割り当て制限と予約を除いて、すべての設定可能なプロパティーは、親データセットから値を継承します。ただし、子孫データセットに対して割り当て制限または予約が明示的に設定されている場合は継承されません。継承するプロパティーについて、明示的な値が祖先に設定されていない場合は、プロパティーのデフォルト値が使用されます。zfs inherit コマンドを使用して、プロパティー値を消去することができます。その場合は、親データセットの値を継承することになります。
次の例では、zfs set コマンドを使用して tank/home/bonwick ファイルシステムの圧縮を有効にしています。次に、zfs inherit を使用して、compression プロパティーをクリアしています。この結果、このプロパティーはデフォルト値の off を継承します。home と tank の compression プロパティーはローカルに設定されていないため、デフォルト値が使用されます。圧縮が両方とも有効になっていた場合は、すぐ上の祖先 (この例では home) に設定されている値が使用されます。
# zfs set compression=on tank/home/bonwick # zfs get -r compression tank NAME PROPERTY VALUE SOURCE tank compression off default tank/home compression off default tank/home/bonwick compression on local # zfs inherit compression tank/home/bonwick # zfs get -r compression tank NAME PROPERTY VALUE SOURCE tank compression off default tank/home compression off default tank/home/bonwick compression off default |
-r オプションを指定すると、inherit サブコマンドが再帰的に適用されます。次の例では、このコマンドによって、compression プロパティーの値が tank/home およびそのすべての子孫に継承されます。
# zfs inherit -r compression tank/home |
-r オプションを使用すると、すべての子孫のデータセットに割り当てられている現在のプロパティー設定が消去されることに注意してください。
zfs inherit コマンドの詳細については、zfs(1M) を参照してください。