Solaris 10 6/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)

カスタム JumpStart と Solaris Live Upgrade のガイドライン

カスタム JumpStart インストールと Solaris Live Upgrade は、Solaris ボリュームマネージャーで使用可能な機能の一部をサポートします。これらのインストールプログラムでミラー化されたファイルシステムを作成するときは、次のガイドラインに従ってください。

インストールプログラム 

サポートされている機能 

サポートされていない機能 

カスタム JumpStart と Solaris Live Upgrade 

  • RAID-0 および RAID-1 ボリュームはサポートされますが、RAID-5 ボリュームなどほかの Solaris ボリュームマネージャーコンポーネントはサポートされません。

  • RAID-0 ボリュームは、単一スライスの連結としてのみサポートされています。

Solaris ボリュームマネージャーでは、RAID-0 ボリュームは、ディスクストライプまたはディスク連結を表します。インストール時またはアップグレード時に RAID-0 ストライプボリュームを作成することはできません。 

カスタム JumpStart 

  • 初期インストール時にのみ RAID-1 ボリュームの作成がサポートされます。

  • 1 つの RAID-1 ボリュームに対して、最大 2 つの RAID-0 ボリューム (サブミラー) を作成できます。通常、ほとんどのアプリケーションでは、2 つのサブミラーで十分なデータの冗長性が得られます。ディスクドライブのコストも比較的小さくてすみます。

  • RAID-1 ボリュームが構成されている場合のアップグレードはサポートされません。

  • 3 つ以上の RAID-0 ボリュームはサポートされません。

Solaris Live Upgrade 

  • 1 つの RAID-1 ボリュームに対して、最大 3 つの RAID-0 ボリューム (サブミラー) を作成できます。3 つのサブミラーでは、1 つのサブミラーをオフラインにしてバックアップを実行するときも、残りの 2 つのサブミラーでデータの冗長性を確保することができます。

  • アップグレード時の RAID-1 ボリュームの作成がサポートされます。

例については、『Solaris 10 6/06 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』「RAID-1 ボリューム (ミラー) を持つブート環境の作成 (コマンド行インタフェース)」を参照してください。

4 つ以上の RAID-0 ボリュームはサポートされません。 

RAID-1 ボリュームを使用した Solaris フラッシュの作成とインストール 

Solaris ボリュームマネージャー RAID-1 ボリュームが構成されているマスターシステムから Solaris フラッシュアーカイブを作成できます。クローンシステムの整合性を保つため、RAID-1 ボリュームの情報はすべて、Solaris フラッシュ作成ソフトウェアによってアーカイブから削除されます。カスタム JumpStart では、JumpStart プロファイルを使用して RAID-1 ボリュームを再構築できます。Solaris Live Upgrade では、RAID-1 ボリュームが構成されたブート環境を作成し、アーカイブをインストールできます。Solaris インストールプログラムでは、Solaris フラッシュアーカイブを使用して RAID-1 ボリュームのインストールを行うことはできません。 

JumpStart プロファイルでの RAID-1 ボリュームの例については、「プロファイルの例」を参照してください。

Veritas VxVM では、Solaris フラッシュで使用できない領域に構成情報が格納されます。Veritas VxVm ファイルシステムが構成されている場合は、Solaris フラッシュアーカイブを作成しないでください。また、JumpStart と Solaris Live Upgrade も含め、Solaris インストールではインストール時の VxVM ボリュームの再構築はサポートされていません。したがって、Solaris フラッシュアーカイブを使った Veritas VxVM ソフトウェアの配備を計画している場合は、VxVM ファイルシステムを構成する前にアーカイブを作成する必要があります。その後、クローンシステムにアーカイブを適用しシステムをリブートしてから、クローンシステムの構成を個別に行う必要があります。 

カスタム JumpStart と Solaris Live Upgrade を行うときの RAID ボリューム名の要件とガイドライン

ボリュームに名前を割り当てるときには、次の規則に従ってください。

Solaris Live Upgrade を行うときの RAID ボリュームの命名規則

物理ディスクスライスや Solaris ボリュームマネージャーのボリュームの名前は、省略形にすることができます。省略名は、デバイスを一意に識別できる最短の名前です。次に例を示します。

RAID-1 ボリューム (ミラー) または RAID-0 ボリューム (サブミラー) を作成するのに Solaris Live Upgrade を使用する場合は、ソフトウェアでボリューム名を検出して割り当てるか、またはユーザーがボリューム名を割り当てることができます。ソフトウェアで名前を検出すると、ソフトウェアは使用可能な最初のミラー名またはサブミラー名を割り当てます。ユーザーがミラー名を割り当てる場合は、インストール時にサブミラーに 1 および 2 で終わる名前を使用できるように、0 で終わる名前を割り当てます。ユーザーがサブミラー名を割り当てる場合は、1 または 2 で終わる名前を割り当てます。誤った番号を割り当てると、ミラーが作成されない可能性があります。たとえば、ミラー名に 1 または 2 で終わる番号 (d1 または d2) を持つ名前を指定すると、ミラー名がサブミラーの名前と重複した場合、Solaris Live Upgrade はミラーの作成に失敗します。

次の例では、Solaris Live Upgrade がボリューム名を割り当てています。RAID-1 ボリュームの d0d1 だけが使用中のボリュームです。ミラー d10 に対し、デバイス c0t0d0s0 用のサブミラー名として d2 を、デバイス c1t0d0s0 用のサブミラー名として d3 を、Solaris Live Upgrade が割り当てます。


lucreate -n newbe -m /:d10:mirror,ufs -m /:c0t0d0s0:attach -m
/:c1t0d0s0:attach

次の例では、コマンドでボリューム名を割り当てています。ミラー d10 に対し、デバイス c0t0d0s0 用のサブミラー名が d11、デバイス c1t0d0s0 用のサブミラー名が d12 です。


lucreate -n newbe -m /:d10:mirror,ufs -m /:c0t0d0s0,d11:attach -m
/:c1t0d0s0,d12:attach

Solaris ボリュームマネージャーの命名規則については、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。

カスタム JumpStart を行うときの RAID ボリュームの命名規則

RAID-1 ボリューム (ミラー) または RAID-0 ボリューム (サブミラー) を作成するのにカスタム JumpStart インストール方式を使用する場合は、ソフトウェアでミラーリングするボリューム名を検出して割り当てるか、またはプロファイルでボリューム名を割り当てることができます。ソフトウェアで名前を検出すると、ソフトウェアで使用可能な最初のボリューム番号を割り当てます。プロファイルでボリューム名を割り当てる場合は、インストール時にサブミラーに 1 および 2 で終わる名前を使用できるように、0 で終わるミラー名を割り当てます。誤った番号を割り当てると、ミラーが作成されない可能性があります。たとえば、ミラー名に 1 または 2 で終わる番号 (d1 または d2) を持つ名前を指定すると、ミラー名がサブミラーの名前と重複した場合、JumpStart プログラムはミラーの作成に失敗します。次のプロファイル例では、ミラーには使用可能な最初のボリューム番号が割り当てられています。次に使用可能な 0 で終わるミラーが d10 の場合、名前 d11 および d12 はサブミラーに割り当てられます。

filesys                 mirror c0t0d0s1  / 

次のプロファイル例では、プロファイルでミラー番号に d30 が割り当てられています。サブミラー名は、ミラー番号に基づいたソフトウェアおよび最初に使用可能なサブミラーによって割り当てられます。この例では、サブミラーは d31 および d32 と命名されます。

filesys                 mirror:d30 c0t1d0s0 c0t0d0s0  /

Solaris ボリュームマネージャーの命名規則については、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。