DTrace ユーザーガイド

D リテラル文字列

D 言語はリテラル文字列をサポートします。DTrace の文字列は、NULL バイトで終了する文字配列として表現されます。文字列の可視部分は可変長で、NULL バイトの位置によって長さが決まります。DTrace は、各プローブが決まった量のデータをトレースするように、各文字列を固定サイズの配列に格納します。文字列の長さは、あらかじめ定義された文字列制限長を超えることはできません。この制限は D プログラム内で変更できます。dtrace コマンド行で strsize オプションをチューニングして変更することもできます。チューニング可能な DTrace オプションについては、『Solaris 動的トレースガイド』の第 16 章「オプションとチューニング可能パラメータ」を参照してください。デフォルトの制限長は 256 バイトです。

D 言語で文字列を参照するときは、char * 型ではなく、明示的な string 型を使用します。D リテラル文字列については、『Solaris 動的トレースガイド』の第 6 章「文字列」を参照してください。


例 3–2 trace() 関数で D リテラル文字列を使用する


# cat string.d

#!/usr/sbin/dtrace -s

fbt::bdev_strategy:entry
{
   trace(execname);
   trace(" is initiating a disk I/O\n");
}

このリテラル文字列の末尾の記号 \n によって、新規の行が生成されます。このスクリプトを実行するには、次のコマンドを入力します。


# dtrace -s string.d
dtrace: script 'string.d' matched 1 probes
CPU     ID                     FUNCTION:NAME
  0   9215               bdev_strategy:entry   bash is initiating a disk I/O

  0   9215               bdev_strategy:entry   vi is initiating a disk I/O

  0   9215               bdev_strategy:entry   vi is initiating a disk I/O

  0   9215               bdev_strategy:entry   sched is initiating a disk I/O

^C

dtrace コマンドを -q オプション付きで実行した場合、スクリプト内またはコマンド行呼び出しに明示的に指定されたアクションだけが記録されます。dtrace コマンドが通常生成するデフォルト出力は抑制されます。


# dtrace -q -s string.d
ls is initiating a disk I/O
cat is initiating a disk I/O
fsflush is initiating a disk I/O
vi is initiating a disk I/O
^C