名前 | 形式 | 機能説明 | 属性 | 関連項目 | 注意事項
/etc/power.conf
power.conf ファイルは、電源管理の設定値を初期化するために、電源管理設定プログラム (pmconfig(1M)) によって使用されます。このファイルを修正する場合は、手動で pmconfig(1M) を実行して変更を適用してください。
dtpower(1M) GUI を使用すると、このファイルで使用可能なパラメータのサブセットを設定することができます。簡単にパラメータを設定するには、dtpower(1M) を使用することをお勧めします。電源管理を無効にする方法については、dtpower(1M) の適切なセクションを参照してください。
電源管理システムには、個々のデバイスの管理とシステム全体の管理の 2 つの管理があります。デバイスが複数の電源レベルをサポートし、デバイスがアイドル状態になった時にデバイスの電源を節約するためにデバイスドライバがカーネルにより提供された電源管理インタフェースを使用する場合、個々のデバイスは電源管理されます。
power.conf ファイルのすべてのエントリは、ファイルに表示されている順番で処理されます。
autopm エントリが有効になっている場合、自動デバイス電源管理インタフェースを使用するドライバを持つデバイスは自動的に電源管理されます。autopm エントリは、このセクションの終わり付近に記述されています。pm-components プロパティは、デバイスドライバの電源管理モデルを電源管理フレームワークに記述します。詳細については、pm-components(9P) を参照してください。
threshold 時間の間、部品がある電源レベルでアイドル状態になっている場合、部品の電源レベルは次に低い電源レベル (ある場合) まで低下します。複数の部品を実装するデバイスでは、部品は個別に電源管理されます。
自動的に電源管理されている部品のデフォルトのしきい値は、電源管理システムのフレームワークによりシステムのアイドル状態 threshold に基づいて計算されます。デフォルトで、デバイスのすべての部品は、システムのアイドル状態のthreshold 値の間アイドル状態になっていると、電源が切断されます。デフォルトのシステムのアイドル状態の threshold は、米国環境保護局 (EPA) の Energy Star Memorandum of Understanding で決められています。詳細は、このマニュアルページの「注意事項」セクションを参照してください。
システムのアイドル状態の threshold を設定するには、以下のエントリのいずれかを使用します。
system-threshold threshold
system-threshold always-on
threshold は、h、m、s を付記して表されるシステムのアイドル状態のしきい値を示します (数値だけが入力された場合はデフォルトで秒数を表します) 。always-on が指定されると、デフォルトですべてのデバイスはフルパワーのまままになります。
電源管理システムのフレームワークにより与えられたデフォルトのデバイス部品のしきい値を変更するには、device-thresholds エントリを使用します。device-thresholds エントリは、特定の自動電源管理されているデバイスのしきい値を設定、またはそのデバイスの自動電源管理システムを無効にします。
device-thresholds は、以下の形式で指定します。
device-thresholds phys_path (threshold ...) ...
