Solaris 10 OS では、分散ファイルシステムの機構として、デフォルトで NFS Version 4 (NFSv4) が使用されます。NFSv4 では、ファイルのユーザーおよびグループの属性は、それぞれ「user@domain」および「group@domain」という形式の文字列として交換されます。
文字列のドメイン部分は、クライアントとサーバーの間で共通している必要があります。この情報は、システムのネームサービスドメイン名から自動的に導き出されます。ただし、場合によっては、導き出されたドメインがクライアントとサーバーの間で一致しないことがあります。通常、このような不一致は、次のいずれかの状況が成立している環境で発生する可能性があります。
DNS の TXT レコードを使用していない。
複数の管理ドメイン境界が交差している。
クライアントとサーバーの間でドメイン情報が一致しない場合、NFSv4 でアクセスされるファイルの所有者は「nobody」であるように見えることがあります。
正しい構成を確保するために、システムの初回ブート時に、NFSv4 に使用するドメインの入力を求めるプロンプトが表示されるようになりました。次のいずれかの構成に該当する配備を使用している場合は、このプロンプトに「いいえ」と回答してください。
配備では、DNS の TXT レコードを使用して NFSv4 ドメインを構成する。
配備では、単一の (フラットな) 管理ドメインを使用している。
カスタム JumpStartTM を使用してシステムインストールを自動的に実行する環境では、初回ブート時のプロンプトを表示しないように、ごく簡単な調整を行う必要があります。
set_nfs4_domain というスクリプト例が Solaris 10 配布メディアの ${CDrom_mnt_pt}/Solaris_10/Misc/jumpstart_sample ディレクトリに用意されています。このスクリプトのコピーを変更して、NFS4_DOMAIN 変数をサイト固有の条件に合わせて設定し、JumpStart の finish スクリプトの中から呼び出してください。これにより、ターゲットシステムの NFSv4 ドメインは JumpStart の終了段階で事前構成されるので、初回ブート時のプロンプトは表示されなくなります。
自動インストールを実行するには、次の手順を実行します。
set_nfs4_domain スクリプトのコピーを作成し、JumpStart の finish.sh スクリプトと同じディレクトリに置きます。
スクリプトを編集して、NFS4_DOMAIN 変数をサイト固有の条件に合わせて設定します。
finish.sh スクリプトを編集して、set_nfs4_domain の呼び出しを追加します。
JumpStart インストールを通常どおり実行します。
詳細は、sysidconfig(1M)、sysidtool(1M)、nfsmapid(1M)、および nfs(4) のマニュアルページを参照してください。『Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』も参照してください。