドウが縮小され、タイトルバーだけが表示される

巻き上げ解除

ウィンドウが巻き上げ状態から切り替わり、ウィンドウ全体が表示される

ウィンドウを巻き上げるには、次のいずれかの操作を実行します。

すべてのワークスペースにウィンドウを配置する

すべてのワークスペースにウィンドウを配置するには、ウィンドウメニューを開き、「すべてのワークスペースに含める」を選択します。現在のワークスペースでのみウィンドウが表示されるように設定するには、「このワークスペースだけ含める」を選択します。

ウィンドウを別のワークスペースに移動する

次のいずれかの方法を使用して、ウィンドウを別のワークスペースに移動できます。

区画サイズを変更する

ウィンドウには、複数の区画が含まれていることがあります。区画とは、ウィンドウを分割したもの。たとえば、ファイルマネージャウィンドウには、サイド区画と表示区画があります。区画があるウィンドウの場合、区画間のエッジにサイズ変更ハンドルがあります。区画をサイズ変更するには、サイズ変更ハンドルをつかんで、変更するサイズまでエッジをドラッグします。

表の使用方法

ウィンドウによっては、表に整理された情報を持っている場合があります。この節では、ウィンドウの表の操作方法について説明します。

列の幅を変更するには、列の縦方向のエッジの 1 つをドラッグします。

表によっては、特定の列によって情報の並び変えができます。表内の情報を並び変えるには、並び変える情報の列の見出しをクリックします。上矢印が、並び変えられた表の列の見出しに表示されます。次の図に上矢印を示します。

列の見出しに表示される上矢印

並び変え順を逆にするには、列の見出しをもう一度クリックします。上矢印が下矢印に変わります。下矢印は、列内の情報が、逆順に並び変えられていることを示します。

一部の表では、複数の項目を選択できます。次の表で、表内の項目を選択する方法について説明します。

作業 

アクション 

項目の選択 

その項目をクリックする 

一連の項目のグループを選択 

Shift キーを押したままにする。グループの最初の項目をクリックして、そのグループの最後の項目をクリックする

複数の項目を選択 

Ctrl キーを押したままにする。選択する複数の項目をクリックする

ワークスペースの操作

この節では、ワークスペースの操作方法について説明します。

ワークスペースを切り替える

ワークスペース間の切り替えは、次の方法で行えます。

ワークスペースを追加する

ワークスペースを Java Desktop System に追加するには、ワークスペーススイッチで右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペースの数」スピンボックスを使用して、追加するワークスペースの数を指定します。ワークスペーススイッチは、新しいワークスペースをワークスペースリストの末尾に追加します。

ワークスペースの名前を指定する

ワークスペースのデフォルトの名前は、ワークスペース 1ワークスペース 2ワークスペース 3 となります。ワークスペースの名前を指定するには、ワークスペーススイッチで右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペース名」リストボックスを使用して、ワークスペース名を指定します。ワークスペースを選択し、次にそのワークスペースの新しい名前を入力します。

ワークスペースを削除する

ワークスペースを削除する場合、そのワークスペース上のウィンドウは別のワークスペースに移動され、空のワークスペースが削除されます。

ワークスペースを Java Desktop System から削除するには、ワークスペーススイッチで右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペースの数」スピンボックスを使用して、追加するワークスペースの数を指定します。ワークスペーススイッチは、ワークスペースリストの末尾からワークスペースを削除します。