device-thresholds phys_path threshold
device-thresholds phys_path always-on
phys_path は、特定のデバイスの物理パス ( libdevinfo(3LIB)) を指定します。たとえば、/pci@8,600000/scsi@4/ssd@w210000203700c3ee,0はディスクの物理パスです。/devices ツリーへのシンボリックリンク ( /dev/dsk/c1t1d0s0 など) も可能です。しきい値は特定のデバイスだけに適用されます (あるいはデバイスを常に適用状態にします)。
上記の 1 番目の形式では各 threshold 値は、電源がこの部品の次の電源レベルに下げられるまでの現在の電源レベルでアイドル状態が継続する時間を、時、分、秒数で指定します ( h、m、s で単位を表しますが、デフォルトでは秒数を表します)。( ) 内には、部品ごとのグループしきい値を示しますが、最初 (一番左) のグループには、部品 0、次のグループには、部品 1 が適用されます。1 つのグループ内の最後 (一番右側) の数字は、最高レベルの 1 つ下のレベルに下げられるまでのもっとも高い電源レベルでアイドル状態が継続する時間を表します。最初 (一番左) の数字は、もっとも低い電源レベルに下げられるまでのもっとも低い電源レベルの 1 つ上の電源レベルでアイドル状態が継続する時間を表します。
グループ数が、デバイス (pm-components(9P) プロパティ) でエクスポートされた部品数と一致しない、またはグループのしきい値の数が対応する部品がサポートする電源レベルの数より少ない場合、エラーメッセージが表示されて、エントリは無視されます。
たとえば、xfb と呼ばれるデバイスが、部品 Frame Buffer と Monitor をエクスポートしたとすると、Frame Buffer には、On とOff の 2 つの電源レベルが考えられ、Monitor には、Off、Suspend、Standby、On の 4 つレベルが考えられます。
device-thresholds エントリは以下のようになります。
device-thresholds /pci@f0000/xfb@0 (0) (3m 5m 15m)
上記の形式では特殊な xfb カードの Monitor 部品の threshold 時間として、On から Standby になるのに 15 分、Standby から Suspend になるのに 5 分、Suspend から Off になるのに 3 分を設定します。Frame Buffer が On から Off に変わるしきい値は 0 秒です。
2 番目の形式では、() なしで threshold 値を 1 つ指定します。threshold は、デバイスがアイドル状態の場合デバイス全体の電源が切断されるまでの最大時間を表します。システムはデバイス間の内部依存性については認識していないため、すべてのデバイスがアイドル状態の場合、あるデバイスが実際に指定された threshold 値よりも早く電源が切断される場合がありますが、設定された時間よりあとに電源が切断されることはありません。
3 番目の形式では、デバイスのすべての部品がフルパワーのままになります。
デバイス電源管理エントリは、デバイスを直接制御するユーザープロセスがない場合にのみ有効です。たとえば、X ウィンドウシステムは直接フレームバッファーを制御し、power.conf ファイルのエントリは、 X ウィンドウシステムが稼働していない場合にのみ有効です。
デバイス間の依存性についても定義されることがあります。デバイスがほかのデバイスに依存するとは、ほかのデバイスのすべての部品の電源が切断されて初めて電源レベルが下げられるということです。 依存性は、以下の形式のエントリで示されます。
device-dependency dependent_phys_path phys_path [ phys_path ... ]
dependent_phys_path は、ほかのデバイスに依存しているデバイスのパス名 (上記同様) です。phys_path エントリには、そのデバイスに依存されているデバイスを指定します。/devices ツリーへのシンボリックリンク (/dev/fb など) も可能です。このエントリは、デバイスの論理的依存を示すためだけに必要です。論理的依存デバイスとは、電源管理されているデバイスに物理的に接続されていないデバイスです (ディスプレイとキーボードなど)。物理的依存デバイスは自動的に依存しているとみなされるため、エントリにいれる必要はありません。
物理パスを使用して依存性をリストするだけでなく、次の構文でプロパティの依存性を指定して、任意のデバイスグループ間に依存性を作成することもできます。
device-dependency-property property phys_path [phys_path ...] |
property で指定したプロパティをエクスポートする各デバイスは、phys_path で指定したデバイスに依存します。phys_path のパス名の場合と同様に、/devices ツリーへのシンボリックリンク (/dev/fb など) も可能です。
たとえば、以下の例を考えてみましょう。
