DTrace ユーザーガイド

はじめに

DTrace ユーザーガイド』は、トレースと分析のための強力なツール、DTrace についてわかりやすく説明する入門書です。このマニュアルでは、Dtrace の概要とその機能について説明します。さらに、DTrace を使って、比較的単純で一般的なタスクを実行する方法についても説明します。

対象読者

DTrace は、Solaris に組み込まれた包括的な動的トレース機能です。DTrace 機能を利用して、ユーザープログラムの動作やオペレーティングシステムの動作を検査できます。DTrace を使用できるのは、実行中の本稼働システムのシステム管理者またはアプリケーション開発者です。

Solaris の開発者や管理者は、DTrace を使って、次の処理を実行できます。

このマニュアルは、DTrace や D スクリプト言語に関するすべての情報を網羅するものではありません。より詳しい情報については、『Solaris 動的トレースガイド』を参照してください。

お読みになる前に

C 言語のようなプログラミング言語、awk(1)perl(1) のようなスクリプト言語の基礎知識は、DTrace や D プログラミング言語について学習する上で役立ちます。しかし、こうしたプログラミング言語、スクリプト言語に関する専門知識は必須ではありません。プログラミングやスクリプト作成の経験がまったくないユーザーは、「関連情報」で紹介する参考書籍をお読みになることをお勧めします。

関連情報

DTrace の詳細は、『Solaris 動的トレースガイド』を参照してください。以下に、DTrace の使用に際して参考となる関連書籍と論文を記載します。

マニュアル、サポート、およびトレーニング

Sun の Web サイトでは、次のサービスに関する情報も提供しています。

表記上の規則

このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。

表 P–1 表記上の規則

字体または記号 

意味 

例 

AaBbCc123

コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コード例を示します。 

.login ファイルを編集します。

ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。

system%

AaBbCc123

ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して示します。 

system% su

password:

AaBbCc123

変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 

ファイルを削除するには、rm filename と入力します。

『 』 

参照する書名を示します。 

『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 

「 」 

参照する章、節、ボタンやメニュー名、強調する単語を示します。 

第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 

この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 

枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合に、継続を示します。 

 


sun% grep `^#define \

  XV_VERSION_STRING'

コード例は次のように表示されます。

[ ] は省略可能な項目を示します。上記の例は、filename は省略してもよいことを示しています。

| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。

キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。

ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-DControl キーを押したまま D キーを押すことを意味します。