# This entry keeps removable media from being powered down unless the # console framebuffer and monitor are powered down # (See removable-media(9P)) # device-dependency-property removable-media /dev/fb |
これによって、removable-media という名前の boolean 型のプロパティをエクスポートするすべてのデバイスは、コンソールのフレームバッファが稼動している間は動作することになります (removable-media(9P) を参照)。
autopm エントリは、システム全体に対して自動デバイス電源管理システムを有効にしたり、無効にしたりするのに使用されることもあります。autopm エントリは、以下の形式で指定します。
autopm behavior
以下に、指定することができる behavior 値とその意味を示します。
システムの動作はそのモデルに依存します。米国環境保護局の Energy Star Memorandum of Understanding #3 に準拠するデスクトップモデルは、自動的にデバイス電源管理システムが有効になり、ほかのすべてのモデルは有効になりません。詳細は、「注意事項」セクションを参照してください。
このエントリが見つかると、自動デバイス電源管理は再開します。
このエントリが見つかると、自動デバイス電源管理は停止します。
システム電源管理エントリは、保存停止・復元再開機能を使用してシステム全体の電源管理を制御します。
システムが保存停止になった場合、電源が切断される前に現在の状態はディスクに保存されます。再起動時、システムは自動的に操作を再開して、保存停止前の状態に復旧します。
システムは、保存停止・復元再開機能を使用し以下の形式でエントリを指定して、自動的に停止するように設定することができます。
autoshutdown idle_time start_time finish_time behavior
idle_time は、システムが自動的に停止されるまでに必要なシステムのアイドル時間を分単位で指定します。システムのアイドル状態は、システムが非アクティブかどうかで判定されます。また以下に示すように設定できます。
start_time と finish_time (両方とも hh:mm 形式) は、システムが自動的に停止されるまでの時間帯を指定します。これらの時刻は、その日の始まり (12:00 a.m.) をもとに計算されます。 finish_time が、 start_time と同じかそれより早い場合、時間は午前 0 時から finish_time までと start_time から次の午前 0 時までです。継続した操作を指定するには、 finish_time は、 start_time と同じに設定することもできます。
以下に、指定することができる behavior 値とその意味を示します。
システムが idle_time 値で指定された時間の間アイドル状態にあり、かつ現在の時刻が start_time 時刻と finish_time 時刻の間にある場合にシステムは自動停止します。
システムが自動停止することはありません。
ハードウェアが自動立ち上がり機能を持つ場合、システムは shutdown が指定された場合と同様に停止し、時刻が finish_time 時刻になると自動的に再開します。
システムの動作はそのモデルに依存します。米国環境保護局 (EPA) の Energy Star Memorandum of Understanding #2 ガイドラインに準拠したデスクトップモデルは、自動的に shutdown が有効になります (behavior フィールドが shutdown に設定された場合と同様に動作します) が、ほかのモデルは自動的に停止されません。「注意事項 」を参照してください。
システムは自動的に停止しません。システムのインストールまたはアップグレードの直後は、このフィールドの値は次回の再起動時に変更されます
以下の形式を使用して、システムのアイドル状態を設定することができます。
idleness_parameter value
idleness_parameter に指定できるのは以下のものです。
idleness_parameter が ttychars の場合、value フィールドは、システムがアイドル状態にあるとみなされることを可能にしながら ldterm モジュールを通過することができる tty文字の最大数として解釈されます。エントリが設定されていない場合、この値はデフォルトで 0 になります。
idleness_parameter フィールドが loadaverage の場合、(浮動小数点の) value フィールドは、システムがアイドル状態にあるとみなされることを可能にしながら参照できる最大平均負荷率として解釈されます。エントリが設定されていない場合、この値はデフォルトで 0.04 になります。
idleness_parameter フィールドが diskreads の場合、value フィールドは、システムがアイドル状態にあるとみなされることを可能にしながらシステムが実行することができるディスクの読み取り操作の最大数として解釈されます。エントリが設定されていない場合、この値はデフォルトで 0 になります。
idleness_parameter フィールドが nfsreqs の場合、value フィールドは、システムがアイドル状態にあるとみなされることを可能にしながらシステムが送信または受信することができる NFS 要求の最大数として解釈されます。エントリが設定されていない場合、この値はデフォルトで 0 になります。空の要求、アクセス要求および gettattr 要求は、この数から除外されます。エントリが設定されていない場合、この値はデフォルトで 0 になります。
idleness_parameter フィールドが idlecheck の場合、valueフィールドが特殊デバイス名 idlecheck を含む場合には、device_name フィールドの次には、システムがアイドル状態であるかどうかを判定するプログラムのパス名が続く必要があります。autoshutdown が有効で、かつ、コンソールキーボード、マウス、tty、CPU (平均負荷率によって示される)、ネットワーク (NFS 要求によって測定される)、ディスク (読み取り回数によって測定される) が、上記で指定された autoshutdown エントリに指定された時間アイドル状態 にあり、かつ、時刻が start 時刻と finish 時刻の間にある場合、このプログラムは他のアイドル状態条件を調べるために実行されます。上記の autoshutdown エントリに指定されたアイドル時間の値は、環境変数 PM_IDLETIME によってプログラムに渡されます。プロセスは、システムがアイドル状態にあるとこのプロセスがみなした時間量 (分) を表す終了コードで終了します。
デフォルトの idlecheck エントリはありません。
システムが保存停止すると、現在のシステムの状態がディスクの状態ファイルに保存されます。状態ファイルの場所を変更するには、以下の形式のエントリを編集します。
statefile pathname
pathname は、/dev/dsk/c1t0d0s3 などのブロック型特殊ファイルか、ローカルの ufs ファイルを示します。pathname がブロック型特殊ファイルを指定している場合、そのブロック型特殊ファイルにファイルシステムがマウントされていないかぎりシンボリックリンクであってもかまいません。pathname のローカル ufs ファイルを指定値手いる場合、シンボリックリンクにはできません。このファイルがない場合、suspend 状態の間にこのファイルが作成されます。パスを構成するすべてのディレクトリは、事前に存在している必要があります。
状態ファイルの実サイズは、システムのメモリーの容量、使用されている読み込み可能なドライバやモジュール、実行されているプロセスの数と種類、「ロックダウン」されたユーザー記憶領域など、さまざまな要素によって左右されます。状態ファイルは、10M バイト以上の空き容量を持つファイルシステムに置くことをお勧めします。起動時に状態ファイルがない場合は、システムにより必要な新しいエントリが自動的に作成されます。
以下の属性については、attributes(5) を参照してください。
属性タイプ | 属性値 |
---|---|
使用条件 | SUNWpmr |
インタフェースの安定性 | Evolving |
pmconfig(1M), powerd(1M), sys-unconfig(1M), uadmin(2), libdevinfo(3LIB), attributes(5), cpr(7), ldterm(7M), pm(7D), pm-components(9P), removable-media(9P)
『電源管理システム ユーザーマニュアル』
1995 年 10 月 1 日以降1999 年 7 月 1 日より前に出荷された SPARC デスクトップモデルは、米国環境保護局 (EPA) の Energy Star Memorandum of Understanding #2 ガイドラインに準拠しています。 またデフォルトで 30 分間アイドル状態が続くと自動で停止します。この機能は、これらのマシンで shutdown と同様に動作するデフォルトのキーワードである autoshutdown により実行されます。システムを設置し、再起動する際や、sys-unconfig(1M) を使用してシステムを構成解除した直後の起動の際に、このデフォルト設定を確認するメッセージが表示されます。
1999 年 7 月 1 日以降に出荷された SPARC デスクトップモデルは、米国環境保護局 (EPA) の Energy Star Memorandum of Understanding #3 ガイドラインに準拠し、autoshutdown はデフォルトで無効になり、30 分間アイドル状態が続くと autopm が有効になります。これは、これらのマシンでデフォルトのキーワード autopm エントリが enabled になったと解釈されるためです。このデフォルト設定を確認するメッセージは表示されません。
EPA の Energy Star Memorandum で使用中のマシンで使用可能なバージョンを知るには、以下のようにします。
prtconf -pv | grep -i energystar
このプロパティがない場合は、使用可能な Energy Star のガイドラインがないということです。
システム電源管理 (保存停止・復元再開機能) は、現在限られたハードウェアプラットフォームでしかサポートされていません。システム電源管理 をサポートするプラットフォームは、『電源管理システム ユーザーマニュアル』に一覧表示されています。使用中のマシンでプログラミングに保存停止・復元再開機能が使用できるかどうかを判断するには、uname(2) を参照してください。
SunOS 5.10 最終更新日 2004 年 8 月 30 日